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アンドレア戦域81 帝国近衛兵団13

 北部戦線、エリー機動大隊現地配備、13日目夜。

 エリー達が、バレット市を出てから16時間ほど経過している。


 エリーは、イグラ市内を憲兵車両で西部ブラウン商会施設を目指して走行中である。

 ランカーⅡは郊外に着陸して、そこから憲兵車両に乗り換えて移動している。

 憲兵車両前席に座るのは、第2軍管区憲兵隊、運転席にドノバン憲兵曹長、助手席にライラ憲兵大尉がいる。2人ともブラウン商会機関員だ。

 エリーが前席のライラ憲兵大尉に話し掛ける。

「どのくらいで着きますか?」

 ライラ憲兵大尉が少し振り返り答える。

「はい、10分ほどで到着出来ると思います」

 

 エリーが微笑んで言う。

「ライラさん、少しお腹の足しになる物が欲しいのですが、何かありませんか?」


 ライラ憲兵大尉は少し考えて言う。

「この時間ですと、軽食などのお手軽に食べれるお店は営業していませんね。商会拠点に着いてから私が適当に買ってお届けしますが、それで宜しければ行って参ります」

 エリーは少し嬉しそうな顔をして言う。

「はい、お願いしてもよろしいのですか? 私、朝からまともな食事してないので美味しい物をお願いします」

 それを聞いてライラ憲兵大尉とドノバン憲兵曹長が何やら話している。


 そして憲兵車両はイグラ市西部のブラウン商会施設の前に到着した。ライラ憲兵大尉が慌てて降りて後部席のドアを開ける。

「この建物がそうです。入口を開けますので少しお待ちください」

 エリーとユーリが憲兵車両を降りると、ドノバン憲兵曹長がドアを閉めて車両を発進させて直ぐにいなくなった。


 エリーがライラ憲兵大尉を見て言う。

「置いていかれましたが、よろしくのですか?」

「ええ、彼にはエリー様の買い出しに行ってもらいました」

 エリーは申し訳なさそうな顔をする。

「ライラさん、申し訳ありません。ご迷惑おかけして」

 ライラ憲兵大尉が慌てて言う。

「いえ、そのような事はないです。お嬢様のお世話も私達の大切な任務です」

 そう言ってライラ憲兵大尉は頭を下げる。そして施設の入口のドアがゆっくりと開いた。入口フロアには武装した商会警備担当が3人ほどいる。エリー達が入口から入ると3人が頭を下げる。

「エリー様お待ちしておりました。どうぞこちらへ」警備担当の1人が前に出る。

「私、洗面所に行きたいのだけど良いかしら」

「はい、廊下の1番奥がそうです」

 警備担当がエリーを見て答えた。

「ユーリさん先に行ってください。後から行きます」エリーが少し緊張した顔で言った。ユーリはそれを見て言う。

「はい、わかりました」

 ユーリとライラ憲兵大尉は警備担当に付いて左側の廊下に進んで行った。

 エリーは洗面所に入り鏡を見て呟く。

「間違いない・・・・・・、緊張感がすごい。お姉様がここにいる」


 エランとトッドは、食堂でたわいも無い話しをして気持ちを和ませてる。

 エランは久しぶりのなんとも言えない幸福感に満ち溢れた時間を過ごしていた。

 そこへ、女性の声が聞こえて来た。

「トッドさん、到着しました」

 トッドは立ち上がり手を上げて言う。

「早かったなユーリ、エリー様は?」

 エランは声のほうに振り返り少し機嫌の悪い顔になる。(トッドさんと同じ軍服、歳は私と同じくらいか? そして相当な美人! 呼び捨て!?)

 エランがユーリを少し睨んだように見ていると、ユーリが驚いた顔をして言う。

「ええ、確か洗面所に行かれたはずなのですが? ここにおられるのは?」

 

 ユーリの背後にいたライラ憲兵大尉が前に出る。「トッド様お久しぶりです!ライラです」そしてライラ憲兵大尉もエランを見て瞳を大きく開いて言う。

「・・・・・・エリー様・・・・・・、え・・・・・・」

 エランは2人の女性士官が揃って動揺した顔をしているのを不思議に思っていると、トッドが言う。

「ミナさん、会って欲しい方がいるのですがよろしいでしょうか」


 エランは、振り返りトッドを見て答える。「はい、よろしいですよ」

 そして、また入口から女性の声がする。

「トッドさん! 急ぎとは何ですか?」

 エランは声のほうへ振り返りると、そこにはエリーがいた。エランは瞳を開き瞬き出来ないまましばらく見つめる。

 エリーはエランにゆっくり歩み寄り横に行って両手を優しく握って微笑む。

「お姉様・・・・・・、お久しぶりです。お元気なようで良かったです」

 エランはエリーの朱色の瞳を見て呟く。

「私に妹はいませんよ。確かに昔にいましたが、エレンは死にました・・・・・・」

 

 エリーはエランの顔に近づき優し囁く。

「それは間違いです。確かにここに生きていますよ・・・・・・。今はエリーブラウンとして、そして王族名、エレン ドレークあなたの妹・・・・・・」


 エリーはエランの朱色の瞳をしばらく見つめる。

「感じませんか? べランドル王族の血統者ならわかるはずです」エリーが優しくエランに言った。

 エランはゆっくり椅子から立ち上がりエリーと抱擁する。

「確かに・・・・・・、感じます。懐かしい波動を・・・・・・、しかしなぜ? 私の血族者は全員死んだはずだった」

 エランはエリーと頬を合わせながら言った。

 エリーは囁く。

「残念です。今は、エランお姉様とは敵同士なのですね。出来れば避けたいのですが、お姉様のお立場は皇帝・・・・・・どうにもなりません」


 エランがエリーを優しく両手で体を離して瞳を見つめる。

「あなたよね。私の飛行艦隊を潰したのわ。私がいるってしていたのでしょう。それでも容赦なく潰した。ホントあなたは凄いと思うわ」

 それを聞いてエリーの朱色の瞳から涙が流れ落ちる。

「私が・・・・・・、やりたくてやった訳ではありません!」

 エランがエリーの頭に手を出して髪を撫でる。

「理解していますよ、お互い立場がありますものね。しょうがない事です」

 

 エランは微笑みエリーを見て言う。

「でもね、あなたに感謝しているのよ。私は飾り物の皇帝からやっと解放されたの、今はとりあえず息の詰まる皇城から出られた。それが嬉しいの」


 エランは再びエリーを抱きしめて言う。

「だからね、再会をお互いに喜びましょう」

 エリーがエランの顔を見て微笑み言う。

「そうだね、エランお姉様! もう家族は私達だけだものね」


 トッドが2人を見て申し訳無さそうに声を掛ける。

「エリー様! そろそろ今後のことに付いてお話をしたいのですが、よろしいでしょうか」


 エリーとエランが顔を見合わせて微笑んで頷く。そしてエリーがトッドに言う。

「そうですね、今後に付いてお話をしましょう」

 そして、エリーとエランが隣並んで椅子に座った。


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