第十七話 -戦闘狂は狂気と狂喜に塗れて迷惑-
「おいおい」
刀身に写る見慣れない顔は俺の真似をして顔を顰めた。
俺とは打って変わって目立つ髪色である。
顔は――待て待ておいおい。
何の冗談だこのやろう。
俺は髪を染めた覚えはないぞ。
顔は多少違うのだが、概ね俺と同じである。
これほど俺の顔のパーツを真似た顔はそうそう現れないだろうし、刀身にのみ写る存在など俺以外にいないと思う。
そんな存在がいるのなら限定条件によってのみ視認出来る俺似の透明人間が存在することになるのである。
そんな存在俺は認めたくないので俺自身であると結論付ける。
もしかしてもしかすると、手足の長さも変化しているという事はないだろうな。
「本質探索」
各所計測開始――
――完了
各部計量開始――
――完了
総合計量開始――
――完了
記録出力開始――
――完了
「ああ、やっぱりか」
だからこそ、俺の思う通りに身体が動かなかったのか。
背丈が変わらなかったので、厳密には眼の高さが変わらなかったので気がつかなかったのか。
俺は目の位置座標の特にy軸に対する座標に敏感であるが、それ以外には結構無頓着なのである。
知った今から考えると俺は何故今まで気がつかなかったのか不思議である。
手足の長さが変わっていても気が付きそうもない。
あれは眼の高さに全く関係がないからである。
そうであるのなら納得がいく事が多少ある。
走査したので、その誤差を鑑みて身体を動かせば問題ないだろう。
そう考えると何だか頗る調子がいいと錯覚してしまう。
「おっと」
危ねえ危ねえ。
風圧が俺の真横を通って行っていった。
上手く死んだフリが出来ているのかこちらへと攻撃は来ない。
掠りそうにはなるが。
このまま死んだフリ続行で問題ないな。
周囲の悲鳴が消える頃には俺の安全も確定されるだろう。
気配からして大半は既に意識がないだろう。
風圧は接触しても衝撃しかない程度であるので死んではいないはずである。
「はあああああ!」
薄目を開けて声の方を見ると、兵士の一人が襲い掛かる風圧を剣で弾く事で防いでいた。
中々やるなぁ。
見てみると、同じような方法かどうかは知らないが他にも数人――合計8人か――が生き延び未だ立ち続けていた。
人数的にもう終わっていても良いんじゃないかと思うのだが、一向に終わる気配がない。
しかも、カタブキの攻撃を避けるという単純なものであったはずなのだが何時の間にか受験者VSカタブキという構成が出来上がっていた。
カタブキの顔を見る限り当初の目的を忘れて対峙しているのではないだろうか。
終わる気配等微塵も見せていないし見えそうもない。
このままだとカタブキの勝利に終わり、全員地に伏し、再度試験をやるなどというふざけた現象が発生してしまわないかが非常に心配である。
このままでは負けるということを受験者も感じ取ったのか互いに協力し迎撃しようと努めていた。
激戦地にそれとなく近い位置にいた俺は、激化したこの状況ではこの場所は危険であると判断した。
幸い、戦闘の傷跡として地面が抉れたりしたお陰で瓦礫という名の障害物が所々から頭角を現していた。
文字通り頭角であったが。
俺はばれない様死んだかのように気配を消し障害物を辿って距離をとることに成功した。
壇上のベヒス嬢を見るとおろおろしているだけであった。
いや、何やら口をパクパクとしているので発言しようとしているのだろうがそれは彼らの耳に届くことはなさそうである。
カタブキと相対している受験者。
総勢8人であり、その中の3人は規則正しく兵士の格好をしているが残りは独特な改造を施したりそもそも兵士の格好でなかったりしている。
ローブを着た魔法使いらしき男は、どういう仕組みか理解できないが、パーツの一部が宙に浮いている杖を振るっている。
魔法の威力はどうも高くない。
しかし、内包魔力がそこそこ高そうなのでもしかすると本気でないとか攻撃系が苦手であるとかなんじゃあないだろうか。
忍者の格好のような男もいた。
忍者の格好とは言っても、一見して忍者と分かる程度である、本物の忍者のような着物的な服装ではない。
口元を布で多い隠し、全体的に黒や紺といった色の布で構成された兵士の服を改造したような服装であった。
