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転生ルーレット  作者: 秋葉 節子
転生四回目
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まさかこんなので逝くとは思わなかったわけで。

 俺と彼女が結婚してから、早2年が経った。

当時、ちゃんと子供が出来るのか、半信半疑ではあったが。

彼女は俺の子供を身篭ったし、無事子供も生まれた。

人間ではない種族の子供を産むかもしれないというのだから、精神的負担は大丈夫なのかと心配したが、彼女の強さ故か、心から喜んでいた。

同時期に、レギンとセリーアとの間にも子供が産まれていた。


ただ、生まれてきた子供達は純粋な人間ではなく、また、コボルトでもなかった。

人間とコボルトの遺伝子が混ざった結果なのかわからないが、どちらの特徴を持っている新しい種族と言うべき子供が生まれたのだ。


俺とローズの子供は、頭には犬の耳が生え、腰には尻尾を生やしているが。

身体は人間のそれだった、ちなみに、髪の毛は俺の遺伝なのか綺麗な白色の髪色だった。


レギンとセリーアの子供もほとんど同じだったが、耳は頭頂部ではなく、人間と同じ位置で垂れ下がっていた。

もしかしたら、コボルトと同じように、ある程度姿形に種類があるのかもしれない。


また、ローズとの子供は人間と比べれば成長は早いが、コボルトに比べるとかなりゆっくりとした早さだ。

コボルトは僅か3年で成人となるため、物心がつくのは僅か生後1ヶ月程からだが、この子達は半年を過ぎてようやくというのはおかしいが、言葉を喋るようになりはじめた。

コボルト族から見れば、それはとても遅い成長ではあるが、人間からすれば驚くべき早さなんだろう。

ローズは、手はかからないのだけれど寂しい、とボヤいていた。


 今では、1歳の子供が居て、やんちゃではあるが、とても可愛らしい子に育ってきてる。

成人したら、俺の後を告ぐと近所に言い周り、何処か照れくさく感じる。

また、人間とコボルト間の仲も良好だ。

俺とローズ、レギンとセリーア達が結婚して、半年も経つと人間とコボルトの夫婦等が徐々にではあるが増えていった。

見た目が違うだけに、不安はあったが杞憂に終わって良かったと思う。

この世界の人々は姿形の違いはあっても、ヒトを見る目には肝要なのだろうか。






 最近、ローズからの報告で、エルドマド帝国内で新種の食物が見つかったらしい。

傍目から見れば、ただの草なのだが、掘り起こしてみると土の中には白く細長い茎があり、その白い部分がとてもうまいと話題らしい。

ただ、掘り起こすとすぐにダメになってしまうため、保存を利かせられないと彼女は言っていた。

この世界に来てからというもの、果物や多くの食材を食べれてないせいか、とても興味が惹かれる。

一度でもいいから食べてみたいと思っていた。

まぁ、食べる機会はすぐに来てくれたのだが、とある商人が馬車の荷台に土ごと載せて、各地で商売をしていたらしく、集落の南にある人間の村で活動していたメンバーがお土産にと何本か持ってきてくれたのだ。


調理法について聞いたが、よくわからないとの事で、とりあえず焼けばいいだろうと、彼女がネルギを焼いてくれた。

このネルギ……名前といい形状といい、既視感に襲われた。

なんというか、あれだ……これどう見てもネギだ。

焼いている最中の臭いでなんとなくそう思ったんだよな……

まだ、この世界に来る前にはよく目にしていた食材の1つだった。

懐かしさを覚えながらもありがたく戴く事にした。

焼きネギを口に放り込み、租借する。

シャキシャキした歯応えとネギ独特の甘さに顔がにやける。

俺がおいしそうに食べているのを見た、ローズも口に入れ、美味しいと絶賛していた。

親子3人で美味しく食べた。

そういえば、犬には与えてはいけない野菜等が多々あると聞いたが、どうだっただろうか?

まぁ、コボルトにそれは適用されるかはまったくわからないのだが。




 その日からネギは俺の好物となった。

といっても、初めて3日しか経ってないのだが。

若干味は違うが、馴れ親しんだあの食感が忘れられず、毎日食べていた。

今思えば、何故食べてしまったのだろうと後悔するのだが、今となっては遅すぎたと思う。


異変が起きたのはネギを食べ初めて3日目の夜だった。

気分の悪さに目が覚め、身体を動かそうとしても、頭に血が足りてないかのように全く動かず、しかし心臓の音は激しい音を鳴らしていた。

また、気持ち悪く今にも胃の中の物を全て吐き出したい欲求に駆られた。

その異変に彼女も気付いたのは、横で寝ていた彼女は上半身を起こし、俺を心配そうに眺めながら大丈夫かと聞いてきた。

けれど、反応できない俺を見て、血相を変えて俺に向くと、子供を起こし、子供をレギンの居る場所へ行く様に伝えていた。

子供に伝えた後、俺の背中を摩り続けるが、一向に俺の体調に回復の兆しが見えないと、更に慌てだし。

彼女がどうすべきかと混乱していると、レギンが慌てて部屋の中に入り、俺の身体を見て普段の笑顔が何処へ行ったのか、目を見開き固まっていた。


「ラ、ラフィ……ごめん、確認のために灯りをつけるよ」


レギンはそう言うと慌てて近くにあった蝋燭に火をつけて俺の近くに置く。

そして、自分の身体を見て、絶句した。

白い体毛の内側の至る所に黄色い斑点が浮いていたからだ。

そして、直後我慢の限界が現れ、一気に胃の中の物が吐き出された。

といっても、胃の中には何もなく胃液だけが床に吐き出された訳だが。

吐いたショックなのかわからないが、意識が休息に遠のいていき、それと同時に身体の辛さが無くなっていった。

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