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恋してるだけ   作者: 夢呂
第二十章【想定外のデート、想定外の展開】
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「……ひ!優妃!」

私の名前を呼ぶ声がした。

「んん…」

―――寝返りを打ちながら、あれ?もう朝なのか…とうっすら目を開ける。


朝斗さんからの返信を待っている途中で、いつのまにか寝てしまっていたらしい。



「寝起き(わる)っ」

視界にクスクスと笑う一琉が映り、私はぼんやりと考える。


「―――…あれ?どうして一琉が…」

(えっ!?どうして一琉がここにいる!?)


驚きのあまり、眠気も一気にふっとんだ。


「どうしてって、今日迎えに行くって言っただろ?で、迎えに来たら“優妃まだ寝てるから起こしてきて”っておばさんが。」


なぜか悪びれる様子もなく、というか私が悪いみたいな態度で一琉が言う。


「あぁ…」

(お母さんって、どうしてこう一琉のこと信用しきってるんだろう…)

私はうなだれながらベッドからモソモソと起きる。


「…じゃあ着替えるから一階(した)で待っててよ」

「あ、僕のことなら気にしなくて大丈夫だよ?」


お構い無く~と軽い口調でしれっと言い放つ一琉に、私は過剰に反応してしまった。


「なっ!なに言ってるの?一琉が気にしなくても私が気にするんだってば!」

(私だって一応女の子だし!幼稚園児とは訳が違うんだから!)


「冗談だよ。ほんとバカだなぁ優妃は」

焦る私を面白そうに眺めて、クスッと一琉が笑みをこぼす。


(わ…)

一琉がそんな優しく笑うのはすごくレアで、でもだからって不覚にもドキンとしてしまった自分が憎い。


「もう!早く出てよ」

一琉の背中を押して、部屋から追い出しバタンと大袈裟に音をたててドアを閉める。


(もう…なんなの朝から…っ)

ドアにもたれ掛かりながら、私はため息をついた。

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