また展開が速すぎるわけで。
爺さんから俺の死期が近い事をまた教えられた。
どうやら1年ないらしい。
そのくせ、また襲撃イベントがあるから頑張れよといわれた。
年齢も30手前になってたしソロソロ来るとは思ってたけどなぁ。
最近は平和だったというのもあるか。
ケファラス村にギルドが置かれてからは治安が良くなり、盗賊達は鳴りを潜めていた。
盗賊の出現は南西の未開の森あたりからしかないらしい。
もしかしたら、あっちにもケファラス村のように集落があるのかもしれないな。
治安のよさで言ったら、この村はレキ村の次に良いしな。
Aランクになった俺からしたら暇でしょうがない。
ほとんどの依頼がケファラス村かレキ村までの護衛や野獣の討伐、職人の手伝いぐらいだ。
そのせいか、新人メンバーが良く来る様になった。
ちなみに、子供は4人ほど居る。
息子2人に娘2人どちらもローズに似て可愛らしい容姿をしている。
身内補正があるのは否定しないがな。
長女はギルドの受付をしているし、ほかの2人はメンバーになると言って聞かない。
まぁ、夫婦でメンバーだからメンバーに憧れているんだろう。
長男は既にギルドに加入し、その日のうちにクランにも加入している。
今はCランクでケファラス村でレギン達と依頼をこなしているはずだ。
「にしても……ローズ達になんていうか……」
ローズ達に俺の死期が近い事を伝えるか。
しかし、そうなると彼女の反応が恐い。
どういう反応をするのだろうか?
怒るか? 悲しむか?
信じてくれないかもしれないな。
常識的に考えても死期が近いのを感じるのは高年齢になってからだ。
俺はまだ30手前……死期を感じるには早すぎるもんな。
あ~、どうしよう。
悩みながら1週間、2週間と経過していくが、未だに俺が死ぬような気配はない。
はっきり言って、かなり不安があるし、ローズたちになんと言うかも悩んでいた。
死期を知ってから半年後、未だにローズに死期の事を言えずにいた。
そんな中、ジャイアントアントがケファラス村の近くで確認されたと報告があった。
通常サイズのジャイアントアントが20匹程が村の西側で発見されたらしい。
その事を聞き、A、Bランク以上の者にケファラス村へ向かう様に指示を受けた。
まぁ、その時自分の死に場所がここだと思ったのは当たり前の事かもしれない。
自分とローズはその日のうちにケファラス村へと向かった。
翌日、レギン達と会い、作戦等を相談する。
Cランク以下のものは村の防備を当たらせ、Bランク以上が巣へと襲撃を掛ける事にした。
それから数日後、村の近くまでジャイアントアントが近づいてきていたので、レギン達と協力してそれを撃退。
ジャイアントアントとの小競り合いを数回こなすと、ロキ達レキの村のBランク以上のメンバーが到着した。
ロキは50歳を越えた高齢となっているため、昔のような力強さを感じなくなっていた。
高齢の者達には村の防衛時の指揮をお願いし、襲撃する者達には20~40代の者達を当てた。
そして、その翌々日、総勢20名という大人数での討伐となった。
-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-
「……20名じゃ足りなかったかもな」
「そうだね……これは予想以上の数だね」
目の前にはジャイアントアントの巣と思わしき洞窟があった。
穴の大きさは4,5メートル程、明らかに女王のサイズが異常だとわかる。
「しょうがないな、入り口にはローズをはじめとした5人つけ、ほかは突入するぞ」
指示を出し、出発しようとした時ローズからまったがかかった。
「私も突入班に入るわ」
自分の耳を疑う、彼女が突入班に来る?
