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転生ルーレット  作者: 秋葉 節子
転生五回目
56/74

魔法のお披露目をするわけで。

 俺がギルドの受付嬢に案内されて入った場所には、応接室の様だった。

受付嬢が室内に声をかけ、部屋を開けると其処には1人の目尻が下がっていて穏やかそうな顔をした青年は微笑を浮かべていた、何を考えているのかわかりそうにない人相というか雰囲気を醸し出しており、油断できない人間だと思えた……というかレギンだこいつ。


 その脇には、赤茶色のライオンのたてがみを連想するような髪と髭が特徴的な筋骨隆々を擬人化した様な見た目30代ぐらいの厳つい男が立ち、俺に警戒した雰囲気を出しながら控えている。

そして、レギンを挟んだ反対側には、若干目尻が下がっており、左目尻には泣き黒子が一つ、穏やかな印象を受けるが、ソレとは別に艶やかな魅力を醸し出していて、その辺の男たちならば放っておかないだろうその美貌と男が簡単に溺れてしまうと思える様な体付き──どこか前世の時、俺と同じく人語を話していたセリーアではないかと感じるような既知感を覚えた。



「やぁ、ようこそ、まずは僕の向かいの椅子に腰掛けてもらっていいかな?」


何処か演技臭い声色で俺に椅子を勧める。

うん、間違いない……こいつレギンだ。

そして、美女の方はセリーアで間違いないだろう。


「とりあえず、自己紹介と行きたいけど、たぶん気付いてるよね?」


「ああ、レギンとそっちの女性はセリーアか?

 俺の予想だと、レギンがギルドマスターでセリーアはその妻といった所であってるかな?

 そっちの男性は知らないので紹介してもらいたい」


俺の言葉に、レギンは満足気な表情を浮かべながら頷いた。


「うん、気付いてもらえてよかった」


「あんなの書かされたらなんとなく爺さん関連だと思うわ……」


「……マスター、失礼ですがその小僧は何者です?

 ギルドマスターに向ける言葉遣いとは到底思えません、命令さえ下さればこの小僧を躾致しますが」


厳つい顔の男性はその身形みなりを裏切らない低く野太い声でレギンに声をかけた。

声をかけた男性は気付いていないようだが、話の途中で遮られた為かレギンが若干不機嫌な雰囲気を出している、セリーアもそれに気付いているのか苦笑を浮かべていた。


「うん、ローグウッドは黙っててね?

 それに、君では100人集まっても勝てないよ」


前半の言葉を聞いて、苦々しい表情を浮かべたが、後半の言葉を聞いて、呆気に取られたのか何処か間抜けな表情を、こちらに向けてきた。

どうやら、見た目10代前半の小僧な俺がギルドマスターであるレギンにそれだけ評価されてるのが信じられないんだろうな、それに嫉妬も混ざっていると見える。

厳つい顔の癖に女々しい奴だなぁ……ぶっちゃけ面倒臭そう。


「レギン、俺について何処まで知っている?」


とりあえず、この男については無視する事にして、話を進める事にした。


「ん~、とりあえずはこの世界で(あらた)に生まれた力を持ってるって聞いたよ~」


魔法という力は知らないがなんか知らない能力を持っているという事は分っているという事か。


「そうか、じゃあその能力(ちから)を見せて、そこのおっさんを納得させるか」


軽く挑発するが厳つい男は鼻で笑い、「マスターの指示があれば」とだけ答えた。

予想より冷静な男みたいだな。

まぁ、Sランクという事だから実力がないはずもないか。


「うん~、僕はトルーゲ=トレンカ、彼女はレーナ=トレンカという名前になっているよ。 それと一応紹介するね、ローグウッド=セレドガンドという人でランクはSだよ。

 一応現在のギルドで僕に次ぐ実力者かなぁ?」


という事はかなりの傑物という事か。

もしかしたら、この身体だときついかも?


「ギルドのナンバー2か……俺は子供なんでお手柔らかに」


今更ながら愛想笑いを浮かべるが、男の方は殺気を纏っている為効果はないだろう。

下手したら俺死ぬかも?


