アンドレア戦域 第91話 帝国近衛兵団23
エランはエリーと今後について話す。
エリー機動大隊現地配備、15日目朝。
エリー達が、バレット市を出てから50時間ほど経過している。ここはイグラ市ブラウン商会施設内。
エリーは朝からエランの部屋に居た。
「エランお姉様、決まりました?」
エリーがベットの上に座りエランを見て言った。
「ええ、拒否するつもりは有りませんよ」
エランは少し嫌な顔をして言う。
エリーは水さしからコップに水を注ぎながら言う。
「摂政の政治体制では先は見えているんですよ。確かに優秀かも知れませんが。ブラウン商会の分析班がシュミレーションした結果は芳しくありませんでした」
エリーはコップの水を一気に飲み干す。
「エランお姉様が先ず政治の権限を取り返すことが優先されます。摂政派閥を一掃して帝国を正常化することが、お姉様の役目です」
エランはエリーを見て頷く。
「私は皇帝権限を最大限に使えば良いのね。元老院議会の停止、国内に国家非常事態宣言の発令。そして軍部の掌握、統帥権の発動をすること。しかしどうでしょうか?」
エリーはエランの朱色の瞳を見つめて言う。「今回の件、ブラウン商会の頭脳ハリーさんがプランを組立てたものです。急拵えの作戦ですが、今ある条件下ではベストな作戦です」
エランはためらいながら言う。
「今回見送る場合はどうなるのですか?」
エリーは直ぐに答える。
「放っておけば余裕のない帝国は近いうちに総力戦を仕掛けてきます。そして帝国も連邦国も疲弊することになると思います。それはこの大陸にとって大きなマイナスとなって人民に大きな不幸をもたらすことになるでしょうね」
エリーは微笑みエランの肩に手を回して言う。
「お姉様がやらないなら、今回は無しです。今日の午前中に決めて下さいね」
エリーはエランから手を離してベットから立ち上がる。
「朝食を頂きましょうか!」
エランはベットから降りて跪き頭を下げて言う。
「エリー様の深部の女神様にお伺いします。今回の件、私は成し遂げることはできるのでしょうか」
エリーはエランを見て意地悪顔をして言う。「セレーナは答えないよ。残念ですけどね。今は私の深い部分で眠っている状態だよ。セレーナが表層に出て来る時は危機的状況か、もしくは私が心から願った時でないと現れないようになっているのです。でないと私が消耗して疲れますから」
エランはガッカリした顔をして言う。
「なぜ? これは重要なことです。多くの人の命が掛かっているのですよ」
エリーは少し困った顔して言う。
「セレーナは確かに女神様ですが、未来は予知出来ませんよ。周囲のマナエナジーから大体の雰囲気が読めるだけです」
エリーは微笑み思う。(予知出来るのなら、セレーナは封印などされていない・・・・・・? いや、ある程度の予知は出来るはず、上位スキルを発動すれば人の心は読めるし未来も大まかに予見出来る・・・・・・、もしかしてワザと封印された? 思い出せない!)
エリーはハッとして呟く。
「ルーベンスに任せたのか・・・・・・? そうか、そうなんだ」
エランが不思議そうな顔でエリーを見る。「ルーベンス? 何ですか」
エリーが微笑み言う。
「独り言です。気にしないで下さい! さあ、食堂に行きましょう」
そう言ってエリーはエランの腕を強引に引っ張って食堂へと向かった。
◆◇
ここはグラン連邦国首都、ブラウン商会本部ビル、総代表執務室。
エリーの父ジョンブラウンがソファーに座り微笑み言う。
「ハリーさん、準備はどうですか?」
ハリーは余裕の笑みを浮かべて言う。
「要請があれば、すぐ対応出来るよう準備は進めております」
ジョンは立ち上がり言う。
「エリーは今、姉君様とご一緒なのですね。エラン様に久しぶりにお会いしたいものです」
ハリーは頭を下げて言う。
「ジョン代表、今回の作戦、絶対に成功させますので! お会い出来ると思います」
ジョンは微笑みハリーの肩を叩く。
「ハリーさんも、早く終わらせて奥さんに会いたいでしょう」
ハリーは少し嫌な顔をして言う。
「ええ、そうですね。ジェーンは入院しているので今回は心配しなくて済むので良かったです」
そう言ってハリーは頭を下げて言う。
「最終確認のため! 今から現地に向かいますので、失礼致します」
ジョンは右手を軽く挙げて言う。
「ハリーさん、お気を付けて! 成功を祈ります」
ハリーは再び頭を下げると執務室から出て行った。
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