ローズの初陣なわけで
現在石畳の街道を移動中だ。
北西の町へ引っ越すため親に話をつけてからの移動だったため一日空く事になった。
母さんは泣いていたけれど俺の意思は固いと渋々ながら了承してくれた。
ラージは頑張れと激励の言葉さえくれた。
今更ながらいい家族なんだよな…・・・
というわけで、翌日涙ながらに家族と別れ合流したんだが。
意外な事にロキは二つ返事で了承したらしい。
放任主義なのか?
言うには北西の村を大きくするためって事らしい。
周辺の村全てをカリブス家で管理できるようにしたいのだろうか?
意外と野心家だったりするのかな?
「そういえば、ラフィ住まいとかどうするの?」
……忘れていたどうするか。
女性であるローズの家に泊まる事なんて出来ないしな。
うーん……ギルドの方で融通とか利かせてくれないかなぁ。
「それなら私が住んでる近所に空き家が数件あるからそこを買い取ればいいと思うわ」
おお、なんという御都合主義!
けど買い取るかぁ。お金大丈夫だろうか?
「ローズさんでいいのかな? Cランクになり立ての僕達でも買える物件なの?」
レギンも俺と同じ気持ちだったみたいだな。
「ええ、ギルドが元々管理している物件ですし、移住する人のために……高くてもカリブス鉄貨1枚程かと思います。
普通ならレキ鉄貨5枚あれば十分ですね」
目安としてDランクの討伐依頼一回でレキ鉄貨1~2枚程度だからそこまで高くはない。
「それなら何とかなるね、ラフィは幾らあるの?」
幾らだったかな?
最近は本当に親に渡すぐらいしかつかってなかったからな……
「んーと……レキ鉄貨が20枚ほどだな……ってあれ?」
こんなに金持ってたか俺。
いや、おかしいこんな多いはずがない。
「ラフィすごいねー僕なんてレキ鉄貨5枚もないよ。足りなかったら貸してね?」
貸すのはいいんだが。
おかしいなぁ? レキ鉄貨20枚もあるはずないんだけど。
あれ? 中に木の板が入ってるな。
何か書いてあるし。
”メンバーになってお金をいっぱい渡してくれたけれど住む家の調達にお金はいるでしょう?
なので、今までくれた金額程ではないけれど、ラフィに返すわね
たまにはお母さんの所へ帰ってくるのよ 神様より”
思いっきり木の板を外に投げ飛ばした。
なんでだよ!!
馬鹿か!? お母さんと言って置いて最後に神様よりって!
なんかおかしいと思ったよ! やっぱりあいつか!!
「ラフィ、どうしたの!?」
「何か変な事でも書いてあったのですか?」
「はぁ……いや、なんでもない……なんでもないんだ」
二人は俺の反応に困惑の表情になるが大した事じゃないのだろうと自己完結したみたいで、それから聞いてくる事も無くなった。
金はありがたいがどんなサプライズだよ爺さん。
『母親からの贈り物だと思えばいいじゃん』
それなら最後まで母親よりと書け!
『それじゃあ、普通過ぎてつまらんしなぁ……』
そうだった、こいつはそうゆう奴だったな……
はぁ……いきなり疲れた。
「ちっと昼寝するから何かあったら起してくれ~」
「あ……いいよ~」
レギンの声を聞き、目を瞑るとすぐに浅い眠りにつく事が出来た。
前はそんな事も出来なかったが野宿する事が増えたし
-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-
少し周囲の雰囲気が変わったから目を覚まして見る。
ローズ達はまだ気付いていないみたいだが、どうやら野党が俺達が乗っている馬車を狙ってるようだ。
「狙われてるな……」
俺が一言言うとレギンは一瞬で切り替え手元にあった槍を手に取り構える。
ローズは何のことかと言いたそうな顔でこちらを見てる。
「賊だ、数はわからないが前に数名と背後からも向かってきてるな。俺は前をやるから二人は後ろからのを頼む」
「うん、わかったいつもどおりだね」
「え? え? ぞ、賊?」
後方を見ても人影は見えない、当然だ後ろと言っても山の方にある森の中に居るんだから。
場数は踏んでいるだろうけど、遭遇前からというのは始めてなんだろうな。賊達を目の当たりにすれば大丈夫だろう、なんとなくそんな気がするし。
「という事で依頼人少しの間だけ馬車止めといてくれ」
「あ…ああ、頼みました」
馬車から飛び降り、森の中へと疾走する。
『気をつけろよ、数は10人ぐらいだな』
珍しく助言くれるとはね、なんとかなるべ。
『まぁな、一人一人はウルフといい勝負するぐらいだから問題はないだろう』
ウルフは毛皮をくれる分いいよ……っと見えてきたな。
って、皆息切れ切れじゃねーか!!
