未開の森を抜けたわけで。
今、俺はセレニアとレギン達の4人で未開の森の調査をしてたりする。
慣れた盗賊退治の依頼のため未開の森に入った事がきっかけだろう。
森の中で俺達は一人の少女と出会った事んだ。
セレニアが誰かって? それは俺も知りたい。
彼女自身も、俺達を見て穏やかそうな雰囲気の目を見開き驚いていたんだから。
-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-
いつも通りとは言うのもなんだが、Cランクの依頼である盗賊討伐の依頼をレギン、アリアド、リバルの4人で受けていたんだが。
盗賊達が暮らしていた場所に俺達と同い年ぐらいの見知らぬ女性が捕らわれていた。
何処からか攫われたというのはわかるが、あの村出身ではないと思う。
見たこともないし、ローズという存在がいなければ見惚れる程の美貌の持ち主だったからだ。
ローズが俺の隣にいないのは、アレだ……夫婦としての結果というか子供がというか。
まぁ、それはいいとして!
その女性は気を失っていて、服は所々破かれてはいたが手遅れという訳ではなかったし……
ああ、何故女性メンバーを連れて来なかったのか。
まぁ……うるさいのがいるからなんだが。
俺への態度は緩和されてはいるが3人ほど俺の存在を嫌悪してるのが居るからな……基本女は苦手だ。
話が脱線したな、で……この女性をどうするか。
まぁ、近くにあった盗賊が使っていただろう動物の毛皮を女性に被せ起こすことにした。
「おい、大丈夫か? 起きろ」
「う、ううん……」
起きない、どうするか。
「起きないと食べられるぞー」
「い、いやああああああ」
おお、飛び起きたが、飛び起きると被せた毛皮が捲れて(略
「あ……」
うん、この状況だ、勘違いされるよねー?
再度女性の甲高い悲鳴が今は亡き盗賊達の住処から響いた。
至近距離に居た俺達の鼓膜が破れるかと思ったわ。
「助けていただき、本当にありがとうございました」
「うんうん、気にしないで~」
とりあえず、俺含めた強面な3人だと怯えられるのでレギンに彼女の扱いを任せ村へ戻る事にした。
ああ、イケメンっていいよね爆発すればいいのに。
「ラフィさん、親の仇を見るような視線をレギンさんを見ないであげてください、彼女が怯えます」
そんな視線をしていたのか、気付かなかった。
「そんなつもりはなかったんだがなぁ」
「ラフィ様にはローズさんが居るじゃないですか」
俺に注意したのがアリアドで俺を様付けしてるのがリバルだ。
リバルは何故か俺の事を尊敬しているらしい、腕っ節に惚れたとか? よくわからん。
「まぁ、ローズが居るしどうでもいいんだがな、ただ女は苦手だよ」
ローズさんが居るのに……とリバルは言っているが、ローズは周りに居る女とは違うだろうと思うんだが。
「まぁ、今日は村に戻って彼女を休ませましょう、その後彼女の家まで連れて行ってあげればいいと思います?」
リバルの言うとおりだな。
「そうだな、部屋は余ってるしそうするとしよう」
そう言って、俺達は村に戻った。
-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-
食事を済ませて彼女の自己紹介、それと何処に住んでいたかを聞いた。
名前はセレニア・ケファラスと言うらしい。
出身は森を反対方面に抜けた場所にあるらしい。
その集落の代表が私利私欲のため、生きる事のできない者達が盗賊と化しているとか。
それなりに彼女は裕福な家の生まれらしく、盗賊達に攫われ身代金を要求されていたという事だ。
「盗賊が何処から来るのかは今まで疑問だったか、そういう事だったのか」
「え? あいつらって森の中に生きてるんじゃなかったんすか?」
さすがにそれはないだろう、住処を見た限り村で暮らしていたような名残はあったのだし。
まぁ……アリアドは少し頭の回転が悪いからか。
「じゃあ、明日は数人連れて彼女の村まで連れていこうか。
「そうだね、ボクも着いていくよ」
「一応村の代表に挨拶しないと行けないし、俺も行こう」
ローズはこちらを睨んでいるが、許せとしか言えない。
レギンはギルドマスターの息子でAランクメンバーではあるけどな。
まぁ、知的好奇心といわれればその通りだけど。
ローズにはその日夜通しで説教されたのは言うまでもない。
「あまり私を放置するな、素っ気無くされると寂しくなる」と少々俯いて言う彼女に内心悶えたけどな。
ああ、ローズは世界一良い女だ。
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というわけで、現在セレニアを連れて森を移動中だ。
今回のメンバーは俺、レギン、ディネとセレニアの4人だ。
ディネはレギンの追っかけの一人で、クロスボウを得意としている。
性格が臆病なせいか小さな物音とかにも敏感に反応するので、視界の悪い森の中等で頼りになる存在だ。
また、俺をそこまで嫌っていないというのもいい。
「で、この森ってどれぐらいで抜けれるんだ?」
