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転生ルーレット  作者: 秋葉 節子
転生二回目
21/74

レギンの場合賭けにならないわけで。

 屋敷を出ると、セレニアが父親の骸を抱いて泣き崩れていた。

なんとも悼まれない。

「ねぇラフィ」

「ん?」

何時もとは違い、低い声のレギンの声。

「ボク達があの日盗賊退治に出なければこうはならなかったのかな」

俺達が関わらなければ、彼は死ななかったのかな? レギンはそう言いたかったのだろう。

もしかしたら、死ななかったかもしれない。

けれど、そうじゃないかもしれないし、時間の問題だったかもしれない。

「そんなのは知らん、ただ……」

「ただ?」

「俺達があの日、あの依頼を受けたから彼女は助かったし、この村の一部の人々は笑顔になるだろう」

そいつらが来たから死んだんだと言われても。

俺達は何も変わらないし、世界も変わらない。

「俺達が来たせいで、名前なんだっけか? あの、代表達は死んだ事になるぞ」

彼女は悲しい現実を目の当たりにしているけれどな。

「じゃあさ、僕達は彼女に何かしてあげられないかな」

そうレギンは彼女を眺めながら言った。

「そうだな……誰か隣に居てほしい人も居れば、放っておいてほしいって人も居るだろう。

 彼女がどちらかは知らないし、俺達じゃ役不足かもしれない。

 けどな、やる前から臆病になってたら何も出来ないぞ?」

レギンにそういい放ち、彼女は任せると伝え屋敷の中にいまだ残っている人達を呼びに行った。


 家族を失って悲しむ者。

重圧から解放され喜ぶ者。

甘い汁を啜っていたがため粛清を受けた者。

色々な人の感情があった。

その日は反抗勢力の者達は盛大に祭りだと喜んでいた。

一人を除いてはだが。

村の広場では宴会が広げられていたが、彼女は外に出る事はなかった。

まぁ、レギンが一緒に居るみたいだったので大丈夫だろうとは思うが。




 翌日の昼頃、新しく村の代表となった数人の男達とロキをはじめとしたAランクメンバーの面々が今後について話し合っていた。

といっても、俺達ギルドは基本的に何もしないが。

通貨をこちらでも利用可能にし、ギルドの支部を村に設置する事。

代表達は少しも疑う事なく全て即答で了承してくれた。

大丈夫か? この村。

そして、この村に誰か一人はAランクの者をこの支部のギルドマスターにしたいとロキは言っていた。

村の方は是非お願いしますと頭を下げているあたり、今後の行く末に不安になる。

知り合って数日も経ったない俺達を信用しすぎではないだろうか?

と、本当に悩んでいたら、レギンが自分が残ると言っていた。

まぁ、本音はセレニアから離れたくないんだろうな。

あんなレギンを見るのは初めてだし。

ロキは一瞬寂しそうな表情を浮かべるが、レギンが普段見せない引き締まった真面目な表情で見つめているためそれだけ本気なのだと感じたようだ。

そして、隣村の筆頭メンバーの俺とは良く話し合い、森の開拓も頼むとロキから頼まれた。

今の状態だと、所々に木の杭が刺さっただけの森を通らないと行けないからな。

中には迷う者もいるだろう。

了承の旨を伝え、お互い握手をし解散となった。

それから、アリアドとバーチェはレギンを支えたいと俺に言ってきた。

誰かしら、レギンを支える者達は必要と思っていたので頼むと言い、一部のメンバーを残して村を後にした。

後日知った事だが、この村の名称をケファラス村と決めたらしい。






-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-






 村に到着した後はクランメンバーに解散と伝え早々とマスタールームへと入る。

ちなみに、現在寝室はローズと俺でともに使っている。

でだ、寝室に入るとローズは睡眠中のようだった。

こんな時間から寝てるのは珍しいと思いながらまじまじと彼女の寝顔を観察する。

最近眠れないのだろうか、悪夢でも見てるのか眉間に皺を寄せ唸っている。

少し心配になり、起こさないように近寄りベッドに腰掛ける。

そして、彼女の額に手をあてた。

すると眉間の皺が緩み、安心したような寝顔に戻った。

漫画とかではたまに見るけど、目の前で見るとあれだな、あまりの可愛さに吐血する。

それだけ、俺という存在に安心してくれているのかと前向きに考えていると。

彼女が俺の存在に気付き目が開こうとしていた。


「あれ……ラ…フィ…?」

「ああ、ただいま今戻った」

そう答えるとローズがカッと目を見開き起き上がる。

「妊娠しているんだから、急に動くな危ないから」

注意すると気付いたのかごめんなさいと謝っている。

そして、緩慢な動作ではあるが俺の背中に抱きつき、「おかえりなさい」と呟いた。

あの村での出来事で色々と疲れていた俺の心が休息に癒されていく。

なんというか、俺の嫁最強だな!


『ノロケ乙』


じゃあ、見るなよ。

まぁ、しかしだ。今の俺は爺さんの言葉に一々キレないぐらいには癒されているからな!

なんと言われようと痛くも痒くもない。


『そうか、ちなみにお主の寿命はまだまだ長いから安心しな』


それはよかった。


『ちなみに、セレニアはレギンの嫁になるに1000円』


ここの金は円じゃねーよ。

それに、賭けにならないだろう。


『まぁな、傷ついた心に、美男子が隣で支えてくれてるんだ。落ちない方がおかしい』


うむ、その通りだ。

俺だったら、色々とかわいそうな結果になるから言うなよ? というか、俺にはローズがいるから他に女はいらん。


『格好いい事言うねぇ』


そうだろう、今の俺は絶好調だからな。


「ラフィ? どうしたの?」

どうやら俺の顔がにやけていたらしく、彼女の目から見たら変な風に写ったみたいだ。

「ん? いや、ローズと一緒に入れて幸せだなぁってな」

そう答えるとローズの顔が真っ赤になり、照れながら「…バカ」とか言うわけですよ、お爺さん。

ウチの嫁は世界一イイイイイイイ。


『どうみても、馬鹿です本当にありがとうございました』


新キャラクター紹介。

というか、前回忘れてたので。


バーチェ・フリーデ

元レギン追っかけの一人。

基本的に、陰口は嫌いなため嫌いな者は嫌いだと答える女性。

現在はクランメンバーを皆仲間だと思っているため、ラフィの事をちゃんと信頼しているし、ラフィがリーダーとして認めている。

最近はレギンのことは尊敬するお方と思ってるようだ。

全長70cm程の小型の刺突剣を扱う。


ミューエ・ロート

赤が混じった黒髪。

元レギン追っかけの一人。

猪突猛進で目標を定めたら直進しかできない。

レギンに夜這いを掛けたのは実は彼女。

マシになっていく傾向はあるが、未だにラフィを嫌悪している。

武器は全長60cm程と小振りな反りの激しいカットラスを扱う。

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