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恋してるだけ   作者: 夢呂
第四章【プール】
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クラスのみんなとプールに行く約束をしていた日。

集合場所に翠ちゃんと向かうところで、私は今日先輩のことを報告すると決めていた。


「あのね…翠ちゃん」

翠ちゃんに会って、すぐに私は声を出す。


「どした?水着忘れた?」


「いや、持ってきたよ。そうじゃなくて…あのね…私ね…」

翠ちゃんに言うだけでも、ドキドキした。なぜか、すごく緊張してきた。深呼吸してから勢いをつけて、一気に告げた。


「私、早馬先輩と、付き合ってる!」


翠ちゃんはあんぐりと口を開けたまま、フリーズした。

そして、少し間があってからリアクションした。


「―――はぁ?いつから?」


「えっと…今日で3日目…かな」


そう。あの日から3日も経った。

毎日先輩から連絡が来るから、私は夢じゃないんだと思えるようになった。


「…ちょっと待て、何でそうなった?一護は?」


訳が分からないと言うように、翠ちゃんが頭を抱える。


「あ…」

(そうだよ、私…。花火大会の日に一護くんと話して…ドキドキしたはずなのに)


先輩と付き合えたことが嬉しくて、それ以外のことが頭の中に無かった。


「まぁ、私は優妃が幸せなら何でもいいけどさ」


何か言いたそうな顔をしながら、翠ちゃんが言った。


「良かったじゃん!女子皆が羨む早馬先輩の“彼女”になれて」


「…うん」


(良かった。嬉しくて幸せ過ぎるくらい…。でもなんだろう、今、何かが、心に引っ掛かっている。)




「翠!優妃!久しぶりー」


透子ちゃんが私たちに声をかけてくれて、その話は終了した。


「皆揃ったことだし、行こっか!」

透子ちゃんが明るく言って、私の前を歩く。


「優妃、おはよ」

透子ちゃんの隣にいた一護くんが、私の方に振り返って、笑顔で挨拶してくれた。


「おはよう…」

(気まずい…。何なんだろう、この…罪悪感のような気持ち…)


私は一護くんの笑顔が眩しくて…、すぐに目をそらした。

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