『だからお主はまだ10年以上は生きるって』


爺さんハウス。




 厳ついおっさん──ローグウッドは自分の背丈ぐらいまであるでかい両刃の戦斧を2丁を背中に担ぎながら都市の外へと向かっている。

俺をはじめ、レギンとセリーア…それに何故か案内してくれた受付嬢までがついてきている。


「えーと、何で受付嬢のお姉さんまで?」


「さぁ~、休憩中みたいだし良いんじゃないかなぁ? 勤務外の時は自由だしね~」


「はい! 休憩中ですし、その子…じゃないセラフィ君の戦う姿が見られると聞いて!」


 何故かこの中で一番興奮している様に見える受付嬢……名前はシャロン=セレドガンドというらしい。

名前の通りローグウッドの妹だそうだ、年離れすぎだろ……と思ったのだけれど、ローグウッドは24歳、シャロンは18歳らしい。

レギンとセリーアは32歳との事、セリーアについては既に子供が3人もいるらしい。

というかだ、ローグウッドがレギンより年下とかありえない気が……ローグウッドが32でレギン達が24なら信じられるが、その逆は信じられない。


 ちなみに、このシャロンは、俺に何故か「シャロンお姉ちゃんって呼んでいいのよ?」と熱っぽい視線を送りながら言われた。

ぶっちゃけこの人恐い。

そしてローグウッドの殺気は更に膨れ上がる。

ローグウッドはレギン大好きな上にシスコンなのか? なんというか面倒臭そうな兄妹だ。

俺はローズだけでいいというのに……まぁ、そのローズと結ばれるのにも幾つ物しがらみが毎度毎度あるんだがな。

レキの時は何も遠慮しないでも結ばれたから良かったけどなぁ……

ラフィールの時もまだ良かったか……

問題はその次の人生からだったな……

ローズはお姫様だったり、俺がコボルトだったり。

それもこれも爺さんのせいか? 否、爺さんのせいだな! 怨めしい。


脳内で爺さんに対して恨み言を吐いている間に都市の外へと出た。

そして恐ろしい事に気がついた……俺の後頭部にシャロンが鼻をくっつけてクンクンと音が聞こえる程何故か臭いを嗅いでいた。


「すぅ~…はぁ~……なんて良い臭い……食べちゃいたい」


ズゾゾゾと音がなるほど身体に悪寒が走った瞬間だった。

咄嗟に逃げようと考えが浮かぶと、胸の部分で魔素を吸い込む感覚が走り魔法が発動する。

あの場所に居た者達はさぞかし驚いた事だろう。

俺は刹那というべき瞬間に100メートル近く離れた場所に立っていたのだから。


レギン達が走って此方に近づいて来た。


「驚いたなぁ~、それがラフィの能力ちから?」


「ああ、魔法と呼んでいる」


「すごいねぇ、一瞬で移動しちゃうんだもん」


「これだけじゃないけどな」


レギンに向けて笑顔を浮かべると、レギンの後方で何かが噴出す音が鳴った。

何の音かとそちらを見ると、シャロンが盛大に鼻血を噴出していた。


「シャロン! 一体どうした!? 小僧に何かされたのか!?」


兄であるローグウッドは大慌てといった感じにシャロンへ駆け寄り叫んでいるが、当のシャロンは恍惚の表情を浮かべ、「ああ……もう死んでもいい……正に天使……」と訳の分らない言葉を吐いていた。というか恐い。

あのままだと出血死するのでは? と不安に駆られたので、魔素を吸い込み「シャロンの状態よ治れ」と願うと途端に血が止まった。


「とりあえず腕試ししましょう……」


「……わかった……」


ローグウッドはシャロンから離れ、背中に背負っている戦斧を1つだけ手に取り構える。


「じゃあ、始めよう、お互い間違っても殺さない様にね? ……始め!」


レギンの合図でローグウッドは地面の土を巻き上げながら突進してくる。

あの巨体でこのスピードは恐ろしく迫力があるなと内心で思いながら、魔素を吸い込む。


「止まれ」


声に止まれと言った瞬間ローグウッドを初め、その場に居た俺以外の人間の動きが途端に止まる。

魔素を吸い込みながら、再度願う。


「浮け」


その場の全員が地面から浮き始めた。

ローグウッドをはじめ、レギン達も驚きを隠せず慌てている姿は何処か滑稽にも見えるが、そろそろいいだろうか。


「ローグウッド、落ちろ」


先に『止まれ』という魔法を発動している為に、なす術も無く地面に落ちるローグウッドは衝撃を往なす事も出来なかっただろう、肺の中にあった空気を全て吐き出し、苦悶の表情を浮かべている。


