表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ルーレット  作者: 秋葉 節子
転生二回目
6/74

村に名前がついてたわけで。

 いやぁ……驚いた。

まさかこんなにも村……いや、町並みが変わっていようとは!

俺は今10歳になる前日だ。

というか、今更なんだけどこの世界は年齢を数え年で計算するんだが、年明けに簡単な祭りと共に皆の誕生日を祝う様な催しをする。

ちなみに、それは明日だったりするわけだ。

つまりは今日は大晦日って奴だな。

この世界にカレンダーなんてのはないけれども。

そう、前回の俺……もといレキが死んだのは40年前になる。

時が経つのは本当に早いなぁと思うわけで。

そして、この名も無き村も、俺が活躍しこの村の英雄となりこの村はレキの村と名付けられた。

いや、規模的にもう町か? 正直村と街の区別の仕方なんて知らないけども。

にしても、俺の名前を語った村ってのもこそばゆい物があるよね。

もう10年になるから慣れたけど。


 ちなみに現在のギルドマスターは、長男のラキがやってるかと思ったんだがロキがやっていた。

ラキ、リキ、ルキは皆盗賊との戦いやゴブリン、コボルトとの戦いで、ロキだけしか生きてなかったのには少しばかりショックを受けた。

あ、それとだ。

何時の間にやら家名までもが存在していて驚いたね!

ロキはカリブスを家名にしているから尚驚いた。

俺が使っていた剣──カリブスを家名にした事はすぐに分かったけども。

にしても、木製だった家がレンガ造りの家にグレードアップしたのには感動したなぁ。

40年以上前よりも遥かに暮らしやすいったらありゃしない。


 最後に、いつのまにやらこの村では10歳──ギルドへ入れる年齢になったら成人とされている。

随分と早い成人だよなぁ……日本、こっちからしたら異世界では20歳からなのにな。

成人の儀は明日……つまり元旦の日に成人の儀を行う事になっている。

つまりだ……初めての成人式なわけで緊張しています俺。

前世とか混ぜたら60年近く生きてるけどね! 緊張するもんなんだなぁ。




「ラフィー遊ぼう!」


どうやら、友人のレギンが来たようだ。

この村ではラ行の言葉の次にキとつく名前が異常に多い。

前世の俺──レキ一族もといカリブス一族は神聖視され、それに肖りたいと願いを込めてつけてるんだろうけどな。

中でもレキという名前を混ぜるのが異常に多い。

文字を作り。

ギルドを作り。

鉄の発見。

アスファルトの技術の発見。

村を窮地から救った英雄。

これだけやったらそりゃ神聖視されるよなぁ。


「ラフィー? ラフィール?」


おっと、待ちくたびれてるようだなぁ。


「母さん、レギンと行って来る」


「はいよ、ラフィ遅くなるんじゃないよ」


「わかってるよ、母さん」


 さすがに慣れたが、変な気しかしない。

遅くなったが、俺の今回の名前……ラフィール・ブッチーニ

どうゆう流れか知らないがラージは俺の祖父になっている。

ブチは死んでしまったが特に仲の良かったラージはブチの名前を家名に居れブッチーニとしたみたいだ。

そして俺にその時のブチや自分……そしてレキの雄姿を俺に話すわけで……

なんとも複雑な気分だ。

だってなぁ……本人を目の前に本人の武勇伝を聞かせるってどうなんだ?

それも尾ひれ突いちゃってるしな。

なんだよ1千匹の化け物たちって。

100匹だったろ!? それも千切っては投げ、時には食いちぎるって何処の化け物だよ!