「え? ええ……やる気あるのかお前ら……」
相手は馬車なんだから普通馬とか乗り物的なもの用意しないか普通?
こいつら疲労困憊という言葉を体で表してやがる……
「あー……無視しとけばよかった……」
「ぜっ……ハァ……き、貴様……全て置いてけえええ! ゲホッゲホッ……オェ」
大丈夫かこいつら?
「あー……じゃあ、そういう事で」
相手するのも面倒だったので馬車へ戻る事にした。
後ろから「待て」とか「置いてくな」とか言葉が聞こえたがきっと気のせいだな、うん。
だって相手は山賊だったし?
馬車に追いつくと山賊達は6人ほどか?
けど、2人は既に事切れてるようだ。
ローズが1人をレギンが3人相手しているな。
早い所手助けしてやるか。
ローズは既に息が切れているためかやや危ないようにも見える。
というか、押されてるか……。
「ったく、レギンもちゃっちゃと終わらせればいいものを!」
「っ……キャア!」
言ったそばからこれだ! ローズが山賊の膂力に押されて転倒していた。
「間に合え!」心の中で叫びながらローズを狙う山賊の胸へ剣を体事突き刺す。
将に山賊の獲物がローズを斬り落とすといった瞬間に間に合い、山賊の体が俺の体事吹っ飛んだ。
「ま、間に合ったか……」
「ラ、ラフィ?」
どうやら俺が来るとは露にも思ってなかったみたいで、今にも泣きそうな表情でこちらを見ていた。
けど、まだ山賊は残ってる。
「安心するのはまだ早いからな、ローズは馬車の護衛を頼む」
「あ……わかりました……」
唇を噛み締める表情をして、馬車へと向かう彼女を見送り。
いつの間にか残り二人の山賊へと向かう。
「あれラフィ、後方のは終わったの?」
「それは後で話すとして、ちゃんとローズの護衛しとけっつの! 危うく死ぬ所だったぞ」
「ごめんごめん、彼女の相手が山賊の頭だったみたいで」
わかってたんなら急げっての……
「ま、ラフィが居るって事は倒してきたんでしょ?」
「へっ、当然!」
その会話を聞いてたのか残りの山賊達は頭領がやられていたのに気付き逃げていった。
「とりあえずは大丈夫かな? じゃあ、村へ向かうかー」
「そうだね、ローズさんの事も心配だし」
ま、なんとかなったな。
これで、当分山賊は出ないだろう。
それでもいつかは出てくるのが現実だけどな……はぁ、面倒くさいな。
2転目のキャラクター情報
ラフィール・ブッチーニ
主人公の2回目転生の姿。
12歳の時点では身長160センチ弱
16歳になると180センチ強と巨大化する。
武器は片手剣から、父親と祖父の力作の大剣に変わる。
クラン【ジャイアントキリング】のマスターだが、一部のメンバーからは認められてない様子?
レギン・カリブス
ラフィールの幼馴染。
12歳の時の身長は150センチ強
16歳の時は170センチ強
中肉中背で顔は父親のロキ譲りの為かイケメンらしい。
女性からは絶大な人気を誇る。
一部の女性曰く、守ってあげたくなる表情がたまらないとの事。
武器は槍で父親から教わっているためか、父親であるロキが使う槍の動きと極似ようだ。
ローズ・アーネル
ラフィへ恋心を持つ女性。
14歳の時にクランへ入団。
身長は163センチ
真紅のバラを連想するような赤い髪をしている。
細身の身体をしている。「胸がもう少しほ(略」とはラフィ談。
武器は片手剣だが、ジャイアントアント襲撃の際に破壊されている。