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転生ルーレット  作者: 秋葉 節子
転生四回目
35/74

爺さんに投げさせた事に後悔してるわけで。

今回の会話で『』は爺さんのセリフではなく、現地?の言葉の翻訳後の言葉となります。

 さすがに転生もこれだけ繰り返すと慣れたものだと自分ながらに思うんだが。


『さすがにこれはねーよ』


とりあえず、あの爺さんのウザさは異常だと思う。

気が狂う人が居てもおかしくないだろう! 常識的に考えてもさ。

あの爺さんは俺の転生先を決めるルーレットを何故か爺さんが投げて、勝手に決められた。

まぁ、それは良しとしよう、某油蟲のアイツとかじゃないし。

けどさ、何が悲しくて……


コボルトに転生しなきゃいかんのじゃああああああ。


そう、俺は爺さんのせい(という事にしといてくれ) でコボルトに転生したわけだ。

けどその格好は他のコボルトとは違い浮いているわけだが。

コボルトの父親とコボルトの母親の間から生まれたので種族はコボルトに当てはまるだろう。

ただ、本来コボルトの毛は茶色であり、決して白とか黒が入った毛の色ではないのだが。


『何がないんだ?』


ちなみに、聞いてきたのはあの爺さんではない。

俺とほぼ同じ時期に生まれた茶色の毛の何処からどう見てもコボルトな幼馴染である。


『なんでもない……』


『まぁ、お前の変人ぶりは今に始まった事じゃないが』


はぁ……と俺は深い溜息をその犬のように長い口から吐き出した。

というか、何でコボルトなんだ……

確かにさゴブリンとかよりはいいよ?

うん、俺はゴブリンよりもコボルトの方が好きだよ。

だってコボルトの顔って見た目は犬じゃん?

けど、驚いた事にコボルトって色々な顔があるんだな。

前にチワワみたいな顔の奴がいたりして思いっきり吹いた事がある記憶は新しい。

けど……けどだ、俺の顔はどう見ても犬というより狼ってイメージなんだがどうだろう?

ちなみに身体能力は顔つきによって違う。


俺が元々いた世界での狩猟犬みたいな顔つきのは基本的に戦闘要員となる。

この世界でのコボルトと呼ばれる見た目の奴等がコレだな。

次いで愛玩犬みたいなのは集落の炊事等をやってる。

ちなみに、コボルトは腰蓑しかつけてないわけだが、この腰蓑を作ってる? のがその愛玩犬顔のコボルト達だ。

というか、腰蓑……って思ってしまう。

人間と違って、防具や武器を作るという技術がない証拠だろう。




 現在、俺が暮らしている場所なんだが。

どこかの平野にコボルトの集落がある。

何処かというか、たぶんカリブス国の北側にある山挟んだ向かい側ではないかと思うんだ。

どうしてそう思うかというのも。

集落のすぐ東には大きな川があり、南には見慣れては居ないが、カリブス国の北に位置する大きな山に酷似した山があるからだ。

それに、南に行く大人コボルト達が何人か殺されたという話を聞くし。

たぶん、Cランクのメンバー達ではないだろうかと思う。


ちなみに、生後3年未満のコボルトは子供コボルトと呼んでいる。

3年経つとその集落の族長と共に狩りに連れてかれ、狩りから戻ると集落皆総出で祭りみたいなのをするからだ。

ちなみに、俺はまだ2歳と少しぐらいだと思う。

俺より1年前に生まれたコボルト達が既にその狩りを済ませてるからね!


にしてもだ……今回はあれだな、ローズが居なくて寂しい。

前はただ我武者羅に子供時代をすごしたからいいんだよ。

気付いたら騎士団に入って、ローズと出会ってたし。

けどね……今回はコボルトだぜ?

もしかしたら彼女もコボルトになってる可能性はあるかもしれない。

けど、ないかもしれない。

うわああああああもう、どうしよう! これどうするべき!?