手に持つクナイの様な武器が彼の忍者というイメージを固めている。
他にも空手家の胴衣の様な形状の服を身に纏っている男もいた。
彼の筋肉を見れば格闘家である事は見て取れる。
体つきから武術自体はそれ程学んでいないようである。
その筋肉を見れば分かるとおり、ただ殴るだけでそれなりの破壊活動を行えるので、それにモノを言わせているのではないだろうか。
次に目に入ったのは奇抜格好は剣士であった。
身の丈に合わない巨大な両手剣を構えていた。
が、それに見合った重量に振り回されているように見受けられた。
彼の年齢に比例しない年季が漂う両手剣は誰かから譲り受けたなどいわくでもあるのだろうか。
自身にあわない武器を扱うことは戦場では死に直結するのでお勧めできないが、稀にああいう奴がいる。
俺ならいわくがあっても使いはしないか、使いこなしてから実践で使うだろうなぁ。
最後は、オッドのおかげで見慣れた白衣である。
オッドのようにボサボサ白衣という名称が似合う髪形ではなく、ちゃんと切り揃えられ整えられていた。
名称をつけるならイケメン白衣である。
イケメンなのだ。
何の掛け値もなくイケメンで、殴り飛ばして顔の皮を剥いでしまおうかと耄碌したのかと思ってしまいそうな思考へと至りそうな程イケメンである。
イケメンとはイケイケな面って意味なのだろうか。
閑話休題。
ローブが何やらブツブツと呟くと周囲にあった瓦礫に魔力の糸のような物が無数に飛び、ガムの様に引っ付いた。
すると、それらは宙に浮きカタブキへと襲い掛かった。
それを分かっていたかのような勢いで両手剣持ちと忍者もどきは疾走し、残りの格闘家と兵士の格好のやつらは一瞬きょとんとした後に動き出した。
格闘家は俊敏力やら洞察力といったものが重要だと思うのだが、あれで良いのだろうか。
まあ、何にしても死んだフリの後に瓦礫に身を隠し安全地帯へと避難した俺が不平不満にも似た観客的な台詞を言う資格等ないのだろうけれど。
兵士の格好をした男達は元々同じ部隊だったのかそれとも偶々仲が良かったのか、はたまた同じく軍に所属しているので戦い方が酷似していただけなのかは知らないが、動きに統率があった。
少しの時間差を含め、カタブキからすれば連撃になるよう剣で切りかかっている。
ローブはまだブツブツと呟き瓦礫をカタブキへと襲い掛からせている。
格闘家は力にモノを言わせて追い詰めようと殴りかかる。
両手剣も同様に力に自信があるのか真正面から切りかかる。
いや、あれはどちらかというと、切るという動作ではなく叩くという動作である。
忍者は両手剣と格闘家の攻撃の隙間を縫ってクナイを投げ牽制している。
が、それらを持ってしてもカタブキは傷一つつかなかった。
兵士の連撃を全て斧で上手く受け流したり、剣そのものを弾いてしまったりする事で凌ぎ、襲い掛かる瓦礫の大半を回避し、残りは斧を振るうことで粉砕している。
格闘家と両手剣の攻撃はカタブキにとって最もいなし易いものであっただろう。
彼ら二人は腕力にモノを言わせたいらしかったのだが、生憎、カタブキの腕力の方が数倍あったため、単純に受け止めはじかれる。
忍者のクナイも同じであったかもしれない。
クナイに向けて斧を振るうと風圧が発生し、それに流されてクナイはあらぬ方向へと飛んで行ってしまった。
それが終わるとカタブキは怪しくにやり、と口の端を吊り上げた。
背筋がゾクゾクと悪い意味でする笑みであった。
相対する受験者は皆様々な方法で自分に勝ち目がないと理解したと顔で表した。
このままでは全滅するしかないだろう。
受験者の中に何かを極めた達人のような存在はいそうにもない。
多少何かを齧った武芸者、という程度だろう。
ベヒス嬢は未だにおろおろしたままである。
現状だと装備がないので黄金色のアレは出せないのではないだろうか。
ううむ。
ここはやはり止めた方がいいのではないだろうか。
最初に吹っ飛ばされた野郎どもは端まで飛ばされているのである程度安全ではあるが、絶対ではない。
流れ弾的に殺傷効果のある攻撃が飛んでいけば間違いなく回避できないだろう。
