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5 坂の上の痴話ゲンカ
「いい加減、機嫌直してくれよ。」
リュウトのとある大衆居酒屋。
テーブルの上には空いたグラスが何本も並んでいた。
「もう一杯、飲ませてくれたら、考える。」
ロッコはほうづえを付きながら、20杯目のカルーアミルクが入ったグラスを飲み干した。
「勘弁してくれ。・・・というか、さっきから何でそんなに怒ってんだ?
俺が女の子に声掛けるのが、そんなに気に入らんの?」
「・・・タムラは、女の子にやさしすぎる。それがよくない。
あれじゃあ、みんな勘違いする。」
「や、勘違いも何も、ちょっと話しただけだぞ・・・。そもそも相手は子供だ。」
「年齢は、関係ない。子供でもおばあさんでも、・・・神様だって、女は女。」
「そういうもんかねぇ。」
私は、飲みかけのスピリタスを、ぐいと飲み干した。