セレニアに聞くがやはり少し怯えた表情だ。傷つく……
「セレニアさん、ラフィはああ見えて意外と繊細だからね。怯えないであげると嬉しいな~」
ああ見えてってなんだよ、確かに体格はレギンよりでかいが。
「え……そうなのですか!?」
そして、何故そこでディネが驚く。
「女性が嫌いなだけかと思ってましたよ。
同じクランなのに何処か距離を置かれていますし」
女性は苦手だが嫌いではないんだが……距離を置いてるのはお前らの毒舌のせいだと言いたい。
「んー……クラン作った時のディネ達の言葉に傷ついた結果だと思うけどねぇ~」
正にその通りだ。
レギンがディネにそう言うとディネは「すいませんでした」と今更ながらに謝ってきた。
ぶっちゃけ、過ぎた事だし、どうでもいいんだがなぁ……
蚊帳の外のセレニアは俺とレギンの顔を交互に見て、クスリと笑っていた。
「お二人は仲がいいんですね」
「うん、ラフィはね~とっても強いし、優しいんだよ?」
優しいかどうかは知らないけどな。
「それに頼れるリーダーでもあるしね?」
ね? と俺に聞くなよ。
「自覚はないけどな、それに俺も未熟なのを自覚している」
「それに謙虚でしょ?」とレギンはセレニアへ言っている。
というか、レギンがここまで積極的に女性へ話すのは珍しい。
ディネを見ると会話に入れないためか、恨めしそうにこちらを見ている。
なんというか、人選間違えたか……? いや、他の奴だったらもっと酷いか……
日が落ち始める頃に森を抜ける事はできた。
森の入り口周辺は伐採跡があったため、もう少し奥まで森はあったんだろう。
そして数百メートル先には木の柵に囲まれた集落が見えた。
集落というより砦みたいではあるが。
10メートル近い櫓もあるしな。
そして、彼女を確認したからだろうか、20人程の男達が槍等を手に持ち近づいてきた。
盗賊と勘違いされてそうだな。
そして、その中から、一人の中年男性と数人の男達が走って出てきた。
男性の人一倍心配そうな表情を見る限り彼女の父親だろう、と思っていたら。
「お父様!!」
予想通りである。
「セレニア……無事で、無事でよかった」
感動のご対面という奴か、俺はこういう雰囲気が苦手なんだ……目に汗が溜まるからな。
「こちらの方達は?」
こちらに興味を示したようなので頭を下げ挨拶する。
「始めまして、この森を抜けた先の村に住んでいますラフィール・ブッチーニと申します。先日近辺に住み着いていた盗賊を討伐した際にセレニア嬢を保護しまして、本日はこちらまで護衛しお連れした次第です」
普段の言動とは違った俺を見てディネは目を白黒させている。失礼な奴だ。
「おお……それは…それは本当になんとお礼を申し上げたら良いのか……。
私はセルド・ケファラスと申します、それと……村と言いますと、そちらの方にも私達とは別の村があるということですか?」
「ええ、レキの村という村を中心に5つの村がございます」
その言葉に周囲の男達を騒ぎ出す。
そして、セレニアの父親は男性達と目配せしこちらに頭を下げ始めた。
「お願いがあります、我らを救ってはいただけませんか?」
話が読めない。もっと具体的に教えてもらいたいのだが……
話を纏めるとこうだった。
ここの代表と名乗る者達は私利私欲のため、好き放題やっている。
また、一部の盗賊達とも手を組んでいるようで、従わない者達は男は殺され女は慰み者になるらしい。
先日、セレニアを気に入った代表がセレニアを無理矢理手篭めにしようとしたのだが、セレニアの父親が彼女を隠した。
それに激怒した代表は彼の家を焼き討ち、逃げたセレニアを追ったらしい。
しかし、運がいいのか悪いのか偶然近くにいた盗賊に彼女は攫われたとの事だった。
彼女も最初俺達を見た時は代表の手の者だと思っていたらしい。
そして、代表を倒した見返りに、そちらの村の傘下に入ると言い出した。
その代表という者に殺意を覚える。
私利私欲の為に他の者達を苦しめるとは。
それも小さな社会の中でだ。
俺は即答でそれを了承。
そして代表の戦力を聞いた。
数は代表の屋敷には常時50人が配備されてるらしい。
そして、外には十近くの盗賊団が村の人々を監視しているとの事だ。
という事は軽く150人以上は居るという事になるか?
現在戦力は3人とセレニアの父親……セルド率いる反抗勢力が20人。
とてもじゃないが厳しいだろう。
その日はセルドが暮らしている集会場にて泊まる事にした。
その日の晩に代表の手の者が5人程来たみたいだが。
俺とレギン達で蹴散らした。
腕は盗賊達と大して変わらないみたいだ。
新キャラクター
セレニア・ケファラス
小麦色の髪が生える美女、その容姿は穏やかさの中に艶やかさもあり、男性を惹きつける魅力を醸しだしているようだ。
目尻は若干下がっており、左目の下側には泣き黒子が一つ。
未開の森を抜けた集落の女性。
盗賊に捕まっていた所をラフィ達に助けられた。
レギンは何故か彼女に積極的に話しかけているようだ。
ディネ・コンフ
クランメンバーの一人。
クロスボウを扱う女性。
基本的に重圧に弱く、性格も臆病。