頭を抱えてゴロゴロと転がっていると、脇腹に衝撃が走った、どうやら誰かの足に当たったようだ。


『まーた、変な動きしてるのな……』


ほぼ同じ時期に生まれた、戦闘向きなコボルトの……そういえば、コボルトに名前という文化が無かった。

こいつの顔立ちがなんとなくシェパードっぽいからシェパードと頭の中では呼んでるが。


『いいだろう、俺がどんな動きしようが俺の勝手だ』


『そうは言ってもなぁ……次期族長が変人《変コボ》なのは嫌だぞ……』


『だ、誰が族長なんてやるかよ、面倒くさい!』


そう、何故か俺は次期族長になると村の人々が決めている、勿論現族長もだ。

理由としては、他の誰よりも優れた身体能力。

そして、本来のコボルトは茶色の毛をしているのだが、俺は何故か黒と白なのだ。

水を川で飲んだ時に見たけど、シベリアン・ハスキーって感じの顔でした。

どう見てもワンコです本当にありがとうございました。

何がテストだ! あのじじい……これで、ローズもコボルトで体毛が真っ赤とかだったら泣くぞ色々と。

嬉しいといえば嬉しいが。

まぁ、それがローズならばって話だけどな!

テストと言ったのは俺が初の人外でその行動がどうなるか見物だから、そう言ったのか!?

あ……すごい腹が立ってきた。




 1人で百面相をしている間にシェパードが俺の肩を叩いてきた。

何やら用事が出来たみたいだな。


『なぁ、族長がお前の事呼んでるらしいぞ』


『ん……わかった、今向かう』


すっと立ち上がり、コボルトのシェパードに言われた通りに族長が居る家へと向かった。


家といっても掘っ立て小屋みたいなもんだけどな。

コボルトに人間のような生活を期待してはいけない。

期待したが最後、俺みたいになってしまうからな。




 『族長、お呼びですか』


『おお、来たか白いの、呼んだのはだな……

 最近人間がこちら側にまで進出しだして我が家族達が殺される被害が多発しているのだ』


ああ、確かにコボルトとゴブリンをかなりの数を倒さないとBランクにあがれないからな。

最近被害が増えたというのならBランクに上がろうと思っている団体さんが乱獲しているんだろう。


『確かに、人間達はメンバーと名乗る者達は俺達コボルトやゴブリン達を殺して生活していますからね。

 たぶん、数人か数十人規模のメンバー達が私達を殺すために来ているのでしょう』


『……なるほどな、それにしても白いの……』


『なんですか族長』


『何故お前はそんなにも人間に詳しい? それにゴブリンと言ったか、あの小さい奴等の事も知っているのは何故だ?

 俺達コボルトとあのチビどもで関わりを持った事も無い。

 むしろ敵対している種族のはずだ、子供には存在さえ知っている者はいないはずなのだが』


まぁ普通怪しみますよねー。

『実は俺、元人間なんです』とか言ったらどうなるんだろう?

というか、なんで俺今まで言動に気をつけなかったんだろうか。

ショックのあまり、頭のネジでも飛んじゃったのかな?


『まぁ……何故か生まれた時からそのような知識がありましたので……私自身わかりません』


嘘は言ってない、すべて真実とは言えないけど。


『ほう……見た目が珍しいからか、そういう事もあるのだな』


ああ、信じるんですね、さすが族長と言っておこう。


『それで、自分を呼んだ理由は?』


『ああ、少し早いが白いのに経験をつませようと思ってな、お前の強さならその辺りの人間も楽に殺せるだろう? だからちょっと人間どもを倒してくれんか?』


ノリが軽いですね族長。

確かに新人のメンバーとか実戦経験が少ないメンバーなら倒せると思うけどさ。

俺が暴れた後の事とか考えてないのかな?

Aランクとかならまだしも、今の時代にSランクとかいたら強さは未知数ですよ?

俺が最後に死んでから何年経ってるのかもわからないんですよ?

んでもって、俺の見た目が普通のコボルトじゃないから、俺を狙った最上位ランクのメンバー来たらもれなくこの集落つぶされますぜ?


『あー……族長、お言葉ですが……俺が暴れた結果、私でも敵わない人間が現れたら如何するおつもりで?」


『その時はこの集落が滅ぶ時だな、今多くの家族を失うか、全滅するかの違いだ。

 それなら俺は後者を取るよ』


この族長……格好いい。

顔が犬だけど……おとこは見た目じゃないよな!


