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恋してるだけ   作者: 夢呂
第二十八章【新たな問題】
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「えっ、大晦日…ですか?」


その日の夜、寝る前のことだ。

私のスマホに着信があったのは・・・。


(―――紫さんからの電話って、なんだか毎回…心臓に悪いような・・・?)

そう思いながらも電話に出た私は、

30秒後の今、まさに、(やっぱりそうだった・・っ!)と、思っているところだった。


『うん。せっかく戻ったんだしさぁ、朝斗と過ごしてやってよ』

上機嫌の紫さんが、さらりととんでもないことを言っている。


「え、それは…えと…?」

私はつい、口ごもってしまう。だって、“大晦日に”朝斗さんと“過ごす”っていうのは…それってつまり…―――。


私がその先を口にしなくても、紫さんには伝わったらしい。

『うん。もちろん(● ● ● ●)泊まりで。だって、カウントダウンパーティーだよ?』


「や、さすがに泊まりは…」

“無理ではないでしょうか?”と言いかけた私の声を、紫さんはわざとらしく遮って言った。


『優妃ちゃん・・・。朝斗、優妃ちゃんと別れてからずっと寂しい思いしてたわけだしさぁ、ここはひとつ、彼女として一緒に過ごしてあげるとかして貰わないと』

「そ、それは…(そうかもしれないですけど・・・)。でも…えっと…。」


泊まりはさすがに…どうなんでしょうか?

というか今日、お母さんが“避妊”とか変なこと言うから…“泊まり”って言葉から変に意識しちゃうっ!

(あぁぁぁー―――…っ!!)

そんな自分がたまらなく恥ずかしい!


『あ、ご両親が心配するかな?もしそうなら、わたしからも頼むから、電話代わってくれる?』


私が一人で悶えていると、紫さんは何かを察したようにそう言った。 


(えっ!?)


「ちょ、ちょっと考えさせてもらっていいですか?」

その前にいろいろと頭を整理しなくてはと、私はとりあえず“保留”を申し出ることにした。


『もちろん!じゃあ良い返事(● ● ● ●)待ってるねー』

「あ、…はい。」


電話はそこで切れて、私はスマホを握ったまま固まってしまった。


ど・・・どうしよう。

朝斗さんのおうちで、大晦日?


電話が切れた後も、ずっとドキドキがおさまらない。それどころか、お泊まりを想像してしまって、ドキドキが増してしまう。


その時、ピロンとlineの着信音がして、ビクッとしながら手にしていたスマホに目を落とすと、――――紫さんからのメッセだった。


『あ、言い忘れてたけどそれ、朝斗にはサプライズの予定だから、絶対言わないでね』

“ナ・イ・ショだよ”と、なんともかわいらしいクマのスタンプ付きだ。



“それ”って、カウントダウンパーティーのこと?

・・・それとも、お泊まりが?


(どちらにしても、心臓に悪いですよ紫さんっ!)


私はその日、そんな新たな問題に頭を悩ませて、なかなか寝付けなかった。



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