意識がないのに回避できるのであれば今、意識を失っているという状況は訪れていないだろうし。
だけれど、下手に出て行って目立ってベヒス嬢に迷惑をかける事態にはなりたくないからなぁ。
ううむ。
今ならベヒス嬢に聞きに行くことができるかなぁ。
カタブキは受験者にニヤニヤ。
受験者はカタブキに集中しないと大変なことになりそうだし集中している。
一応、そういう状況であるが、バレない様に気を使って歩を進めた。
瓦礫の間を縫い、受験者とカタブキの視線を縫い何とかベヒス嬢の元まで移動することが出来た。
幸いにも、ベヒス嬢の付近にも瓦礫は存在し、それに身を隠して話しかけることが出来そうであった。
壇上付近からベヒス嬢まではすぐに移動することが出来た。
ベヒス嬢の横の瓦礫まで移動したがベヒス嬢はおれに気がついていないのかおろおろしたままであった。
――今更なのだが、これって何の選定試験なのだろうか。
「ベヒス、これって止めた方がいいのか?」
声をかけるとびくり、としこちらを見た。
俺に気がついていなかったのか目を見開いて驚きを表していた。
「……どうやってここに来たのですか? いえ、どうやってここまで来たのですか?」
どうやら、俺がここまで来た事どころか、この部屋にいたことさえ気がついていなかったらしい。
まあ、最初はその他大勢に紛れていたし仕方がないかなぁ。
「ここに、ってのは、まあ最初からいたよ。ここまで、ってのは普通に向こうのあー、あの三角形になってるやつな。あの瓦礫から歩いてきた。まあ、バレない様に気配は消してきたけど」
と、俺は先ほどまで隠れていた瓦礫を指差し言った。
取り合えず、どうしたらいいだろうか。
「――で、これって何の選抜試験――そんな事聞いてる場合じゃないか。で、これって止めた方がいいのか? 一応、俺がベヒスのおかげでここにいるってバレて不味いかとかわからんから傍観してるけれど」
「止めた方がいいでしょうね。斧の勇者――あの黒髪の斧を携えた人物ですが――は、少々戦闘を好む傾向にあるようなのです。簡単に言えばバトルジャンキーというものでしょう」
やっぱりなぁ。
取り合えず、瓦礫やら流れ弾やらが飛んでくると危ないのでベヒス嬢に装備を渡しておくとしよう。
「ベヒス、危ないから取り合えずこれ装着しといてくれ」
「――これは!?」
ベヒス嬢の先の鎧はお手製だったのだろうか。
魔法陣が理解できるらしい。
ならばこれの効果も理解できるだろう。
「それで、黄金色のあれを出せるようになるよ」
さて、と。
俺はこれを止めるとしようか。
だけれど、迂闊に入れないなぁ。
二つの勢力は今まさに戦闘中というか殺し合いの真っ最中訳だし下手に入れば両方の攻撃を喰らうことになる。
カタブキは戦闘相手がいるから暴走しているのだから戦闘相手を倒してしまえば良いんじゃないだろうか。
幸い、受験者側は大した強さではない。
「ナーク、後は私がやりますので逃げてください」
と、言いつつあわあわと鎧を装着し始めた。
言動と動作が一致しないとはこの事なのだろうか。
そして、あわあわしている割に装着は中々終わりそうにない。
ベヒス嬢の鎧は通常の鎧とは形状が違い、動きやすいのだが、装着するのは非常に面倒な形状なのである。
後、数分はかかるんじゃあないだろうか。
その間、姿を隠すという選択肢もあるが、受験者側は兵士の格好のヤツが既に一人吹っ飛ばされて動かなくなったので全滅までそう長くはないだろう。
だけれど、これって下手すれば死人が出るからなぁ。
個人的に、死人を目の前で出したくはないので片付けてしまおう。
「それじゃあ、間に合わないだろうから、まあ、時間稼ぎぐらいはやるさ」
俺は瓦礫に身を隠すことを放棄し、身を踊りださせた。
すると、カタブキの注意が俺に移り、それに追随して受験者の視線もこちらに集まった。
「おめえら、ベヒスが困ってんじゃん。もう人数大分に絞れたんだから止めといたらどうだ?」
等と俺が言うはずも無いしするはずもない。
どこからが俺の妄想か。
それは当然、瓦礫に身を隠すことを放棄する辺りからである。
実際は、当然のようにベヒスを瓦礫の影に引き込み、そのままである。
瓦礫の影から出るなんてとんでもない!
