アンドレア戦域84 帝国近衛兵団16
エリー機動大隊現地配備、14日目午前中。
エリー達が、バレット市を出てから27時間ほど経過している。
エランはイグラ郊外の広場にいた。側にはトッドとライラ憲兵大尉が立っている。エランは国軍軍服を着用している。
「もう直ぐ来ると思います。空を飛ぶことは慣れていますよね」
トッドがエランの顔を見て言った。
「ええ、大丈夫です。昨日は大変失礼して申し訳ありませんでした」エランが頭を下げる。それを見てトッドが言う。
「気にしておりませんので、謝罪は結構です」
エランはトッドをの顔を見て少し躊躇ったように言う。
「ですが私の気持ちは嘘ではありませんので・・・・・・、どうか嫌いにはならないで下さい」
トッドがエランの顔を見て微笑み言う。
「もちろんです。エラン様よろしくお願いします」そう言って頭下げた。
そして上空からバリバリと音が聞こえて来ると灰色の巨大な機体が雲の間から姿を現す。エランはそれを見て少し驚き言う。
「・・・・・・私達が勝てる訳ありませんね」
ランカーⅡは可変翼を調整、上空でホバーリング体制になり高度を徐々に下げ着地した。
周囲には猛烈なプロペラ風が吹いてエランの髪毛が巻きあげられる。エランが思わずフラつくとトッドが両手で肩を支える。身長差は15cm以上あるからエランの顔はトッドの肩付近に埋もれ抱き合ったようになった。「ダメですよ。不用意に近づいては」トッドはエランの体を優しく押し戻して言った。
「トッドさん、すみません・・・・・・」
ランカーⅡの搭乗ドアが開きタラップが降ろされる。搭乗員が降りて来てエランに駆け寄り頭を下げる。
「エリー様、おはようございます! 搭乗は3名ですね。それではよろしくお願いします!」
エランは搭乗員を見て微笑み言う。
「おはようございます。よろしくお願いします」
トッドがエランの肩を軽く押して搭乗を即した。エランはタラップをに足を掛けて機内に入る。それに続いてトッドとライラ憲兵大尉も乗り込んだ。
コックピットから声がする。
「エリー様、今日はどうしますか?」
トッドが直ぐに答える。
「今日は操縦はしないそうです。少し疲れているからキャビンに座るとおしゃっています」
カーター機長は少し残念そうに言う。
「了解しました! それでは席に着いてベルトをお願いします! 離陸します」
そう言うとカーター機長は搭乗員にドアロックの指示を出した。搭乗員はタラップを収納、ドアを閉め3箇所のロックレバーを操作して声を上げる。
「ドアロック完了!」
搭乗員は素早くコックピットの後部座席座りベルトを着用した。
「それでは離陸します!」
カーター機長が声を上げた。
そしてランカーⅡ5号機はゆっくりと上昇を始める。可変翼を調整して徐々に推進力を上げる。エランは機体の揺れに若干顔を強張らせて、隣りのトッドの手を思わず握ってしまった。
「あゝ、すみません!」エランは声を上げた。
トッドは微笑み言う。
「大丈夫ですよ。落ちたりしませんから、機長は腕が良いですから心配有りません」
ランカーⅡは速度を上げ上昇して行く。
エランが少し考えて言う。
「これは凄い乗り物ですね。でも数はあまり無いのですよね」
トッドはエランのほうに視線を向けて言う。
「数があれば戦争はもう終わっていますね」
エランは頷き言う。
「ええ、そうですよね。ですが帝国の技術力は高いと思っていましたが、それは間違いのようです・・・・・・」そう言ってエランは無言になり、しばらくキャビンの窓から外を眺める。
そして離陸して10分ほどで第81師団本部上空に到達、ランカーⅡ5号機は旋回して着用体制に入る。
カーター機長が声を上げる。
「着陸します! ベルトのロック確認願います!」
ランカーⅡは高度を下げ、可変翼を調整ホバーリングに移行、着陸地点では誘導員が旗を振っている。機体は徐々に高度を下げ着地した。機体の振動にエランは少し驚いた顔をする。
「エリー様、大丈夫ですか」
トッドがエランに声を掛けた。
「はい、大丈夫です」
搭乗員が搭乗ドアのロックを直ぐに解除してドアを開けタラップを降ろす。
「エリー様、どうぞ!」
エランはベルトを外し立ち上がり搭乗口に向かうと、トッドが先に機外に降りて手を持ってくれる。
「トッドさん、ありがとう」
エランは地面に降りてトッドの顔を見て言った。ライラ憲兵大尉が降りると搭乗員が声を上げる。「また連絡して下さい! それでは、アンドレア駐屯地に帰ります!」
ランカーⅡ5号機のタラップが収納されドアが閉まる。そしてランカーⅡが徐々に上昇して可変翼が角度を変えると、直ぐに速度を上げ見えなくなった。
エランの元に第81師団本部収容所の士官が駆け寄って来る。エランの前で立ち止まり敬礼して声を上げる。