しまいには早く寝ないとレキの亡霊が悪い子を襲いに来るって、英雄じゃないの!? 嫌われてたの俺!? という始末だ。






「おまたせ」


「ラフィー遅いよ! じゃあ、今日も勝負しよう」


 俺の一番の仲良し、レギン・カリブス

名前でわかるようにカリブス家の子供で、ロキの末の息子になる。

ロキも末っ子だったためか、レギンを溺愛しているみたいだ。

そして、ロキの息子という意味で、彼は他の子供から敬遠されている。

当然なのかもしれない、昔はどうあれ、カリブス家はこの村では一番の有力者だ。

発言力は村長よりも遥かに上なのだから。

そして、唯一俺だけがレギンを対等と扱う。

当然レギンは俺に心を開く。

ロキも実の息子のように俺を扱う。

実は逆なんだけどな。


 そんで、長年こいつと二人で遊んでいたけれど、二人で遊べる遊びなんてのは限られる。

文字は俺が考えたのだし完璧に近い。

レギンも俺やロキ等が丹念に教えたからほぼ完璧。

そして目指すはメンバー。

やる事は一つしかない、戦闘訓練だけだ。

まずは軽く村を一周走りこみ。

一周と言っても距離はかなり長い。

数キロはくだらない距離だろうな。

その後は自分が使う武器……俺は剣ばかり使っている。

レギンは槍を使ってるな。

まぁ、ロキが槍を使ってるからなんだけれど。

実際は剣の方が不利と思われがちだけど、俺は我流とは言え剣であいつらと戦ったからか、妙にしっくりくるから使ってるんだ。

7歳ぐらいから勝負してるけど、現在の所全勝中。

レギンには悪いけど未だに負ける気がしないからな。






「あー! また負けた……ラフィは強すぎるよ!」


 当然今回も俺の勝ち。

突きの速さは早くなっているけれど、それだけなんだよな。

引きは遥かに遅いし、叩いたりしないからだ。


「間合いはレギンの方が長いから長い距離で近寄らせないようにやればいいんだけどな。引きが遅すぎるんだよ、身体がまだまだ出来てないからだろうけど」


 レギンは悔しそうに身体をジタバタと動かしている。

こうゆう時代も俺にはあったんだろうなぁ……と少し老けた風に見てる自分に少しだけど呆れた。

実際は俺も同じ年齢なんだけどな。


「そういえば、明日成人の儀が終わったらギルドに入るんだよな?」


「ん? 当然でしょ、ラフィは入らないの?」


「入るさ、じゃあさクランはどうするんだ? ロキ……様の所に入るのか?」


 危ない、危うく呼び捨てにする所だった。


「クラン? メンバーになるんじゃないの?」


なんだって!? クランってもしかして消えたのか?


「あれ……? ロキ……さんから何も聞いてないのか?」


「聞くも何も成人を迎えるまではギルドについては何も教えてくれないでしょ?」


 げぇ……そうだったのか、今更ながらに驚いた。

小さい子供に憧れを抱かせてメンバーを増やそうとしてるのか……?


「すまん、爺さんが言ってたのを盗み聞きしたからさ」


 本当は何も言ってなかったというか、俺が知ってるから何も聞かなかったからだけど。

すまないラージ! 悪者になってくれ!


「あの、ラージ様が? アハハ、たぶん酔っ払ってて口が滑ったんだろうね」


「う、うん! そう酔っ払ってたからだよ、これは内緒という事で!」


 あぶねぇ……レギンがいい子で助かったな。


「さて、ラフィもう一回勝負だ!」


「望む所さ!」


 ま、レギンとは今回長い付き合いになるだろうしな、楽しく行きましょうか。






-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-






 翌日……つまり元旦。

なんで元旦かわかるというのは。

簡単に言えば、神の御都合主義発動って奴だな。

いつのまにか村の中央に透明な水晶があるんだけど、元旦になると虹色に輝くんだ。

御都合主義すぎて怖いな……というか、神の声を一度も聞いてないな。

くたばったか?


「ラフィ、今日から成人だねぇ……お爺様みたいにメンバーになるんだろう?」


 母さん涙眼になりながら俺を抱きしめてきた。

メンバーってのは命を失う事も珍しくない職業だからな……当然か。


「ラフィ……絶対に死ぬんじゃないよ……」


「わかってるよ母さん、命は大事なものだからね。じゃあ、行ってきます」


 母親と別れレギンの家に向かう。

儀式の場所はカリブスの剣がある広場。

レキが死んだ場所──カリブスが刺さってる場所はお祭りや成人の儀等を行う時の場所となっていた。

なんだかなぁ……






レギンの家に到着して、レギンを呼ぶとロキと一緒に出てきた。


「レギン、ロキ様おはようございます」


「ラフィおはよう」


「ラフィールおはよう」


 挨拶を済ませ、3人で広場へと向かう。

道中には同じ年齢の子供らが友人と一緒に向かっていく。

皆ロキの姿を見て強張った表情でおはようございますと挨拶していく。

俺とレギンも挨拶はしているが、眼中に入ってないのはすぐにわかった。


今年10歳を迎える人数……300人か。

かなり多いな……

俺とレギンは中央の先頭に立つように言われる。

俺とレギンを先頭に300人が10列に並びロキの挨拶を待つ。






-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-






「──これからは何事にも責任を持ち、家族を守り、我が父レキのような人物になれると私は信じております」


 やっとロキの挨拶が終わった……

1時間ぐらい話してた気がするんだけど。

なげーよ、あれか? 終業式の校長か?