奴等と戦うことはさして問題ではないのだが、バトルジャンキーがあの中にいるのが問題なのである。
受験者側を倒すことが楽そうに聞こえるが、実際、倒してしまうとバトルジャンキーがその名に倣って戦闘を申し込んでくるというか、強制的に開始してしまうのではないだろうかと思う。
そうなると、非常に面倒であるので回避したいのである。
前言撤回してベヒス嬢に任せるという選択肢もあるのだが、ベヒス嬢の黄金色のアレを使用すると死人が出る気がしてならないのである。
そうなると、カタブキという名のバトルジャンキーを姿を見られる前に倒してしまうのが最も後腐れがなさそうである。
もしくは、戦闘で倒した後に一部の記憶を消去するか、であるな。
個人的には後者が楽そうではある。
魔法で記憶など消せそうだと俺は思う。
無ければ涙目になること必至であるけれども。
まあ、時間稼ぎだけなので何とかなるだろうよ。
取り合えず、受験者に襲い掛かる斧を全て風圧にてはじき返す。
風圧は何だか、デコピンの要領で親指を弾くだけで発生したので案外気軽に行える動作である。
カタブキの斧を弾くほどとなると相当力を込めて親指を弾かなければならないので段々痛みを伴ってくる。
それ故にこの方法を一貫するという素晴らしい提案は涙を呑んで却下することになった。
俺はレパートリーがあまりないのでさっさとベヒス嬢の準備が万端になることを願うばかりである。
次は気配を消して地味に攻撃の妨害でもしてみようか。
気配を消し、付近の瓦礫の影まで移動する。
カタブキが移動するのを待ち、個人的に絶妙なタイミングで魔力の糸を軸足に引っ付け引っ張る。
当然、自然の摂理に従って転倒する。
なんて、思っていた時期がありました。
カタブキはそのまま転倒せず、斧を片手で持ち、無手側で身体を支え、その勢いに乗って体操選手も真っ青のアクロバット動作を決めてみせ、おまけに着地も素晴らしく綺麗に決めて見せた。
勿論、俺のほうに向かって斧を振るうのを忘れずに、である。
厳密には俺を狙ってではなく、糸が飛んできた方向を狙ったので、回避はたやすかった。
もしこれが俺を狙っていたならば防御運動に入らざるを得なかっただろう。
斧は何か魔法でも使用しているのか、面白いように瓦礫を粉砕していっていた。
なんだろう、あの斧は物の抵抗でもなくしているのか?