たぶん、俺はここで死ぬだろう。
死に際等見せたくない。
「ダメだ、お前はここで帰りを待ってろ」
「嫌よ、貴方何か隠してるでしょ?」
図星だ、何故わかったのかと驚いた。
「貴方が隠し事してるのなんてわかってるのよ、あまり馬鹿にしないでよね」
若かりし頃とは違い大人の魅力をこれでもかと醸し出している彼女の表情に戦場だというのに思考を停止させられた。
どうやら、ローズに俺は勝てないようだ。
「わかった……どんな結果になっても後悔だけはするなよ」
「勿論よ」
Bランクの者を一人待機班にして、洞窟の中に入る。
ジャイアントアントの巣に入るのは実はこれで5回目だ。
ジャイアントアントは何処にでも居るようで、度々討伐隊を組む為に色んな町へと行っている。
2メートルなサイズは一度も遭遇はしてなかったけどな。
カサカサと虫たちの足音が聞こえ、周りのメンバーに指示を飛ばす。
「各自構えろ、もしかしたらアシッドアントも居るかもしれない油断はするなよ」
アシッドアント……ジャイアントアントより一回り程小型の蟻だ。
特徴としては、腹板から人間を溶かす程の酸を吐き出すのだ。
油断をするとAランクの者でも簡単に命を落とす危険なモンスターだ。
ジャイアントアントは強力な顎で襲い掛かってくるが、アシッドアントは遠距離からの攻撃してくるために厄介でもある。
洞窟の奥からジャイアントアントの群が襲い掛かってきた。
見える範囲ではアシッドアントはいないようだが。
「後方の数人は天井に注意を向けろ、アシッドアントが出てくるかもしれない」
了解と後方のBランクの声を聞きながら先頭の一匹へ切りかかる。
ジャイアントアント自体はCランクでも対処はできる。
ただし、数が尋常ではないのだが。
巣の中には100匹以上は楽にいるのだ。
Cランクでは数匹は倒せても倒してる間に殺されるのがオチだろう。
「よし、先に進むぞ」
奥から出てきたジャイアントアントを一掃し先に進む。
すると分かれ道があった。
片方は蛹がいれられている育児部屋だろう。
もう片方が女王と卵がある部屋になってるはずだ。
どちらだ?
「レギンと半数は右側へ行け、それ以外は俺について来い」
左側の通路が右側より一回りでかいサイズだ。
という事は左に女王がいるんだろう。
ローズもわかっているのだろう俺についてくる。
正直言うと蛹がいる部屋に行ってほしかったのだが。
蟻達が作った通路を歩き続ける。
何個目かの開けた部屋を抜けていくと。
奥から数十匹のジャイアントアントが出てきた。
大きさが1メートルを越えてる。
「通常よりもでかいな……」
数年前に戦った奴等よりは小さいが、通常のよりも梃子摺るだろうな。
通常よりも巨大なため、メンバーは同様しているようだ。
俺とローズが中心となり、ほかのメンバーには援護中心に命令をし、ジャイアントアントを一掃する。
やはり、普通のよりも固いな……
もしかしたらジャイアントアントの新種だったりするのか?
そんな事を思いながらジャイアントアントを駆逐しながら奥の部屋へと入る。
そこが最奥のようで、女王蟻が居た。
サイズはジャイアントアントよりも遥かに巨大で、ゆうに3メートル近いサイズだ。
「これはでかいな……」
普通のジャイアントアントの女王は2メートル程だが、それでも巨大だ。
見えてる部分だけでも巨大なのがわかる。
どうやら腹の方は壁に阻まれて見えないが規格外なのは変わらない。
来ないとは思うが、ローズを含めた数人に後方から来るかもしれない蟻達の警戒するよう伝える。
そして、残りの者達で女王蟻と退治した。
気付いた事が、どうやら女王蟻はあまりの巨大さに身動きが取れないようだった。
しかし、さすが突然変異といった所が俺の剣でも切れない。
一体どんな硬さだよ……
しかし、痛覚はあるようで、何度も足の関節を狙えば悲鳴の様な泣き声をあげている。
動きはそんなに早くもないし、問題なく体力を削っていく。
一人に足や顎を向ければ、向いてないメンバーが襲い掛かる。
動きまわられたらもっと苦戦したかもしれないが、はっきり言ってしまえば硬いだけの案山子みたいなものだ。
蛹達が居る部屋の掃除が終わったレギン達が来る頃には女王蟻は既に瀕死の重傷だった。
「そっちも終わりそう~?」
レギンの声が聞こえたので追いついたのを自覚しながら、蟻へと切りかかる。
蟻は既に息も絶え絶えで、足は折れ、顎も吹っ飛んで消失していた。
そして、俺の頭への渾身の一撃で絶命したのを確認した。
「お疲れ様~随分大きな女王だねぇ」
レギンは何時もの通り笑顔のまま労いの言葉をくれる。
ローズも無事女王蟻を倒せたために安堵の表情を浮かべていた。
「驚いたよ、ただな巨大すぎたせいか身動き取れなかったみたいで苦戦はしなかったけどな」
そう言って、女王の蟻を向いた瞬間。
バシャッと何かが頭に掛かったのを感じた瞬間意識が一瞬で消えた。
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