つか、ロキよ……どんだけ俺の事好きなんだよ。

いや、前世の俺か?


「では、これより各職業の登録所へと案内しますので、各自移動を開始してください」


 当代の尊重の合図で各々の場所へと向かう。

俺とレギンはいち早くギルド登録所へと向かった。


「はぁー……緊張するなぁ……」


「そうか? 普通にやればいいだろ?」


「むしろ、なんでラフィはそんなに落ち着いてられるのさ……周りを見てみなよ、皆すごい顔が強張ってるよ」


 そんなもんかねぇ……

登録したって、最初は家の手伝い程度の依頼だろうに。


それとも色々変わったのかな?

どうゆう所が変わったのか色々楽しみになってきた。






「ギルド登録したいのですが」


「ようこそギルド『カリブス』へ、メンバー登録ですね? 登録はあちら右手隅の窓口となります」


 受付嬢が笑顔でカウンターの隅へ手を向ける。

随分とまぁ……あそこだけキノコでも生えそうな雰囲気があるな。

まぁ、いいかあそこへ行けと言うんだ行くか。


「すいません、ギルド……メンバー登録したいのですが」


 窓口を覗いて話しかけるが誰も座っていない。

あれ?ここだよね?


「すいませーん、メンバー登録したいのですが」


「は、はひ! いいいいまいきまー」


 ドンガラガッシャーンとしか表現できない音が奥から響いて来た。

あれぇ? ここでいいんだよねぇ?

誰も来ないんだけどなぁ……


「すいま~」


 もう一度呼ぼうとした瞬間カウンター奥から半分飛び込んでるかのような勢いで同じ歳ぐらいの少女が倒れこむ。

止まるはずもなくカウンターに頭突き……あれは痛い。


「あうう~……いたたた……おおおまたせしまび……っつう……」


 盛大に舌を噛んだな……なんだかすごく不安になってきたぞ。

中央の受付嬢と比べるのも愚かとしか言いようの無い具合に。


「ひ、ひつれいひまひた……コホンッメンバー登録ですね? そ、それではこちらにお名前等必要事項をお書きくだひゃい!」


 最後まで言えたと自信満々に言ったつもりだろうが思いっきり噛んでいる。

たぶん、年齢からして新人なんだろうが大丈夫なんだろうか?


「ラフィ?」


「ん……じゃあ、書くか」


 受付嬢の少女には色々不安を覚えたがお互いに期待を膨らませた表情で用紙に書いていく。

前は40年前は木の板だったのに、紙が使われてるんだな。

家庭や勉強の際は未だに木の板だったけど、誰が紙を発明したんだろう。

単純に尊敬する。


「……よしっ! 書けました」


「僕も書けました」


二人同時に少女へと用紙を渡す。


「えっ!? ももももうですが!?」


そんな驚く事か?


「えええと……ラフィール・ブッチーニ様と……レギン・カリブスさ…え?」


え? と一瞬魂が抜けたような声を出して唖然を俺とレギンの顔を見直す。


「レ……」


レ?


「レギン・カリブス様ですかあああああ!?」


大きく驚いた表情で俺を指差してきた。

うん、完璧に逆だろう、というか俺が出した紙はラフィールと書いた方を渡したよね?


