やりすぎちゃったわけで。
今回、否人道的な描写等多く含まれて降りますので苦手な方は読み飛ばしてください。
次回で簡潔なあらすじは書きます。
別に構わないという方だけどうぞ。
一体何が起きたのか、俺には理解できなかった。
俺の目の前には高級感溢れる家具が置かれており、自分の顔が平手を受けて横へ向いたのはわかる。
しかし、『何故俺は平手を受けたのか』がわからなかった。
俺の後方に居たミコスも唖然と目を見開いて此方を見ている。
そして、俺を叩いた音と彼女の声で異変に気付いたのだろう。
彼女の部屋の前に居た兵士達が雪崩れこむ様に部屋へと入ってきた。
「賊か!? エウロス、エリャーサ! 姫をお守りしろ、残りはこの賊を捕らえる!」
兵士達の隊長各だろう兵士が叫び声を上げる、この場に居る者は15名、隠れていた奴も何人かは入ってきているんだろう。
そして、隠れていた残りは王にでも報告へ行ったのか。
彼女へ近づく2人の兵士を魔法で吹き飛ばし、彼女へと近づくが彼女は俺に近寄ってほしくないという態度で後退る。
彼女のそんな態度に耐性がまったくない俺は情けなくも胸が締め付ける様な痛みと共に目に涙が溜まっていく。
何故彼女が俺に対してこんな態度を取るのかわからない。
しかし、この国の奴等が原因なのは確かなはずだ。
出来るならば今すぐにここの奴等を全て殺してしまいたいが、今のローズは商家の娘だ、人死に耐性があるとは思えない。
それに、レギンの所へ送ったとしても目の前にはこの国の王でもいるだろうし。
目の前の兵士達へ魔法を使い殺さない様に吹き飛ばしながら何か状況が変わる鍵が出てくるのを待つ。
俺がローズと一緒に脱出すればいいのかもしれないが、その後彼女に拒絶された時。俺の精神が生きているとは到底思えないのだ。
なので、出来る限り彼女が落ち着くまで離れて、その間はレギン達に任せる事にする。
というか、ここの奴等にお礼をしてあげないと気がすまない。
それから10分もすると、通路の方から慌しい足音が聞こえてきた。
そして現れたのは30代ぐらいの顔付きをした、何処かチャラいと思える美丈夫だった。
「うん?、誰が我が姫を奪いに来たかと思えば、ただの小汚い糞餓鬼と化け物じゃないか。
それにしても、我の愛する姫はいいな、あの柔らかい唇は何度でもむしゃぶりつきたくなる、そしてあの腰と尻も魅力的だ、我の腰使いによがり狂う姿を想像するだけで達しそうだ。ただ、あの小さな胸は良くないが……、まぁそれも俺が仕込んで大きくすれば同じ事か。 さぁ、姫約束通り我の場所へ来い」
「ひっ……い、嫌です! 貴方の者になるぐらいなら死んだ方がマシです!」
「ふむ……我が姫よ、いい加減諦めたらどうか? そこの2人が我が軍勢から逃げれると思いか?
それに、姫のご両親がどうなったとしても覚悟は出来ていますかな? 我に逆らうという事はそういう事だといい加減理解してもらいたいものだ。」
この国の王と思わしき男は、俺の目の前でふざけた寝言をほざきだした。
そうこの身の程知らずは俺の前でローズの事を「我の姫」と称しやがった。
「おい……」
怒りの余り身体と声が震えるが気にしない。
「そこの糞餓鬼、俺のローズになんと言った?」
「糞餓鬼? ふん、面白い事を言う…この場に貴様程餓鬼という言葉が相応しい者等居ないであろう?
それに、あの娘は我の姫だ、貴様の様な糞餓鬼の物ではない」
『動くな』
身の程知らずの人間達の動きを魔法で止める。
「お前はこの国の王らしいが、どれだけ偉い?
たかが新参の国の王如きが俺に楯突いてんじゃねぇ、いいか。あの女は俺のもんだ! 誰がなんと言おうがそれだけは否定させねぇ!
