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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十八章【文化祭二日目】
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「なんなのあいつ、感じ悪っ!私は好かないわ」

翠ちゃんの苛立つ声で私は我に返った。


「ごめんね、翠ちゃん…」

確かにさっきの翠ちゃんに対する一琉の態度は明らかに失礼で、私は代わりに謝る。


「なんで優妃が謝るのよ。」

翠ちゃんが失笑した。


「それで?―――あの幼馴染みくんの応援も行くんだ?…早馬先輩も苦労が絶えないわね」


「あ…」

断りきれなかった、いや、内心行ってみたいと思っている自分に少しだけ胸が痛んだ。


「別に責めてる訳じゃないよ。優妃が早馬先輩とラブラブなのは知ってるしね!」


「ラブっ!?」

(翠ちゃん、言い方がっ!)


私が真っ赤になっていると、翠ちゃんが愉しそうに笑う。

「何よ今さら。お泊まりまでしたくせに!」


「お泊まりって!…だけど。別に何も…」

(してない、いや、したけどでもそれは…)

キスはしたけど、翠ちゃんが想像しているのはきっともっと先のことだと思う。でもそんなことを口に出して説明するなんて、恥ずかしくて出来ない私は口ごもる。


「え、何もしてないの?嘘でしょ?」

翠ちゃんが驚いたように聞き返す。


「い、言わないよっ!?」

私は勘弁してよと全力でそう答えた。


「ふーん」

何を思ったのか、ニヤニヤしながら翠ちゃんは勝手に納得していた。


「それより、後夜祭。辛いだろうけど頑張ってね」


「あ…うん」

急に話を戻されて、私はドクンと心臓が軽く跳ねた。


(“辛いだろうけど”…か。)


辛いのは、一護くんにきちんと“朝斗さんが好きだ”と伝えなくてはいけないから。

少なくとも一度は恋していた相手に、そう告げなければならないから。


(だけど、本当に辛いのは…―――)


一護(そいつ)をふるんだ?僕の時みたいに』


――――胸が痛い。


『優妃に出来るの?そんなこと』


――――でも、そうするしかないじゃない…。




私は朝斗さんが好きだから――――。




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