アンドレア戦域83 帝国近衛兵団15
エリーはエランの真意を確認する。
エリー機動大隊現地配備、14日目朝。
エリー達が、バレット市を出てから26時間ほど経過している。
エリーは、イグラ市のブラウン商会施設内にいる。食堂で朝食を済ませ、いつものようにボーーっとしていた。
食堂の入口からエランの声がする。
「エリー、おはよう。早いのね」
エリーは直ぐに答える。
「おはよう御座います。お姉様も早く起きられましたね。もう少しゆっくりされればよろしいのに」
エランはエリーのテーブルの反対側に座り言う。
「時間は無駄に出来ないでしょう」
エリーはエランを見て少し嫌な顔をする。
「予定通り、兵団長に会われるのですか?」
「ええ、お願いしますね。エリー」
エランはエリーを見て微笑む。そしてエリーは少し笑って言う。
「こんな事バレたら私は軍刑務所行きですよ」
エランはエリーの瞳をじーーっと見つめてから囁く。
「もう、私の事を報告していない時点でダメでしょう」
エリーが嫌な顔をしてエランを見る。
「連邦国軍に知られたら、お姉様は直ぐに首都に連行されて収容されますよ! それでよろしいのですか?」
エリーはエランから視線を逸らして言う。「朝食を食べてください。あとで私の部屋で少しお話しをしたいのでよろしいですか」
エリーはそう言って立ち上がりキッチンの調理担当者にエランの朝食をオーダーした。
「私と同じものを注文しました。出来上がったらテーブルまで運んで来てくれますので、では食事が終わったら部屋にお越し下さい」エリーはエランにそう言って食堂から出て行った。
エランはエリーの後ろ姿を見て思った。
(一緒に居てくれると思ったのに、どうしたの? なんか機嫌でも悪いのかしら)
エリーは部屋に入ってしばらくして部屋のドアがノックされた。
「はい、どうぞ」エリーが答える。
部屋のドアが開いてユーリとライラ憲兵大尉が入って来る。
「おはようございます」2人が頭を下げる。
エリーは少し微笑み言う。
「ユーリさん、ライラさん、おはようございます」
ユーリがエリーの顔を見て言う。
「エリー様、エラン様は信用出来るのでしょうか? 確かに姉君様であるかもしれませんが・・・・・・、帝国の皇帝なのですよ」
エリーが少し間を置いて言う。
「ええ、だから、これから2人で話そうと思っているのです」
ユーリは少し緊張したような顔をする。
「エリー様は、スキルを使うおつもりですね。それでもし信用に値しないとなった場合にはどうされるおつもりですか?」
エリーはふっと息を吐き言う。
「即刻、帝国にお帰り願います」
ユーリがエリーの顔を見て少し間を置いて言う。「それでよろしいので? 殺されるかもしれませんよ」
エリーは直ぐに答える。
「しょうがないよ、みんなを危険に晒す訳はいかないからね。お姉様とは思いでも無いしね。ユーリさんやトッドさんのほうが遥かに大事だよ・・・・・・」
ユーリはエリーの顔を見つめる。
「本心ですか?」
エリーはユーリから視線を逸らして言う。「まあ、たぶん・・・・・・、大丈夫だと思う。そうはならないよ・・・・・・」
「そうですか、連邦国軍には情報が漏れないように、手は打っておりますのでご安心ください」ユーリはそう言うと頭を下げて、ライラ憲兵大尉と部屋を出て行った。
エリーはソファーに座り顔を天井に向けまた、しばらくぼーーっとして時間を過ごす。10分ほどして部屋のドアがノックされる。
「どうぞ、入ってください」エリーが答えるとドアがゆっくり開いてエランが微笑みながら入って来る。
エリーはソファーから直ぐに立ち上がり、エランの背後のドアを施錠した。
「お姉様、これから10分ほどお時間を頂きます」そう言ってエリーは微笑みエランの朱色の瞳を見つめる。
そしてエリーはエランと向き合い、抱きしめる。エリーは耳元で囁く。
「これから、お姉様に魔法を通して意識を共有します。緊張せず私に身を委ねてください」
「ええ・・・・・・、任せます」
エランは少し緊張した表情をする。
「ベットに横になってもらえますか」
エリーがエランを優しくベットのほうへ体を押した。エランはベットの上で仰向けになった。エランはエリーを見て言う。
「これで良いかしら」
「はい、それでは始めます」
そう言ってエリーはエランの手を握る。そしてエリーの体が薄紫色の光に包まれる。エランは少し驚いた顔をする。
「え・・・・・・!」
薄紫色の光はエランにも広がり包み込んで行く。エランは光に包まれると何とも言えない幸福感で満たされて行った。エランの表情は緩み微笑んでいる。
エランは光に包まれながら思っていた。
(この力は何? 私が幸福感で満たされていく。血統者だけでこんなことは出来ない、妹はたぶん伝承の選ばれし者・・・・・・)
そしてしばらくしてエランにエリーの記憶や感情が流れ込んで来る。エリーもエランの感情や記憶が流れ込む。エリーはベットの上がり、エランの額に自分の額を当てる。静寂の時間が流れてエリーの薄紫色の光が収縮して消えた。
エリーはエランから離れてベットを降りて言う。
「エランお姉様、これからもよろしくお願いします」そして微笑み頭を下げる。
エランはベットの上で虚な表情をして口を開く。
「あなた様は・・・・・・、いったい・・・・・・」
そしてエランはゆっくりと上体を起こしてエリーを見て言う。
「私は、とんでもないお方を妹に持ったものですね・・・・・・。あなた様は伝承の女神様の使徒なのですか?」
エランはベットから降りるとエリーに跪き頭を下げる。直ぐにエリーは跪きエランの両肩を持って言う。
「お姉様、このことは内緒ですよ。私の深部に巨大な力があることを認知されたのですね。それは使徒ではなく、女神そのものの力です。この世界を滅ぼすことが簡単出来るほどの大きな力です」
そう言ってエリーはエランを抱きしめる。エランは体を震わせてエリーから離れる。そして頭を深く下げて言う。
「エリー様、これまでのご無礼お許しください」
エリーはエランの顔を両手で優しく包み込んで言う。
「お姉様に悪意がなかったことが分かって良かったよ。本当によかった」
エリーはエランを引っ張り立ち上がらせて言う。「お姉様には、魔力制限がされています。私は解除出来ますが。一気には無理なので、今回ちょっと細工をさせてもらいました」
エランは少し驚いた顔をする。
「細工・・・・・・ですか?」
「大丈夫です。少しずつでもスキルを使えるようにするだけですから、害はありません」
そしてエリーはエランの肩に手を乗せて言う。
「それでは参りましょう!」
エランがエリーの手を優しく掴んで微笑んで囁く。
「エリー様にはこれから大陸情勢安定のためにご協力をお願い致します」そして深く頭を下げる。
「普段通りでお願いしますよ。姉妹として接してください。お姉様とは従者の関係ではありませからね」
エリーが微笑んで言った。
「ええ、承知致しております。ご安心ください」そしてエランは表情を変える。
「じゃあ、エリーいきましょうか」
エリーは頷き言う。
「はい、お姉様参りましょう」
部屋から出て廊下を2人並んで歩いている。食堂の入口に立っているユーリはそれを見て微笑み頭を下げた。そして呟いた。
「良かったですね、エリー様」
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