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西端の住人が出てきたが、少しの間の後、何か言いながら部屋に戻った。
これまで五部屋とも同じ展開だ。
予想通り、その隣のドアが叩かれた。
すぐに住民が何か言いながら出てきたが、ドアを開けた途端に静かになった。
そして部屋に戻る。
その隣のドアも叩かれ、まったく同じことが起こった。
――となると、次は……。
ドアが叩かれた。
俺の部屋のドアだ。
迷った。
出て見るかどうかを。
しかしドアは止むことなく叩き続けられている。
どうやら俺が出るまで終わりそうにない。
このままではうるさいし、それに近所迷惑でもある。
俺は意を決してドアを開けた。
するとそこにいた。
全身血まみれで、下半身がなく上半身だけの女が、宙に浮いていたのだ。
――!
女と目が合った。
すると女が笑った。
「あら、あなた、私が見えるのね。私が見える人とは初めて会ったわ。やっと会えたわ。嬉しい。もう二度と離さないから」
女はそう言うと、俺に抱きついた。
終