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恋してるだけ   作者: 夢呂
第五章【幼馴染みと彼氏】
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「一琉、もう…」

いい加減にして、と言いかけた私に一琉が言った。


早馬朝斗(はやまあさと)先輩、」


「!!!――…っ」

(違う高校の一琉が…どうして先輩のことを知ってるの!?)

一琉の口から先輩の名前が出てきて、私は絶句してしまう。


「変な虫に好かれたよね、優妃。」


「………」

(変な虫?先輩はそんなんじゃない。それに…私なんかを選んでくれたんだもの…)


「ちゃんと、お別れしておいで?」

涙目の私に、一琉が耳元で囁く。悪魔の囁きのように。



「優妃?」

心がズタズタの私を救いだしてくれるような、そんな声がした。

分かっていたけれど私はすぐに振り返って確認する。

――――私の名前を呼んだのは、やはり早馬先輩だった。


(―――一琉に、会わせたくなかった…)

本当は見られたくなかった。こんな所を…。


(キミ)、優妃に何した?」

私を庇うように、早馬先輩が一琉と私の間に割って入ってくれる。


「“優妃”?―――そっちこそ気安く呼ばないでよ、“彼氏気取り”が」


一琉が微笑みながら言う。でも完全に敵意剥き出しだ。


「―――誰?」

早馬先輩が私に顔を寄せて、低い声で問い掛ける。


「あ…えっと…」「早馬先輩」

私が一琉のことを説明する前に、一琉が話し出した。

「優妃から、何も聞いてないんだ?」

挑発するような口調で、一琉が言う。


(一琉…やめてよ…っ!!)

私は心の中で悲鳴をあげる。


「だからあんたはその程度の関係ってことだよ」

クスクスと笑いながら、一琉が言う。


(もうやだ…()めて…っ)


嫌われる。先輩に嫌われる。

一琉が私のこと、手放さない限り、私はずっとこのままなんだ…っ。


ずっと堪えていた涙が、頬を伝う。


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