「エリー少佐! ご苦労様です! 準備は出来ております」
そう言ってエランの前を歩いて行く。エランは士官の後へ続くとトッドとライラ憲兵大尉も追随した。
尋問室のドアの前に着くと士官はノックしてドアを開ける。
「エリー少佐! どうぞ中へ」
エランとトッド、ライラ憲兵大尉が室内に入ると室内にいた警備下士官2人が姿勢を正して敬礼する。
「エリー少佐! ご苦労様です! それではあとはお願い致します!」そう言うと2人の警備下士官は尋問室から出て行った。
机の反対側には、すでにガルシア近衛兵団長が座っている。エランはガルシア近衛兵団長を見て微笑む。
ガルシア近衛兵団長はライラ憲兵大尉を見て肩を窄めて言う。
「今日は憲兵士官同伴ですか、拷問でもするおつもりですかな?」
エランはガルシア近衛兵団長の反対側の椅子に座り言う。
「ええ、そうね。あなたが望むならそれでも構わないわ」
ガルシア近衛兵団長が不機嫌そうな顔になりエランを見つめて言う。
「いくら敵国とはいえ、その態度はいかがなものかと思いますが! 将官に対して無礼なその物言いは許せません」
エランは口元を緩ませ少し笑う。
「ガルシアさん、ゴメンナサイ。機嫌を損ねたのなら謝るわ」
ガルシア近衛兵団長はエランを少し驚いた顔をして見て言う。
「昨日までの態度とはまるで別人のようだ! 礼を逸している。その傲慢な態度は何なのだ!」
エランはガルシア近衛兵団長の顔を眺めて少し意地悪な顔をして言う。
「私は皇帝エランよ、あなたは私の部下なのだから何の問題もないわ」
ガルシア近衛兵団長はエランを睨み言う。
「なんというか! 皇帝陛下を愚弄するか! 容姿は似ているがそのように陛下は傲慢では無い!」
エランはガルシア近衛兵団長を見てガッカリした顔をする。
「私は傲慢よ、そんな立派な皇帝では無いと思うけど」
ガルシア近衛兵団長は顔を真っ赤にして声を上げる。
「貴官は、何を言っているか分かっているのか!」
エランは立ち上がりガルシア近衛兵団長の側に近づき耳元で呟く。
ガルシア近衛兵団長は顔色を変え目を見開きエランを見る。
「・・・・・・えーーっ!」
エランはガルシア近衛兵団長を見て言う。
「あなたは、連邦国に残りなさい。私は後ろ盾を得ました。なのであなたは危険を犯す必要は無くなったのです」
そしてエランは微笑み言う。
「皇帝は山越えコースから帝国領を目指しているとでも言っておいてください。ある程度の事は喋っても構いませんよ。判断はガルシア兵団長に任せるわ」
ガルシア近衛兵団長は申し訳なさそうに頭を下げて言う。
「陛下・・・・・・、確かに陛下です。はい、仰せのままに致します。私は足手纏いという事ですね。ご武運をお祈り致します」
そう言ってガルシア近衛兵団長は寂しそうな顔をした。
「ガルシア兵団長、ことが片付いたら迎えに来ます。それまで我慢してください」
エランはガルシア近衛兵団長の手を取り微笑む。そしてエランはトッドのほうを見て言う。
「終わりました。どうしますか?」
トッドはエランを見て少し考えて言う。
「まあ、少し早い気はしますが、終わりにしますか」
そしてライラ憲兵大尉が受話器を取って言う。
「尋問は終わりました。迎えを頼みます」
尋問室のドアがノックされて警備士官と下士官が室内に入って来る。敬礼して声を上げる。
「エリー少佐! お疲れ様でした! それでは連れ行きます」
そしてガルシア近衛兵団長は警備下士官に両サイドを挟まれて独房へと連れて行かれる。エランとのすれ違いざまに頷きガルシア近衛兵団長は去って行った。
トッドがエランを見て言う。
「あれで良かったのですか」
エランは嬉しそうにトッドを見て言う。
「はい、理解してくれました」
そしてエランが尋問室から出て廊下を歩いていると警備士官が駆け寄って来る。
「エリー少佐! ハル少将閣下からお電話です! 至急管理室へお願い致します」
エランは困った顔をしてトッドを見るとトッドはエランを見て言う。
「はい、お願い致します」
エランが戸惑い言う。
「しかし・・・・・・、これは・・・・・・」
トッドがエランの手を取って管理室へと向かった。管理室に入ると士官が敬礼して受話器をエランに渡す。
「ハル少将閣下、エリーです」
『エリーさん、話は通っています。安心して下さい。迎えが行くので詳しくはその者に確認して下さいね』
「はい・・・・・・、わかりました」
『それではまた、夕方会いましょう』
そう言ってハル少将の電話は切れた。
エランは困惑した顔をして受話器を置いた。
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