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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十七章【合間の気持ち】
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翠ちゃんと駅で別れてすぐ、私は朝斗さんに電話をかけた。

緊張して、胸が苦しくて…―――いっそ電話に出なかったらいいのにと矛盾したことを考えていた。


三コール目で出なかったら切ろうとして、私はその三コール目を待った。

『もしもし?』

三コール目の途中で、朝斗さんの声がした。


「えっと、優妃です。」

緊張して、ぎこちなく話し掛ける。にしても、自分の名前を名乗るって…どんだけアホなんだろう私。

(そんなの、向こうもわかってるの事なのに…。)


『どうしたの?』

朝斗さんの声が、冷たく聴こえた。

(当たり前だ…私、酷いことしたんだから…)

そう分かっているのに、やっぱり悲しかった。


「あ…会いに行っても良いですか?」

勇気を出して、私はそう伝えた。

『………』

暫く沈黙が続いて…“もしかして聴こえてなかった?”とか“通話が切れてしまってる?”とか心配になった。


「もしもし…?朝斗さん…?」

『優妃の考えてることが俺には分からない』

私が声を出したのと、ほぼ同時に朝斗さんの声が聴こえてきた。低くて、突き放すような声だった。


ズキッと胸が傷んだ。傷付けたのは私で、私が傷付く資格なんてないのに。


「――――すみません…」

(そう言われても仕方がない。私が“今日は放っておいてくれ”と“お願い”したのだから。)


『今来られても、迷惑だよ』


(メイワク……そっか。そうだよ…。)

朝斗さんの反応は当然だとすぐに納得して、私は会話を終わらせようとしていた。


『それでも、来る?』

「え…?」

『優妃がそれでも来たいなら、俺は止めないけど』

(え?良いの?行っても…?)


戸惑いながら、私は勇気を振り絞る。


(今、伝えないと…ちゃんと向き合わないと…。今私が朝斗さんに出来ることは…)


「――――…行きます…会って謝りたいので。」

『………分かった、待ってる』


朝斗さんとの通話が終わると、私はすぐに自宅とは反対方面の電車へ乗り込んだ。

朝斗さんのアパートへ、向かうために…―――。


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