嫌な予感は当たるわけで。
ジャイアントアントの襲撃。
俺達が戻った途端にその報告を受けた。
やっぱりな! 嫌な予感したんだよ!!。
ジャイアントアントはまだ見たこともない怪物であるため、屋敷の3階に上り窓からジャイアントアントを探す。
あれか! ざっと30匹程だろうか。
村から北西にある、未開の森から巨大な黒い蟻が触角を動かして村へ注意を向けている。
う、うおおおお気持ち悪いな!
体長は2メートル近い動きもかなり素早そうだ。
形はそのまま蟻をでかくしたような感じで殻は黒光りしている。
あの殻は硬そうだな……けど、足とかはかなり細そうなのでそこが弱点だろうか?
遠距離武器とかではあいつの弱点を狙うのはキツそうだ。
「ディネとパーチェ! 至急レキの村へ応援要請、ジャイアントアントの襲撃によりBまたはAランクのメンバーの救援依頼だせ!
アマリー、ルージュ、ミューエは村人の避難を! アリとリバルあ俺達3人と共に蟻どもを蹴散らすぞ!」
各々が返事して迅速に行動に移す。
ったく、間に合ってよかったよ。
この村では俺とレギンとローズ以外にBランクはまだいないからな。
レギンだけでは支えきれないはずだ。
ジャイアントアントはAランクの者達からしか本来受けれない依頼だからな。
「蟻どもは多分かなり硬いはずだ!、力に自信ない奴は関節を狙え!」
叫びながら村へ近づいてきた一匹に爺さんからもらった大剣で縦に叩き付ける。
ガッグシャッ! と耳を防ぎたくなるような音と共に蟻の断末魔が聞こえてくる。
剣の重さで頭を潰したといった感じか。
予想以上にこいつらの殻は固そうだ。
「気をつけろよ! 予想以上に硬い」
自分を中心に左手には加入した大剣を持つアリアド・ネシェルと巨大な槌を持つ|リバル・バークストが。
右手にはレギンとローズが応戦しはじめていた。
蟻達はその巨大さ故に鈍重だろうというイメージをまったく無視した素早さで近づき、巨大な顎で俺達を噛み切ろうと襲い掛かってくる。
こいつは……ローズとレギンとは相性が悪いか?
リバル達は元々武器が重量級なタメか一人が防御してその隙に叩き潰す戦法でなんとか倒せているようだが。
ローズ達が少々危ないかもしれない。
と、思っていたらローズの剣が噛み切られやがった !どういう顎力だよ!
「ローズ下がれ! レギンは俺の援護だ」
「了解っと!」
武器の無くなったローズへ1匹の蟻が襲い掛かる瞬間に横から剣を振り下ろし真っ二つに叩き折る。
レギンはその間周囲の蟻へ槍を振り回し俺の援護。
「ご、ごめん」
「相性の問題だ気にするな、とりあえず高い所にでも上って周囲の警戒と俺達に指示を頼む」
「わかった! 周囲の状況は任せて」
彼女がそう言うと素早い動きで近くにあった家屋に登り周囲の森の状況を確認しているようだった。
「とりあえず、他のメンバーが来るまで耐えるぞ!」
「「「了解」」」
-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-
くはっ……き、きついぞこれは……
かれこれ30分程戦い続けているが、蟻ども減りやしねぇ。
何匹か倒すと4、5匹の単位で援軍が現れやがる。
こりゃきつい……レギンの槍なんて刃が折れてほとんど棒と貸してるしな……
「ラフィ、メンバー達が来たよ!」
おせーよ馬鹿! と叫びたくもなったが正直助かる。
常時30匹近い奴等と4人で支えるのはもう限界だ。
「す、すまない遅れてしまった」
メンバーの一人が言うがそんなのはどうでもいい。
「謝るなら援護を! 倒さなくてもいい時間稼ぎしてくれ!」
「わ、わかった……」
Cランクかそれ以下の奴等なんだろう、かなりビビっているようだ。
「倒すのはしなくてもいい、耐える事だけを考えておけ、回復したらオレも前線に入る。
リバル、アリ、レギンは今のうちに休め」
「ラフィは?」
「オレも少し休む。ローズ前線が危なくなったら教えてくれ」
「う、うんわかった」
何時終わりが来るかわからん長丁場だ……集中は切らせられない。
俺達4人が休んでる間、ローズは大剣や槌等を使っているメンバー達に攻撃を、他のを武器にしているメンバーには牽制を指示して、なんとか前線はこう着状態になってきている。
つか、あの蟻ども仲間の死体後ろに送ってなにやってんだと思ったら共食いしてんのか……
そんな所まで本来の蟻みたいにしなくてもいいだろうに。
ギィンッと剣が折れる音が響いたと同時にローズの叫び声が聞こえた。
意味を理解する前には既に距離を詰めて武器を折られたメンバーに襲い掛かる蟻へと剣を振り落とす。
「す、すまない……」
「まだ戦闘は終わってない。集中切らさないようにな」
顔を見ずにそう言い俺の周囲にいる疲労がたまり気味の数人に休むように伝え蟻どもに襲い掛かる。
-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-
しばらくすると蟻どもは死体を加えながら森の中へと消えていった。
「お、終わったのか……?」
メンバーの一人が呟き、一人また一人が鬨の声をあげていく。
しかし、これで終わりなのだろうか?
