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転生ルーレット  作者: 秋葉 節子
転生五回目
72/74

驚かされたわけで。

 俺と彼女が婚約してから半年が経過した。

今では、俺と彼女は無事結婚し、二人でホワイトウォルフから東に向かった場所にある、自宅兼研究所に暮らしている。


それ以外にも彼女のお腹は少しではあるが、誰が見てもわかるぐらいには膨らんでおり、間違いなく俺とローズとの子供を授かっている事がわかる。


きっかけは本当に申し訳ないし、情けないモノではあるが、今では彼女の中にいる子供が生まれてくる事が楽しみでしょうがない。

のだが……数点気がかりな事がある。

それは、彼女と俺との間の子供に魔法は使えるのかという事だ。

まぁ、魔法が使える様になったとしても別に構わないのだが、魔法を使えるという事はそれは体内に魔素を大量に含んでいるという事になる。

魔素は少量ならば何者にも無害ではあるけれど、大量になってしまうと、人は死ぬし、凶悪な魔物へと変化してしまう性質があるからだ。

下手をすれば彼女が危険になるのではないかという不安が常に俺の中に付き纏い、正直な話気が気でないのだ。


何度か彼女にその事を告げてはいるが、彼女は俺を励ます様に大丈夫と言ってくれてはいるが……いや、今回の俺は本当に情けない話だ。

万が一そうなったとしても、俺が彼女を守ればいい話だというのに。

それに、一番不安なのは彼女なのだ。

いくら前世で子供を産んでいると言っても、今回は初産だ、不安がないはずがないのに。


うん、切り替えよう……阿呆な事やってから意識がネガティブに偏ってるな。

久しぶりにホワイトウォルフに行くか……最近は彼女と二人で過ごしてるし、彼女の両親にも元気な顔を見せてあげないと悪いと思うし。


「ローズ、今からホワイトウォルフに行くんだが、一緒に行かないか?

 最近は落ち着いてる日も多いしな……義父さんと義母さんにも顔見せてあげないと心配するだろうし」


そう言うと、ローズが軽く笑い。


「すぐに準備するわ」


と、腰を上げたが、転んだりしたらと思うと気が気でないので、彼女を座らせて、彼女の衣類等を自分で準備する事伝え、座らせた。

これぐらいは大丈夫だと言っていたのだが、何度体験しても心配なものは心配だ。

最近になると過保護すぎると言われるが、仕様が無いと思うのだ、うん。


まぁ、そんなこんなで彼女と話をしながら、2,3日分の着替えと土産に自作の果実酒を持ち、飛翔魔法を念じて彼女とホワイトウォルフへと向かう事となった。


少しぐらいは歩いたほうがいい気もすると彼女は言っていたけれど、街に着いたら散歩でもしようと伝えてとりあえずは我慢してもらう事にした。





 「おー、久しぶりだな、最近あまり来ないから心配したぞ」


ホワイトウォルフの東門に着くと、レーナルが尻尾と右手を大きく振りながら出迎えてくれた。


「にしても、奥方のお腹も随分大きくなったな……半年ぐらいだったか?」


「ああ、そうだな、今思い出しても自分が情けない……」


「ふふ…レーナルさん、何時も通りでいいですよ」


軽く挨拶して、世間話をしていると、遠くの方から砂煙を上げながらこちらに向かってくる物体があった。


「おー、早いな……あれは……」


「まぁ、彼女しか居ないだろ……」


「……ですね」


そこに居る門番を含めた全員が苦笑を浮かべて、その物体を待っているとソレは俺達の目の前で急停止し、嬉しそうな表情を浮かべて挨拶してきた。


「ラフィ様! お久しぶりですわ、なんとなく今日は来てくれるんじゃないかと思って、依頼を終わらしてまいりましたの」


そう、なぜか知らないが、俺がここに来ようとすると、必ず颯爽と現れる人物……まぁ、どう見てもシャロンなのだが、が現れた。


「ああ、久しぶりというか、数日前に職員の護衛として会ったばっかだろう……」


「いいえいいえ! 2日会えないだけでもどれだけ寂しい思い募らせるか……泥棒猫に取られてからというモノの……」


泥棒猫というのはローズの事だ。

ローズはシャロンに悪態を着かれても終始笑顔を浮かべているのだが……


「シャロンさんこんにちわ、貴女に励まされた事は私絶対に忘れないわ」


「アーアーアー聞こえなーい! そんな記憶まったく持ってません!

 うう……あの日の事は後悔しても後悔しきれませんよ……」


まぁ、彼女はいい娘なんだと傍から見てもわかる事なんだが。

泥棒猫とローズの事を言っているが、彼女の事をちゃんと祝福していたのは未だに記憶に新しい。


「そんな事より、ラフィ様、今日はどうしてこんな所に?」


「こんな所に」という言葉にレーナルは複雑な表情をしていたが、彼女はまったく気づいて居ない様だ。


「なに、ローズとお腹の子も安定してきたし、義父さん達に会おうかと思ってね」


そう伝えると、彼女は両手を鳴らし。


「わかりましたわ! では、ギルドマスターに伝えて簡単にですが宴の準備をしましょう!」


うん、どこを聞いたらそうなるんだ?


