村がようやく落ち着いてきたみたいなわけで。
俺がこの村に住み始めてから4年程経過した。
当時、危険視していたメンバー数のバランスも回復している。
それでも、レキ村のメンバー数は圧倒的に多いわけだが。
比較的高ランクのメンバーは周囲に散っているおかげで、どこそこの村が危険な状態だという話も聞いていないから問題はないだろう。
そして、レギン達がこの村に戻ってから少しして、ローズとレギンもくBランクへとランクアップした。
盗賊の数は減っているとは言えないがメンバー達の腕も上がっているためそこまで悪い状況じゃないのもよかった。
それにしても、気になる事がある。
あの盗賊達は何処から来ているのだろうという事だ。
この辺りの集落は基本的にレキ村と周囲の4つの村だけのはずだ。
見つけられていないという可能性もあるが、それならば野党となる前に村へと来ると思うわけだし。
一体どういう事なんだろうか?
人数がもっと増えて余裕ができたらクランメンバーを連れて調査するのもいいだろう。
今は、人的余裕はまったくないわけだが・・・…。
そうそう、忘れていた事がある。
クランメンバーが増えたんだ。
まぁ……レギンのせいか知らないが女性が多いけどな。
俺達を入れて7人程増えた。
女メンバーが5人と男メンバーが2人だ。
女メンバー5人はレキ村で俺に色々罵詈雑言を送ってきた5人だったりするんだがな。
女5人は色々と面倒なのでレギンに丸投げして、ローズと男4人と班を2つに分けている。
バランスが悪くないかって?
戦力的には俺とローズの方が多いのは否定はしないが、あの女5人は姦しいってレベルじゃないし、俺含め他の男だと会話さえ成り立たない。
何故クランに入れたかというと、なんだかんだで5人ともランクCにまで上がっているというのだから、なお驚きだ。
住居も変わった。
この村に住み着いて半年程してようやく完成したわけだが。
周辺の村の中では何処よりも立派な家? 屋敷? ができた。
3階建てのコの字になった家だ。
当初の予定とは少々変わったが。
まず、家に入るとエントランスホールがあり。正面には階段とクランの鍛錬場、左右には食堂や娯楽室等が備えてある、個人的な要望で浴場もおいてある。
混浴がよかったが、ローズに睨まれたので男湯と女湯で分けて鍛錬場を挟んだ反対方面に分けて設置してある。
温泉なんて湧き出てるはずもないから、井戸から組まなきゃいけないのが難点だがしょうがないだろう。
2階は正面に大会議室があり、左右にはメンバーの個室が用意されている。
3階は正面には幹部専用の会議室と俺のマスタールームがある、そこから俺の寝室。
左右には幹部用の部屋が用意されている。
現在3階を利用しているのは俺、ローズとレギンの3人のみ。
ちなみに3人に大した用がないのに3階にあがるのは禁止してある。
何故か? 女が夜這いをかけるからだよ! 当然レギンにだが。
レギンの部屋の前で仁義無き戦いが勃発しかけた事がある、なので3階へ上るのは禁止となっている。
どうしようもない理由で笑いもでやしない。
-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-
「じゃあ、報告も終わりだな? 今日も一日ご苦労様と…飯食ったら各自自由にしていいぞ」
今は屋敷の会議場で一日の報告を済ませた。
クランのメンバーが増えた事により、簡単なルールをつけた。
報酬の一部はクランが管理するお金にする。
クランのお金は移動や武具の修理等に使う経費となる。
また、急病等にかかり仕事が一時的にできなくなった時に使うものとする。
税金と言ってしまえばそうなるが、緊急時にお金がないとかになったら困るわけだしな。
それに、俺がレキのときのように、何時何が起きるかは分らないわけだし。
あー腹減った……今日の食事当番は誰だったかな? ローズにでも聞いてみるか。
「ローズ、今日の飯当番って誰だっけ?」
「何寝ぼけてるのよ、ラフィと私でしょ?」
そういえば、そうだったか?
家政婦とかいないので、食事や掃除は当番制になっている。
そのうちクランのお金で家政婦さんみたいなのを雇いたいとは思っているんだがなぁ。
クランメンバーが少ないのと収入が少ないのとで雇う余裕がないというのもあるんだよなぁ。
それに、男二人がよく武具を壊すしな……あの二人はここに入る前は大丈夫だったのか不安に思う。
「んじゃあ、作るかぁ……パンはまだあったよな?」
「ええ、あったはずよ、それと……川魚が昨日買ってあったはず」
じゃあ、パンと川魚の香草焼きか塩焼きでいいかぁ…それとシチューだな。
ローズと二人で10人分の料理を作るのは少々大変だが、さすがに数年やってる事だから今では慣れた物だ。
そして、何故か料理を作ってるのは俺じゃなくてローズだと思われている。
あれか? 俺は筋肉質で大男だからか!?
16歳で180程の身長だからな、未だに伸びているというから恐ろしい。
小柄なローズは俺の肩に届くか届かないかぐらいなのだ。
男二人曰く美女と野獣らしい。
まったく、失礼な事を言う、まぁ美女のあたりは同意するがな。
最近はローズの顔立ちも大人びてきてたまにグッと来るときが来るから困る。
俺がAランクに上がったらプロポーズをかけるつもりではあるんだが、いつになったらAランクに上がる事やら。
-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-
「ご馳走さんっと……掃除係りの二人後片付けは任せた」
そう言って掃除係りであろう二人の女の声を聞きながら食堂を出る。
盗賊の被害等は減ってるとは言えないが、平和な日常だと最近は感じ始めている。
レキ村はどうなっているんだろうか?
レギンはたまに父親のロキの元へ会いに行っているが、俺は4年間1度も実家に戻ってないんだよな。
んー……レギンに風呂の後にでも相談してみるか。
「レギンいるか?」
風呂から上がり、レギンの私室の前に来ている。
「ラフィ? どうぞ、入ってきて」
レギンから確認を取って彼の部屋へと入る。
「どうしたの?」と聞かれたんで、相談があると答え勧められた椅子へと座った。
「で、相談って?」
「ああ、この村に来て4年程立ったわけだが、1度も実家に帰ってなかったなって思い出してな。お前達がいいなら1度顔だけでも見せに行こうかと思っているんだ」
「そういえば、ラフィはずっとここに居たもんね、盗賊達の討伐依頼とかは減ってないけど……まぁ、大丈夫じゃないかな?」
レギンは大丈夫だと言っているが、正直不安ではある。
勘と言ってしまえばそれまでなんだが、俺が居ない間に良からぬ事が起きるんじゃないかって予感がするんだ。
フラグが立つという物だろうか?
「んー……じゃあ、ローズも連れて行きなよ? ちょうど良いし、彼女をご両親に紹介したらどうかな?」
ぶっ! こ、こいつは何を言い出してるんだ? まだプロポーズだってしちゃ居ないって言うのに!
「そうだ、それがいいね! じゃあローズにラフィが実家に1度戻るから護衛に着いて行ってあげてと伝えてくるよ」
「あ、おまっちょ……いねぇ……」
なんで、こういう時だけ予想外の速さになるんだ?
俺としては、レギンがこの先どうするんだと思うわけなんだが……
あの5人の中から選ぶのかねぇ……俺は仲間ではあるが、あまりオススメできんのだが……