おまけ【眠りにつくまで】2
(それにしても…、合鍵まで持っているなんてー―ー)
紫さんはやっぱり、朝斗さんの“特別な人”?
ただの従姉って感じがしないし…―――仲も良さそうだし…。
勝手にキッチンにも入ったりとか、冷蔵庫開けたりとか。そんな事をされる度に、嫌な気持ちになる。
(これも、ヤキモチ…?)
私のこの気持ちは、本当にキリがない。
ふぅっと溜め息をつきながらタオルドライで髪を乾かす。
「“なんでいるの”って?」
「え?」
「―――…そんな表情してる」
驚いて顔を上げると、紫さんがクスッと苦笑しながら缶ジュースを目の前のローテーブルに置いてくれた。
「ここは、わたしの自宅でもあるのよ」
カシュッと音がして、紫さんが缶ビールを開けた。
「それって…同居…ってことですか?」
「うん」
あっさりと、紫さんが答える。
「―――…。」
(同居…。紫さんと朝斗さん…が…?)
「あ、っていってもわたしはほとんどここには帰ってきてないの。恋人の家に居ることが多いから」
慌てたように早口で、紫さんがそう補足してくれた。
「それで?優妃ちゃんはよく泊まるの?今まで鉢合わせしなかったけど」
「ま、まさかっ!今日が初めてです。家に入ったのも、まだ数回ですし…」
危ない。もう少しで頂いたジュースを思いきり噴いてしまうところだった。
「そっか。」
ニコッと、紫さんが微笑む。
歓迎されているのか、
ここは私の家でもあるのよと言われているのか、紫さんの本心が分からない。
私が俯くと、紫さんがまた焦ったような声で言った。
「ちょっと!そんな落ち込まないでよ。朝斗が女を連れ込むなんて優妃ちゃんが初めてなんだから。」
「え?」
「それだけ優妃ちゃんは、特別ってこと」
「紫さん…」
(以前にも思ったけど、紫さんて…イイ人だな…)
「ありがとうございます」
(なんだか…朝斗さんみたいで安心する…)




