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恋してるだけ   作者: 夢呂
第二十三章【クリスマスイブ】
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様子のおかしい一護くんに首をかしげていた私の目の前を、白いものがチラチラと遮った。


「…あ、寒いと思ったら雪…降ってきたね」


(キレイだなぁ…雪…)


どこか心許ない小さな雪が舞い散るのを、公園のベンチに座ったまま少し空を見上げて呟く。


「だな…」

一護くんも、小さく頷いた。


「私ね…、」

私は雪を見ながら、何気なく…一護くんに話し掛けていた。

「…今日一護くんが来ると思わなかった」


雪を見ながら一護くんが黙って私の話に耳を傾けてくれている。


「透子ちゃんと、一緒じゃなかったんだ?」

「…言うと思った。」

私の言葉に、一護くんは少し笑ってそう言った。


(え?)


「その事なんだけど」

一護くんの言葉に驚いたままの私を見て、一護くんは笑うのをやめて…真顔になった。


「俺さ…、透子とは付き合ってないから」


真剣な表情で、一護くんが私を見つめて…まるで決心したみたいに、一言そう告げた。


「………」

(今さらだなぁ、一護くん。私は知ってるのに。)


「うん…、」

一護くんと透子ちゃんは付き合って―――…“ない”?


「え?」


――――付き合って…ない(● ●)??


「でも…え?あれ?」


思考がついていかない。

(どういうこと?だって二人は…―――。)


「だって透子ちゃんは…」

一護くんのことが好きで…―――。


訳がわからなくなって、あたふたしていた私に一護くんがまた笑った。


「ごめん…えっと私、良くわかってない…。」

「うん…だよな。でも、謝るのは俺の方なんだ」


混乱する私に、一護くんが安心させるように優しく微笑んだ。そしてゆっくり前を向いて、話し出した。


「後夜祭の時、“ケリつける”って言ったのに…」


(ケリ?)

それは、私への気持ちに…―――って言っていた、あの時のこと?


私は、一護くんと後夜祭で話したことを思い出して胸がドキンと跳ねた。


「優妃は朝斗と上手くいってるし、もう諦めようと思った。だから俺なりに考えて、気持ち切り替えようとした――…。」


(え…?)


「だけど、そう“考え”ても…ダメだった。」


(一護…くん?)

ザワザワと胸騒ぎがする。


「透子に本当に酷いことをした。向き合おうとして…中途半端に傷付けた――…」


一護くんの言葉を聴いていくうちに、その先の言葉を予想してしまう。


「頭で考えても思い通りになんかならないって、もっと早く気づくべきだった。…俺は」


(そんな…待って、――――まさか…)


ザワザワしていた胸騒ぎが、ドキドキに変わる。

その瞬間、一護くんと目があった。


「優妃への気持ちを、ずっと捨てられなかった」

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