「うん、レギンはこっちね、俺はラフィール」


 と冷静に受け答えしたものの全く聞いてない。


「ままままさかああああレギン様の担当に私がなるなんてええええええ」


完全にトリップしてるな、ついでに担当ってなんだ? 嫌な予感しかしないんだけど。


「ラミ! 静かになさい、他のメンバー様達の迷惑でしょう」


30過ぎぐらいの女性が少女に静かに注意した所落ち着いたみたいだ。


「た、大変失礼しました……ラフィール様とレレレギン様ですね」


「はい」


レギン……メンバーカードにレレレギンって書かれてたらどうするんだろう。

はいって答えてるけど。


「で、では規則等を説明させていただきまひゅ!」


だから噛むなよ……






-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-






基本的な規則は俺が考えた通りだった。

ただ、ギルドランクと報酬については変わっていた。


「規則の方はご理解いただけましたか?」


「「はい」」


「では、次にギルドランクとランクアップ条件、それと報酬について説明します」


そうラミと呼ばれた少女は深呼吸を一つついてから説明を始めた。


「メンバーカード発行時はFランクからとなります」


Fランクから? Eからじゃないのか?


「Fランクは発行時から1年間変わる事はありませんのでご了承ごりょうちょうください」


また噛んだ。


「その1年間の間にクエストを30以上受けていただければ初の日時点で、Eランク昇格となります。またEランクからはギルドマスターと幹部員の判断で随時腕にランクアップの必要ありと審議された場合のみランクアップとなります」


 随分と変わったんだな。

というか、俺の時はランクアップの定義を決めてなかったからだが。

適当に頑張ってる奴をランクアップさせてた気がした。

だからか……?


「また、本来ならばSSランクが最高位となりますが、現在はAランクのロキ様が最高位となっております」


 ロキはAランクか歴代最高位って事だな。


「次にギルドランクの目安を説明しますね。

 

Fランクは各村での仕事の手伝い。


Eランクは野草等の採集や村周辺での依頼。


Dランクは近辺への護衛依頼と野獣の退治Cランク以上の依頼支援。


CランクはEからCランクの野党退治とBランク以上の依頼支援。


Bランクは亜人種やBからAランクの野党退治とAランク以上の依頼支援。


最高位のAランクはジャイアントアント等の巣破壊任務。となっております」


 ここでジャイアントアントの名前が出るとはな。

Aランクという事はジャイアントアントというのはそれだけ強いという事か。

戦った事はないが気合を入れないと危ないだろうな。


「質問いいでしょうか?」


「はひ! レギン様なんでしょうか?」


どんだけレギン相手に緊張してるんだよ……


「SランクとSSランクの目安はないのですか? それと野党にもランクがあるんですか?」


「あ、はい……現在はジャイアントアント以上の目撃情報がございませんので、それ以上の目撃が確認され次第となります。野党に関してですが、その規模と質の高さでランクを決めさせてもらっています」


「なるほど……わかりましたありがとうございます」


 ま、俺の時とほとんど変わってないか。

野党関連にランクがついてるのには驚いたが。


「……よろしいでしょうか? では報酬についてお話させていただきます。

報酬は基本的にギルド内で発行しております鉄製の貨幣……鉄貨てっかでお支払いさせていただいております。

こちらはギルドに登録されています商店でなら何処でもご利用がいただける貨幣となっていまして。

一番安いのがロキ鉄貨となります、次に高いレキ鉄貨がロキ鉄貨の10枚の価値さらにレキ鉄貨10枚でカリブス鉄貨1枚の価値があります。

各村の宿や武具店等はほぼご利用いただけます。


 なるほど、だから酒場とか武具店は入れなかったのか。


「目安としてはギルドの隣にあります酒場兼宿屋『アイアンラウンジ』でロキ鉄貨3枚程で一泊と二食程の支払いで済みます」


 わかりやすいか……?

まぁ、目安にはなるかな?

10円と100円と1000円って事だろう。

使える店も多くないしこんなもんかな。

聊か飯事ままごとっぽく感じるけど慣れの問題だろうか。


「何か質問はありますか?」


「「大丈夫です」」


「っほ……では、メンバーカードを発行させていただきますので、もう少々お待ちください」


そう言ってラミと名乗る少女は奥へと下がっていった。


「なんとか登録は完了かな?」


「ふぅ……だね、やっていけるか不安もあるけど期待の方が大きくてワクワクしちゃうよ」


今にも動き出したいと言った風にレギンの笑顔が輝いていた。

なんともまぁ、わかりやすい人だよ。






カードが発行されたんだけれど。

まさか、本当にレレレギン・カリブスと書かれていたのには吹かざる終えなかった。

レギンときたら泣きそうな顔でレギンですと言っていたな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