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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十八章【文化祭二日目】
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私はいつだって自分のことばかりだ。


朝斗さんと付き合う前も、付き合ってからも。

――――そして一琉(幼馴染み)に対しても。


一護くんは私にとって、初めて“ちゃんと”好きになった人。

憧れでもなく、一目惚れでもなく。


気が付いたら、“恋”していた…。


だけどその気持ちを“友情”だと思い込むことで、私はずっと一護くんを縛り付けていた。


―――私はいつだって自分のことばかりだ。


でも、―――今日でそれも終わらせたい。


一護くんのことが好きな(透子ちゃん)の為にも、そして、一護くん自身のためにも。




「優妃」

「あ、朝斗さん」

見廻り中の朝斗さんと、廊下で偶然出会した。


「お、お仕事ですか?」

―――何となく、目を見ることが出来ない。


「うん。なぁ優妃、後夜祭…―――」

朝斗さんの口から“後夜祭”というワードが出てきて、ヒヤリとした。


それが“後ろめたさから”だと気付いて、私はますます顔を上げられずにいた。


「朝斗、時間ないから!早く!」

「そうよ、後夜祭の準備班から至急来るように言われてるんだから」

知らない二年の女の先輩達が、朝斗さんに厳しい声を飛ばす。


「あ…。じゃあ優妃、後で連絡する」

何か言いかけていた朝斗さんが、私の頭を優しく撫でるとキュッと上靴の音を立てて私の横を通り過ぎた。


(朝斗さん…――――?)


頭を撫でられたとき、一瞬目が合った。

朝斗さんは微笑んでいた。いつもの、王子様みたいな笑顔で。


(だけど、なんだろう…?)


――――あの笑顔は偽物だと思った。


『後で連絡する』


さっきの、朝斗さんの声が淋しそうに聴こえたのは…気のせいだろうか?


(私はまた、朝斗さんを不安にさせている?)


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