『……わかりました、しかし自分はまだ成人してませんが?』


『何、白いのは既に成人している奴等より強いだろう、次期族長の訓練だと思って気楽にやれ

 むしろ、早く族長になってくれ面倒臭いから』


はぁ……格好いいのか適当なのか他力本願なのかよくわからん。

ただ、この族長はサッパリした性格のせいか、普通に接してて楽しい。

というか、人間時代何も考えずに殺してたんだなと今更ながらに罪悪感を覚えたよ。


『それで、何時から南に向かえば?』


『俺としてはしっかり準備をした3日後ぐらいと思っているが、まだ2歳の奴等が何人も居るだろ、そいつらも連れて行ってやれ。

 そいつらと相談して出発は自由に決めていい』


はい、出ました適当です。

サッパリしすぎるのも考え物だよな、俺はこうならないようにしよう。

ただ、たまに格好いいこと言うから憎めないんだけど。


『わかりました、では失礼します』


会釈し族長の家から出ると、同じ歳の仲のいいコボルト達が囲んできた。


『族長はなんと?』


『危険な事じゃないよね……?』


『何処か出かけるなら俺も連れてってくれよ』


『お疲れ、族長の話ってわけ分らない時あるよね』


上から準にブルドック、コリー、アキタ、と脳内で呼んでいる、顔がそれっぽいからね!

最後のはシェパードだ。

ぶっちゃけ、見慣れた今は慣れたものだけど、コボルトになりたての頃は気持ち悪かった。

だって、シェパードはもう何百と狩りしてるからいいけど、ブルドックとかコリーっぽい顔で二足歩行なんだぜ?

それも皆ガッシリとした体格だし。

気持ち悪いったらありゃしない。


コボルトになって知った事だが、顔付きによって狩りする地域が分けられている。

ちなみに、南はシェパードと似たような顔の奴等が多い。

族長は基本的に集落を出ないから顔つきは関係ないらしい。


そう、人間の頃はシェパード顔をいっぱい狩ってたという事だ。

そして、最近の乱獲のせいでシェパードの顔つきのコボルト達が減ってきている。

で、今回の俺の役目でコボルトの被害を減らすと言うわけだ。

でだ……ただでさえ珍しい毛色な俺と普段見る事のないこいつらを連れていくとだ……

メンバーの間で一気に情報が広がるとなる。

新種のコボルトの情報を知りたい、捕獲求むみたいな依頼が溢れそうだ。

危険率倍増どころじゃねぇ……


『あー……なんか族長が南で人間が仲間を殺しまくってるから敵討ちに向かえってさ……』


そう言うと、コリーだけは顔が引きつったが、他の3人《匹》は狩りをするような表情に変わる。

たぶん、俺達も連れてけって言いたいんだろうな……

ブルドックやアキタ等は北と西のため、被害はそんなにない。

けど西はエルドマド帝国領の近くのため、少ないにしても被害はでてるのだ。


『なぁ、俺もつれてってくれよ』


シェパードが『この通りだ』と起用に手を合わせて頭を下げる。

というか、どうやってそんな人間の動きが出来るんだお前。

後で俺も出来るか試してみよう。


『俺も着いて行かせてくれ!』


『俺も』


アキタとブルドックもそう言ってくる。

あーもう! と悪態を付きながらも、どう言ってもこいつらの事だから着いてくるんだろうと諦めて、俺の指示に従うなら良いぞと伝えた。


コリーは悩んでいたようだが。


『無理はするな、お前は俺達の無事を祈っててくれ』


『う、うん……祈ってるから! 無事に戻って来てよ!』


コリーは情けない表情になるがすぐに変わり応援してくれた。

もしかしたら、罪悪感でも感じたのだろうか?

俺はコリーじゃないからわかりはしないが、家族以外にも待っていてくれる者が居るとわかると人間強くなるもんだ。

まぁ、俺達はコボルトなんだけどな。


皆で頷きあって、出発する日を相談する事にした。

俺としては3日とか4日ぐらい入念に準備したかったんだが、明日にでも行くと他の奴等が聞いてくれなかった。

族長に相談したら、明日にでも行って来いと言われた……

なんだろう、転生する事に俺の人生の難易度上がってない?

トホホ…と嘆息しながら肩を落とすと、シェパードは俺の肩を叩き。


『よろしくリーダー』


と目を細めて言ってきた。

頼むから俺の指示には従ってくれよお前ら……

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