いや、実際に瓦礫に当たるたびにカタブキの筋肉が膨張しているため、腕力で押し切っているのだろう。
信じられないことである。
その力は人間で出せるのかと疑問に思うほどだ。
そして、そのまま受験者を襲う。
それを風圧にて弾く。
このループが発生していた。
数分すればベヒス嬢も戦線に出るためそれまで耐え切れば問題ないのである。
ベヒス嬢に任せれば先も言ったが――思ったが、死人がもれなく現れそうだが致し方ないかなぁ。
個人的にはベヒス嬢が撹乱している間にカタブキを誰かが仕留めるのが最も好ましいと思う。
「それでは後は私に任せてください」
声の方を見ると、準備万端のフルアーマーベヒス嬢が佇んでいた。
「――」
死人が出るのがやっぱり嫌なので先に思いついた作戦とも呼べないし戦略とも呼べないそれを一応提案しようと口を開いたが、その時点で既にベヒス嬢は戦場へと向かっていった。
とはいっても、俺も先の妨害の為に戦線近くまで進出していたのでそれほどの距離は無い。
ベヒス嬢が何時の間にかフルアーマーとなって現れたことに全員が驚いた表情をしていた。
「黄金色の断裂、鎧は大破したんじゃなかったか? それに、剣は一振りしかなかったと思っていたがなぁ」
と、フレンドリー的に話しかけるカタブキであるが、こちらからすれば是非ともフレンドリーにはならず、数百メートルは距離を起きたい危険しか感じない笑みを浮かべていた。
ううむ。
あの顔を浮かべる様になっちゃう状態がバトルジャンキーと呼ばれる要因のひとつなんだろうなぁ。
「色々あったのです。――[夢幻の解砕]、選別はこの人数までで十分のはずです。剣を――貴方の場合は斧でしたね――斧を収めてはどうですか?」
その言葉にカタブキはニヤリニヤリとするだけである。
元々ニヤリニヤリとしていたので何も変化が無い為、もしかすると何も反応を示していなかったかもしれないが俺の知るところではなかった。
受験者側は、何となくほっとした雰囲気が伝わった。
だが、それは早計というものだ。
バトルジャンキーはこの程度で収まるヤツではないのだ。
もっと鬱陶しくて暑苦しくてしつこいのである。
「これは、黄金色の断裂が黄金色の断裂を止めるから次期黄金色の断裂を選定する為のものだろう。だが、普通の野郎に黄金色の断裂をやらせても面白くないからなぁ。だから俺が選定してやろうと良い提案をしてるんじゃないかぁ」
非常に迷惑なので今すぐ止めてください。
そう声を荒げて叫んだ後に説教を開始したくなるがそれ程の勇気、俺には無い。
というか、これって黄金色の断裂を決めるためのものだったのか。
いやいや、それ以前に、ベヒス嬢は黄金色の断裂を辞めるのか。
俺との騒動の後なので、それが原因であると思わざるを得ない。
なにやら責任問題になって辞める羽目になったのだろうか。
それならば非常に心苦しい。
「選定するのは貴方ではありません。一定以上の適正がある方を選定し、それ以降は王がお決めになることです。貴方には決める権限はありませんし、元黄金色の断裂である私にもそれは言えることでしょう」
そんなベヒス嬢の言い分というか説得というかなにやらよくわからないが、それはカタブキの耳には届いていそうも無かった。
表情は相変わらずニヤニヤである。
俺ならば殴り飛ばしているところだが、ベヒス嬢は辛抱強いらしく眉一つ動かさず相対している。
いや、あの顔は辛抱強いとかじゃあなく何も感じていない、といった様な表情であった。
というか、現状、戦闘して出る問題点としての筆頭であったベヒス嬢に迷惑がかかるという項目は削除でいいみたいである。
まあ、次点のバトルジャンキーのターゲットになるという問題点があるのでそうそう大っぴらに戦闘に介入したいとは思わないけれども。
「黄金色の断裂よぉ。そんなに俺を止めたいなら俺と戦って止めれば良い! 力が全てだ! それ以上に強力で楽しい事は無い!」
バトルジャンキーご苦労様です。
そんな台詞を吐いている間、隙が出るかと思ったがそういう訳も無く、その間に攻め込んだ受験者側の攻撃をいなしていた。
俺は一応、それに反応して受験者に襲い掛かる攻撃を風圧によって相殺しておく。
「さっきから飛ばしているこの風圧はお前か?」
「さあ、どうでしょうね」
危ねえ。
やっぱ風圧の存在にはばれていたか。
気配隠してなかったら今頃俺の存在が露見しているところだったんじゃないだろうか。
中々どうして、口先だけではなくそこそこの使い手らしい。
正直、望ましくなく、弱い方が話が早くて助かったんだけどなぁ。
ベヒス嬢とカタブキから感じる互いへの殺気を考えると絶対に平和的解決は行われないだろうし。
俺は隙あらばカタブキの意識を刈り取って、隙無ければベヒス嬢の援護を影ながら行えばいいかなぁ。
そう考えていると、カタブキとベヒス嬢は動いた。




