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恋してるだけ   作者: 夢呂
【第三十章】大晦日の過ごし方
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「えっと、朝斗さん…まだ怒ってます…よね?」


ソファーに並んで座っている朝斗さんに、私は恐る恐るそう訊ねた。


「怒ってないよ」


(怒ってるじゃないですか!)

こちらを見ないまま、無表情な朝斗さんが…怖い!


「本当にごめんなさい!昨日…正直に言わなくて。でも私も、紫さんと同じ気持ちで…」

自分が今日着ていたワンピースのスカートに視線を落としながら話していて、はたと気がついた。


そっか。

私が昨日…黙っていたかったのは…。

紫さんに口止めされてたからだけじゃなくて…。

私も同じ気持ちで…―――。


驚くかな?とか、喜んでくれるかな?って。

私が来た時、どんな表情(かお)するのかな?って


私も、それが楽しみで。


「朝斗さんが喜んでくれるかなって…」

「・・・」

私の言葉が、朝斗さんの心に届いているのか分からない。

さっきからずっと、何も言ってくれないから。


(もしかして、やっぱり…迷惑だったのかな?)

そう思ったら、たちまち心がしゅうぅんと(しぼ)んでいく。


「紫さんから、カウントダウンパーティーの話されてから…私、勝手に浮かれてしまって…」


「優妃・・・」

朝斗さんが、少し戸惑うような声で私を呼んだ。私は恐る恐る、隣に顔を向ける。


「ひとつ、聞いてもいい?」

「はい。…?」

「…なんか…カバンがいつもより大きいけど、まさか」

私の持参したカバンの大きさに、朝斗さんが視線を向けながら言った。


(ひ、引かれてる…!?)


「え?あ、これは…その」

私は慌てて、この場を切り抜ける為の言い訳を考えた。


「ち!違うんです!このあとよ、予定があって!」

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