「いや、そういうのはいいから。

 それに、宴会をする理由もないでしょ?」


「いいえ! 理由ならばあるではないですか!」


「……変な理由なんだろうけど、どんな?」


「ラフィ様がホワイトウォルフに戻ってきたという理由が!」


「いや、2、3日したら戻るから」


「そうと決まれば、早速伝えて来ます! では、後ほど」


まったく人の話を聞いてない……


嘆息を漏らしながら、ローズの方を覗く。


「ふふふ、シャロンさんはやっぱり面白い人ですよね」


うん、確かに面白い……けど、もう少し落ち着いてもらいたいなぁ……

それから、レーナルに2、3日居る事を伝え、彼女の両親が居る家へと向かう事にした。




両親の家へ着くと、どうやらシャロンが来る事を伝えていたらしく、嬉しそうな表情で出迎えてくれた。

そして、ローズは義母さんと俺は義父と話しをしていると、どうやら、俺の過保護っぷりを聞いた義母さんに少しは動いた方がいいと言われてしまった。

義父さんの方は気持ちはわかるといいながら終始笑顔で楽しい一時を過ごした。


夕食前には、レギン達も顔を出し、報告書等で近況は知っていたが、家族の事等の事を話した。

また、もし生まれてくる子供が異性同士でお互いが惹かれあう様なら、是非ともくっつけよう等笑いながら話した。


ちなみに、夕食で宴とかはなく、家族4人で楽しく食べた。

ただ、前世の影響のせいなのかわからないが、どうやら俺は葱が苦手になっているようだ……

食べれはするのだが、口に入れると何故か鳥肌が……




 翌日は朝食後、ローズと二人で散歩をして、依頼から帰ってきていたクックやミコスと会い、話したりした。

俺やローグウッドの影響なのか、クックとミコスの二人は何処かいい雰囲気で俺とローズは微笑ましく見ていると、慌てて逃げる様に去っていくミコス達には、つい噴出してしまったが。。


街の中は到って平和な感じで、治安も無くそれなりの大きさの街なのに、のどかな雰囲気から見て、この街はいい街なんだなと思えた。


夜はシャロン主体で宴が行われた、昨日はさすがに間に合わなかったらしいのだが、俺が居る間に絶対にやりたかったらしい。

俺の歓迎会みたいなのはいいんだがと彼女に言った所。


「私、シャロンは本日とある人物に告白しようかと思っております!!」


とギルドメンバーや街の人達の目の前で叫んだ。


周りの人達は「おお……」とざわめき、一斉にこっちへ視線を寄越すが俺とローズは呆気に取られて気付けなかった。

ただ、身体は反応していたらしく、背中には冷たい嫌な汗が流れたのは覚えている。


「その人物は……」


「「「その人物は?」」」


お前ら息ピッタリだな!


「その、人物は……」


「「「ゴクリ……」」」


何処からか太鼓を叩く音が聞こえるのは気のせいだろうか、というか気のせいじゃない!、彼女に隠れてレギンが叩いてるし!

何やってんだアイツは!


ちなみに、レギンの隣には銅鑼の様な物があり、その横にレーナが構えていた……って、レーナは妊婦だろうが!

そんな俺の気持ちを無視するかの様に。

ドドドドドドと太鼓の音が徐々に速度を上げ、最後にレーナが銅鑼を叩くと。


「「「その人物は!?」」」


だから、皆息ピッタリ過ぎるだろう……ちなみに、視線の大半は俺へ向いている。


「……リーベル・リシアーナさん、恋人前提に結婚してください!」


……誰?


俺は誰だろうと咄嗟に考えていると。

他の人達は「「「オオー」」」と叫んでいる。

誰の事かなぁ、と周りの視線の先を見ると、身長160cmにも満たない小さめの青年が呆気に取られて立っていた。

見た感じその人がリーベルという人物なんだろう。


「ローズ、誰か知ってる?」


「はい、私がギルド職員の頃はCランクのメンバーでしたね、良くシャロンさんと2人でラフィさんの事を話してたのを覚えてますよ」


種族はグラスランナーという種族で平原等の平地で暮らす事が多い種族らしい。

見た目通り、腕力こそ無い物のかなり素早く動けるのだと言う。

ランクこそ低かったが、仕事はすごく速く、信頼性の高いメンバーだったとローズは言っていた。


ちなみに、答えは大きな声で「はい」と答えていた。

なんというか、俺を餌にされた感じだ、喜ばしい気持ちでいっぱいになった。

ただ、彼女の紹介でリーベルに挨拶した所、彼のテンションが天元突破、それに釣られる様にシャロンのテンションも天元突破し、疲労感が2倍になったのはここだけの話だ。

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