否定するというのならば……『爆ぜろ』……こうなる訳だ」
身の程知らずの王の隣に居た隊長だった奴が『爆ぜろ』の言葉と共に爆発した。
辺りには血煙が広がり、その煙が消えた頃にはその場所には隊長だった物が散乱していた。
ローズはミコスに隠されている為見る事は防げていたが、それ以外の人間は全て顔を青ざめていた。
「で、身の程知らずのお前……ローズがなんだって?」
声をあげる事も瞬きする事も出来ない王を眺める。
この男はなんと言ったのかを心の中で反芻する。
こいつはローズを「我の姫」と言ったのか? 俺の愛する女性を「我の姫」と。
今の俺はどんな表情を浮かべているのだろうか、それは俺の知る由ではない。が。
俺の心は真っ黒と表現するに価する程に怒り狂っていた。
「貴様如き人間が俺の女に、なんと言った? お前はただ殺すだけでは足りないなぁ……そうだな、お前は楽には殺さない。
それと連帯責任という奴でこの国の軍関係者も全て殺すか……
ああ、そうだ。レギンの所まで2人を送る、着いたら少しでも早くこの場所から脱出しろ」
ミコスとローズを魔法でレギンの場所まで送る。 『行け』の言葉だけで彼女達はその場から幻だったかのように姿を消した。
この場所に居るのは俺と身の程知らずの王とその関係者達だけだった。
目の前に居た身の程知らずの王を残し、この城に居た人間を殺し尽した後、俺は身の程知らずの人間と共に城の上空へと浮かび上がっていた。
『動くな』という魔法は既に解除している為本来動く事は出来ているが、それはちゃんと地に脚が付いていたらの話しだ。
こいつと俺は今、城の上空に居る。
そして、身の程知らずの人間は恐怖に歪んだ表情で何かを泣き喚いているが、俺にその言葉が聞こえるはずもない。
「お前のうるさい声など、聞く耳持たん、『爆ぜろ』」
魔素を吸い込み、身の程知らずの王の喉下で爆発が起きる、出血が多いと死んでしまうので血が流れない様にコントロールした上でだ。
「次はそうだな、お前の唇は彼女の唇を奪ったそうじゃないか、俺だけの女性だと言うのに……そんな口は消し飛ばすか。 いや……それだけではつまらんな。『燃えながら再生しろ』……ああ、忘れていた、『そいつの痛覚を10倍に上げろ』」
身の程知らずの王の口の中と唇が途端に燃え出す、そして燃える都度それが直っていく。
あまりの激痛なのだろう、身体をくの字に曲げ、両手で自分の唇をなんとかしようと引っかいていた。
燃えてる口を素手で触ればどうなるのか、それは手にも火の熱が移る、その激痛でくの字に曲がっていた体は海老の様に背を反りだした、痛覚が10倍にまでなっているのだからその痛みは想像を絶するのだろう。
「おいおい、自分で手を傷めるなんて、可哀想だろう。そんな自傷行為なんてしたら『お前の手が腐る』ぞ」
更に激痛が走ったのだろう、身の程知らずの王は更にしばらくもがき苦しむ様に暴れていた。
それから何十分程たっただろうか、遊ぶのにも飽きてきた為、ローズの気配を探した。
彼女達は既にこの町を抜けたのか、複数人の気配と共に南東方面へと進んでいるようだ。
あの位置ならば、彼女達が巻き添えを食らう事もないだろうと考え、終わらそうと城の前に降りる。
身の程知らずの屑の存在を忘れていたな。
『死なない程度に落ちろ』
そして、目の前に落ちる肉の塊、それを尻目に城と街の外へとゆっくりと歩く。
街の外れまで進み、街全体に聞こえる様に拡声の魔法を掛けて声を出す。
「今からこの国を全て燃やす、国に関係の無い人間は何処へなりと逃げろ……ただし、身内に軍関係の人間が居る者は逃がさない、諦めて死ね。
後、1時間だけ待つ死にたくないのならば逃げろ、信じられない者は城の前に落ちている身の程知らずの屑を眺めればいい」
それから街の様子は滑稽そのものだった。
それを間に受けず、何もしない者も居たが、城の前で死に体となった身の程知らずの王を見た瞬間悲鳴と共に街の外へと向けて走り出した。
しかし、何人もの人間が外へ逃げ出す中、街の外へ出れると思った数人は何故?と思った事だろう。
この国の住民の数割は町の門を潜ろうとした瞬間、見えない壁に弾かれたかのように後ろへと倒れこんだ。
それから広がるのは鎮痛な叫びと慈悲を乞う願い。
そして、1時間後この街に残されたのは数多くの軍に所属していた人間の親族。それと、逃げ出す人間の下敷きになったのかひき肉となってしまった死体。最後に身の程知らずの王の1人だけだった。
「呪うのならば、人の宝を盗み出した身の程知らずを恨むんだな」
魔法を使い、この場に居る全員へ聞こえるように告げてから魔法を行う。
「それではさよならだ『この地は永久凍り、全てのモノは死に絶えろ』」
数秒後にはシューベランド王国があった場所には巨大な氷が街と城を飲み込み、その場所にあった命は全て消え去った。
1つの国を滅ぼして獲た物はローズが俺を拒絶したという現実と絶望感と罪悪感だった。
裏タイトル『エターナルフォースブリザード』
いえ、冗談です(゜A゜;)
なんか、主人公がダーク化しちゃってすいません。