あいつらは人間や亜人種を好んで食べると爺さんが言ってたはずだ。
「警戒は緩めるな、今は引いたがまた襲ってくるかもしれない」
静かな声色で伝えると、何人かは血の気が引く表情へと変わった。
「当分は警戒態勢で村を見張ろう」
今日の夜は武器的に厳しい槍や刺突剣を使うメンバー達が夜の晩をする事になった。
レキの村からの援護は最速4日、村のメンバー達だけで持つかどうか……
ったく、実家に居たときの雰囲気が恋しい。
それから1日は蟻の襲撃はなかった。
襲撃はなかったが森の方では時折ジャイアントラントと思わしき物体が動くのが確認できたから油断はできない。
次の日10匹程がまた、北側から襲い掛かってきた。
今回は援軍もなく10匹倒したらそれで終わりだった。
どういう事だ?
死体は邪魔になるので森が燃えないようにひとまとめにして燃やした。
最初の襲撃から3日目も大したことはなかっただろうと思ったが、夕焼けになる頃に襲撃は起きた。
「正面から30匹は確認済み! まだ増えるよ!」
30匹ならなんとかなりそうだ、しかしこの夜になりかけの時間帯というのがキツいかもしれない。
暗くなったら、あいつらのからだがわかりにくくなりそうだ。
「ラフィ! 南側からも蟻の襲撃が!」
んな!? あいつら周り込んだのか!
「Cランクは全員南側に向かえ! 残りはここで食い止める!」
残った者達は戦力として考えるのは厳しいだろう。
Dランクでは盗賊相手も厳しいからな。
なんとかして蟻の攻撃を耐えてもらい。
俺とリバル、アリアドの3人が攻撃をしていく。
それでも怪我人は着々と増えてきている。
後方では死者が数人でているようだ。
救援が来るまで耐えれるのか? と少し不安になった所でローズが大きい声で叫んだ。
「レキの村方面から5名……ギルドマスター達が着てくれた!」
ナイスタイミング! 予想以上に早かったな。
ローズは南側へロキを中心に3人を北側に残りの2人送ってと指示を出して、程なくして馬に乗った大剣を担いだ髭面の男と矛と槍がくっついた長柄を持った20代前半ぐらいの男がこちらへ来た。
「へぇ……こっちは結構優勢な感じだね」
「ああ」
長柄を持った男は馬から飛び降りながら近くに居たジャイアントアントの首を矛でへし折った。
髭面の男は大剣で近くに居るジャイアントアント達をなぎ払っていく。
これがBやAランクの人間達か。
まぁ俺もBランクな訳だが……俺もまだまだと言ったところか? っと、今はそれ所じゃないか。
「よし! 戦える者は今のうちに攻勢に出ろ」
俺、レギン、アリ、リバル達4人を中心に一気に残りの蟻達を倒していった。
空が完全に夜になる頃には北側と南側ともにジャイアントアントの駆逐は終わった。
新キャラクター情報
アリアド・ネシェル
19歳180強cm縦にも横にもでかい筋肉隆々
髪は明るめの茶、目はこげ茶
一見クールだが頭を使う事は苦手。
クールというか無表情な脳筋。
クランに入った経緯:幼馴染のリバルに誘われたため。
武器は大剣のような形の棍棒みたいな鉄塊
リバル・バークスト
19歳175センチ前後
髪の色は赤みがかかった黒、瞳は黒
たれ目で気の弱そうな印象を受けるが。
武器の扱いは荒々しく近寄ると怪我をするんじゃないかと警戒される事が多々ある。
武器は4kgほどもある巨大な戦槌
クランに入った経緯:南西の村出身だがレキの村へ来た時に近くの森で戦うレキを見てその腕に惚れる。レキが移住したのとクランを作ったのを知り、アリアドを半強制的に連れて入団。