あの世にて。
いきなりで悪いんだけど、前世ってあると思う?
とりあえず、俺はそれを誰かに聞きたい。
色んな人に聞きたい。
『あるぞ』
うん、ちょっと黙ってて。
正直な話、俺は信じたくない。
例えばだ、貴方の前世は徳川家○ですとか言われてもしっくりこないだろう。
ナポ○オンとかもありえないと思う。
だって記憶がないんだもん。
死んだら記憶というか存在というか魂? が消えるでしょ?
『まぁ、普通はそんなのは消えるわな……というか死んだら自我は消えるんだが』
うん、黙ってて?
とりあえず、現在状況の確認をしようか。
周辺……真っ暗ではないか、真っ黒? 自分の身体とか爺さんとか見えるし視界はある。暗いわけじゃないか。
目の前にはどっかのバラエティ番組で使いそうなルーレットがある。
ダーツで指して景品とかもらえるような奴だ。
パ○ェロとか書いてあるわけじゃない。
俺の左手前方には胡散臭い格好の爺さんが居る。
『誰が胡散臭いだ誰が』
お前以外に誰が居るのかと小一時間問詰めたい気がするか抑える。
そして足元、【↑ココから投げてね↑】と書かれた文字と矢印の先に白い横線が一本。
つまりだ……どうゆう事かと言うと。
サッパリわからん。
「一体……一体どういう事じゃああああああああああああ!!」
『だから、ここはあの世で今はお前の次の生き物を決めるんだって』
そんなもん知ったこっちゃないわボケェエエエ!!
とりあえず、今の状況で冷静に居られるなら出て来い!
『何? 癇癪? 怖いわぁ……』
この爺さんうぜぇえええぇぇええええぇぇぇ!
……って俺声に出してないよね?
『ワシ神だから考えてる事わかるぜ?』
親指立ててウインク、白い歯がキラーンと光った。
このダーツで刺してもいいかな……?
『ダメだろ常識的に考えて』
何? この状況なんなの? どうしたいの? 死ぬの?
『まぁ、お主死んでるからここにいるんだけどね』
夢なら早く覚めないかなぁ……って俺死んだの?
『うむ、死んだぞB級ホラーでもありえないスプラッタな感じに』
どんな死にかたしたんだよ俺……
-=Ξ=-=Ξ=-=Ξ=-
日課のゲーセンで遊んでいて。
22時頃になったし学生が居られる時間じゃなくなったから帰る事にしたんだ。
そんでもって……そう! 車にはねられた。
10トントラックのサイズだったか?にはねられて……
吹っ飛んだ先が閉じた踏み切りで……目の前には電車が。
そして気付いたらここだったと……
『その後の事はワシが説明しよう!』
どうやってだよ。
爺さんが指をパチンッと鳴らすと目の前に俺が歩いてる映像が流れた。
で……トラックに撥ねられて吹っ飛んだ先に踏み切り通過してる電車。
電車にも吹っ飛ばされたら近くのビルの目の前まで吹っ飛んで……
そのビルが工事中で鉄骨が何故か落ちてきてつぶされると。
追い討ちにカラスと野良犬が群れて肉片を食べ始める。
……これはひどい……
『なんの手違いかお前さんの生涯受ける全不幸が一気に襲い掛かった結果がこれ……テヘッ』
……テヘッじゃないだろ!
爺さんがテヘッとか言って舌出しながらウインクしてんじゃねぇ!
ブラクラよろしくスプラッター映像程度に気持ちが悪い。
『さすがにそれは言いすぎだと思う』
知るか! 死んだのはいいとしてなんで俺意識あるんだ!?
『知らん』
お前神様だろう!
知らんの一言で片付けんなよ!
『知らんもんは知らんからなぁ……まぁそれ投げればその生物として産まれるからチャッチャとやっちゃってくれ。後が詰まってるから』
そう言って爺さんが俺の後ろを指差す。
後ろを見て見るといつのまにか人魂? が列を成して並んでいた。
何これ、軽いコメディとか?
『いいから、早く投げれ』
あー……もうなんなんだよこれ。
とりあえず、この状況をなんとかするには投げるしかないって事だよな。
俺ダーツなんてやった事ないんだけど。
『まじで? 弓がいい? それとも銃にする? 手裏剣とかあるぞ!』
本当、この爺さんうざい。
確か……半身になって投げるんだっけ?
ルーレットの方を見る。
ルーレットなのに回ってないとか……手抜きじゃね?
『まわした方がいい?』
いや、このままがいいな。
とりあえず何があるか見て見る。
ヒト、イルカ、イカ、ライオン、モモンガ、G、サル、ゾウ、ゾウリムシ、ミジンコ、G、ネズミ、ミジンゴ、ダニ。
なんでミジンコとGが二つあるんだ。
というかGってなんだ?
『コックロー…「オーケー全部は言うな」……』
あれだけは絶対当てないようにしよう。
ちなみに、生物少なくないか?
『人間は基本的にあるけど、他はランダムだな』
なるほど、とりあえずは人間狙うか。
狙いを定めて……狙うは人間のみ。
モモンガとか良さそうだけど。
「いいのがあたりますっ……ぶべっ」
何故か知らんが思いっきり転んだ。
なんでだ……?
俺の足元を見て見る。
なんか手が真っ黒い地面?から生えてた。
……は?
『あ、ごっめーん手が滑った』
爺さんを見ると手の一部が消えてる。
あれか、爺さんの手かこれ。
掴んでる手を殴って見る。
あ、普通に痛いんだな。……っと、ダーツは何処に刺さったかな?
……あれ? 探して見るけど何処にも刺さってないぞ。
何?何処にも刺さんなかったの?
マジデ? どうなっちゃうの俺。
『ップ……刺さってるぞ……ププッ』
一挙一動が本当ムカつく……本当に神かこいつ。
『神さまだぞ? 因みに針はそこだ』
爺さんが指差す方向を見る。
下……? 何があるというか、何もないじゃねーか。
前に進めと言うので進んで見る。
ルーレットがある手前に大きな穴があった。
覗いてみる。そこにもルーレットがあり、俺が投げた針が刺さっていた。
【ヒト】の部分に。
『よかったな、人間だぞ! 喜べ喜べ』
ああ、人間なのはわかったんだが。
なんであんな所にあるんだ?
『あれはお前さんが居た場所ではない世界のルーレットだ、上を見て見ろ』
爺さんの言うとおりに真後ろに向くと隣に居る爺さんと同じのが重力を無視して横向きに立っていた。
俺の視線に気付くと笑顔で手を振っている。
……は?
『おめでとう、ワシが管轄する二つの世界。所謂【異世界】の人間として転生が決まったな。 ……ップ…おめ…ブハハハ!! おめでとブハハハ』
不愉快な笑い声を聞きながら視界が暗くフェードアウトしていった。。
次あったらダーツぶっ刺してやるか……
出来ればイケメンとかがいいなぁ……歴史に残る事とかやったら面白そうだしな。
『オッケー』
どっかからオッケーって聞こえたけど気のせいだな。
は~……また赤ん坊から始まるのが……