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恋してるだけ   作者: 夢呂
第二十三章【クリスマスイブ】
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「あの…どうしてここに?―――田中くんは?」


前を歩く一護くんに追い付いて、私はそう訊ねた。


「遼ならもう帰った」

「そっか…」

素っ気なく答える一護くんに、私は目線を足元まで下げてそう呟く。


(もしかして…――。もしかしなくても…見られてた…よね?)


今の私と三浦さんのやり取り…。――――私のウザい発言とかも…。


堪らなく恥ずかしくなって、私は一人で顔を赤くしてた。


「あのさ、ちょっと…時間ある?」

「……え?…うん…?」


突然振り返った一護くんにそう話し掛けられて、私は驚いて、つい頷いた。


(どこか…行くのかな?)


だけど一護くんは、そのまま私の家の方向へどんどん向かって歩いている。


「い、一護くん?」


もうそこ、家の近くなんだけど…と思って声をかけると、その先にあった公園に一護くんは足を踏み入れた。


(わ…懐かしい公園…。)

一琉とよく遊んだなぁ…と思いながら私は一護くんの後をついていく。



「ちょっと待ってて」


公園のベンチに座ると、一護くんはそう言ってどこかへ行ってしまった。


暫くして、公園内の自動販売機で飲み物を買ってきたのか、一護くんが両手に飲み物を持って戻ってきた。


「お茶とコーヒーならどっち派?」


ずいっと目の前に二つの飲み物を出された。なぜか一護くんの頬が少し、赤くなってる気がした。


「えっと、じゃあお茶で…」

「ん」

私がそう答えると、温かい缶のお茶を渡してくれる。手がじわっと温かくなる。


「ありがとう…いま、お金…」

慌てて鞄から財布を出しかけた私に、一護くんが手を添えた。

「要らない。これは詫びだから」

「え?」

(なんの?――――というか、あの…手が…)

手を振り払うことも出来ず、私はそのまま鞄を見つめたまま硬直。



「それは、これから話す…」

そう言いながら私の手からそっと手を離して、一護くんは缶コーヒーを飲み始めた。


「え…っと、じゃあ。ありがとう…?」


何がなんだか分からず、気が動転していた私はとりあえず落ち着こうとお茶に口をつける。


「………」

「………」


隣の一護くんをチラッと横目で見ると、一護くんはなにも言わずに缶コーヒーを持ったまま動かない。


(一護くんの様子が…なんだか…おかしい?)

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