「ゆっくり降りろ……とまぁ、こんなもんです」


ローグウッドを除いた3人を下ろして、手を左右に開き、彼等の反応を待つ。


「キャアアアアアアステキィィィィィ!!」


途端、ローグウッドの突進よりも早いのではないかと思える程の速度でシャロンが、兄であるローグウッドを踏みつけながら俺に突進して、否抱き締めてきた。


「グエエェェ……」


蛙が潰れた様な声を出す俺に気付いていないのか、シャロンは興奮を隠そうともせず。


「ああ、なんて素敵な人でしょう!? 良い臭いだし、可愛いし! それにそれに兄様よりお強いなんてええええ!

是非私の結婚相手になってください!

いえ、なりなさい! これはお姉さんの命令です!」


何かを口走っているが、そんなの認められるはずもなく、しかし魔法を使おうにも魔素を吸う余裕がない、そして軽く混乱してるから思考が停止状態。

だ、誰か助けて……

レギン達に助けを求めようと視線を向けるが、レギン達も驚きのあまり固まっているようだった。


そして、シャロンの締め付ける力が強すぎたのだろう……だんだんと意識が……なんか最近こんなのばっかな気がしてならない……ゲフゥ。

なんか濃いキャラな気が増えた気が……ついにラフィにモテ期が!?


とりあえず、キャラクタースペック的な物を書いておきます。




セラフィ=ブルーム

5転目のラフィ。

年齢は多分13歳ぐらい、彼が生まれた村が何処の国にも属しておらず、暦なんて物もなかったためわからなかった。

この世界で初めて魔王?を食べた人、またその為か胸の中心部分に黒い石が浮き出てきた。

その石はラフィの意思で新しく生まれた気体(魔素)を吸い込める性質を持ち、その魔素を吸い込み、強く念じると魔法が使える。

魔力こそ異常といえるが体力等は歳相応。

黒髪、黒目で子供ながら整った容姿をしている。

髪の長さは肩にかかるぐらいには長い、前髪は定期的に切っている。

身長は140cm程、やや栄養失調気味なのか痩せ細っている。


トルーゲ=トレンカ(レギン)

32歳、身長176cm

若干小柄な体型、蜂蜜色をした髪に物柔らかそうな物腰の青年?。

整った容姿と穏やかな性格から、一部の女性から王子と呼ばれているらしい。

しかし見た目とは反して槍の腕は誰もが恐れる程の持ち主。

ローグウッドが言うには彼の突きは目に見えない程。


レーナ=トレンカ(セレーア)

32歳162cm

老若男女魅了する魅力の持ち主(ラフィ除く)。彼女の笑顔を見ればどんな酔っ払いも目が覚めると言われる程らしい。

また、彼女は弓を嗜んでいるらしく、ギルドでもAランクという腕前の持ち主。

ギルド内ではレギンをギルドの父、セレーアをギルドの母と慕われてる。

ちなみに3児の母である。


ローグウッド=セレドガンド

192cm 24歳

ギルドのSランクの戦士、2丁の戦斧を操り、その戦う姿は荒ぶる獅子と呼ばれているとか。

獅子とは近年帝国領から南西の未開拓地で発見された、Bランクの戦士が数人がかりで倒せる程の強さを持つ獣の事である。

獅子の特徴は顔を覆う鬣だ、また体長が3メートルを越す固体もいて、メンバーの中でも獅子を倒す者は一流と言われる程である、

余談ではあるが獅子を1人で倒す事がAランク昇格条件らしい。


シャロン=セレドガンド

18歳159cm

ローグウッドの妹で、ギルドの受付嬢をしている。

そういう趣味の持ち主なのか、ラフィに異常な興味?を持っている。

兄とは違い、綺麗に整った顔立ちをしていて、ギルド支部の中では彼女のファンもいるという噂がある。

仕事に関しても完璧に近いのだがラフィの前ではそれも崩れている印象を受ける。

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