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NEXT STAGE

 一瞬の静寂の後、通路の奥から人が倒れる音が聞こえた。


「間に合ったか。良く捉えたな、ソジン」


鄭や藤堂、智也やタマオなど後発隊が追いついてきた。

「通常なら、この間合いまでは詰められません。相手が冷静さを失ってくれたお陰です」

「チームの仲間が全員やられたんだ。さぞかし悔しかったのだろう」

 後発隊がミゲルの死を知って茫然と立ち尽くす中、智也は一人少し曇った表情で、何か考え事をしていた。


「今の音……」

「どうしたのですか? 智也さん」

「え? あ、いや、別に」

 その様子が気になったタマオが声をかけると、智也はすぐに表情を切り替えたので、それを見たタマオも何事も無かったかのように振る舞い、ゲイリーと武瑠に声をかけた。


「ゲイリーさん、よく来てくれましたね。しかも武瑠さんまで」

「ああ、今日が約束の日だからな」

「僕も、どうしても道源の真意が確かめたかったのでね。ただ、ミゲルを救ってやれなかった」

「本当に残念です。でも、修一さんと龍次さんが一命を取り留めた事が唯一の救いですね」


 傷ついて横たわる二人を彩音は力いっぱい抱きしめ、その痛々しい姿と生きていた事の嬉しさが入り交じった複雑な感情で、とにかく涙があふれ出た。


「しかし、何度来ても陰気くさいところだな」

 重苦しい雰囲気が漂う中、ゲイリーが口を開いた。


「そうか、ゲイリーさんは前にも来ているんだよね」

 彩音は涙をぬぐって、精いっぱいの笑顔を浮かべた。

「ああ、3回目だ。ただ、この異様なオーラを感じるのは2回目だけどな。奴は既に準備が出来ているようだな」


「さあ行こう! 例えどのような状況になっても、我々は前に進むだけだ!」

「おお!」

鄭の掛け声に、皆が一斉に大きな声で応え、一歩一歩その通路を進んでいった。


 ロマネスク様式の美しい彫刻があしらわれた重厚な扉の前で立ち止まると、中から放たれる異様なプレッシャーに、皆が固唾をのんだ。鄭が扉に手をかけて開けると、そこにはゲイリーが審判の日に謁見を行った時と同じようにイスがあったが、そこに道源の姿はなかった。


「奥じゃ。奥まで、入って来い」


 道源の声がどこからともなく響き渡った。ゲイリーは前にも通った細く薄暗い、奥に進むにつれて空気が冷たくなっていく石畳の通路を歩いた。鄭、藤堂、タマオが続き、その後ろに伏龍を背負ったソジンと智也が連なって歩いていると、目の前に大きな空洞が広がった所に出て、そこに道源が立っていた。


 そして、その後ろには圧倒的な存在感を放つ東アジアのアイオーン、アレーティアの姿があった。初めて目の当たりにしたゲイリー以外の竹やぶのメンバーは、想像をはるかに超えるその迫力に圧倒され、言葉を失い、ただ茫然とその場に立ち尽くしていた。


「大丈夫? 僕も初めて見た時は、君たちと同じように愕然としたよ。ただ、落ち着いてよく見て欲しい。ヤツの腕には血管が浮き出て、脈を打っているのがわかるだろ? ヤツが僕たちと同じ構造を持つ生物である限り、僕たちは勝てる。それよりも、手前をよく見てくれ」


 笑顔を浮かべながら話す藤堂の言葉で、少し落ち着きを取り戻した智也とタマオが言われた通りに見てみると、アレーティアの前には白く薄い膜がまるで蜘蛛の巣のように張り巡らされており、その中心にケンジが立っていた。

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