アンドレア戦域80 帝国近衛兵団12
北部戦線、エリー機動大隊現地配備、13日目夜。
エリー達が、バレット市を出てから15時間ほど経過している。
ここは、イグラ西部地区のブラウン商会施設内。食堂の椅子に1人エランが座って壁を見つめ考えていた。(ならず者の集団に襲われて、その集団をあっという間に撃退した連邦国軍士官、トッドウォールさんの言うがままにここに連れてこられた。ここに置いて行く訳にはいかないと・・・・・・、散乱したならず者達の死体は数十人の者達がやて来てすぐに片付けられた。トッドウォールさんとこの者達はかなりのヤバい組織だ。私など相手にならない! しかし、私の倒れた護衛3人は手当を施してくれている。助けられた事には感謝しなけらばならないわね)
エランが壁を真剣な顔で見つめていると背後から声がする。
「気持ちは落ち着きましたか、ミナさん」
トッドが食堂の入口から声を掛けてきた。エランはハッとして振り替える。
「はい、ありがとうございます」
エランは若干引き攣った笑顔で答えた。
エランは思った。(このトッドさん、最初は怖かったけど、戦闘の時とは別人見たいに穏やかな顔をしている。この人が私の臣下にいればほんとよかったのに・・・・・・)
トッドがエランのテーブルの反対側に座ってエランの顔をジーッと見ている。エランはこんなに普段見つめられる事は無いので、緊張した面持ちになる。
「それにしても、本当に世の中にはいるのだな、こんなにも似ているとは・・・・・・」
トッドがエランを見つめながら呟く。
「そんなに見つめないで下さい。変な気分になります」エランが目を逸らして言った。
トッドは少し申し訳なさそうに言う。
「あゝ、申し訳無い、知り合いに余りにも似ているもので・・・・・・、いや瓜二つレベルだな」そしてトッドはエランに頭を下げた。
エランはトッドの顔を見て少しためらい言う。
「その方は、私にそんなに似ているのですか?」
「ええ、私も、ミナさんに会った時は本当に驚きましたよ。なんでこんなところにいるのかって思ったくらいです」
トッドがエランをまた見つめて言った。
エランは視線を逸らして言う。
「そうですか。それで3人はどうでしょうか?」
トッドが微笑んで言う。
「3人とも命には別状無いが、男性2人は全身の筋肉ダメージが有るから2日は動けません。女性の方は比較的軽いが1日は動かんほうが良いと思います。それで彼等とはどういう関係なのかな? 友達や同僚のような感じでは無いようですが」
エランが少し困った顔をして言う。
「幼馴染で田舎を出てきたのです・・・・・・」
トッドはエランを見つめて少し間を置いて言う。
「そうですか、人にはそれぞれ事情があるものですからね。あゝ、幼馴染ですね、了解しました」
トッドは椅子から立ち上がりエランに微笑んで言う。
「何か食べますか? お腹が減っているのでは無いですか?」
エランは視線を下げて言う。
「ええ、少し頂ければありがたいです」
そしてトッドはキッチンスペースに入り鍋を出し水を入れる。
「パスタならすぐ出来ます。よろしいですか?」
エランはトッドを見て少し驚いた顔をして言う。
「トッドさんが作るのですか?」
トッドの鍋をコンロにセットしながら言う。
「そうですよ、簡単なものならある程度は出来ますよ」
「驚きです、トッドさんのようなお方が料理をされるとは思いませんでした。普段は奥様がお作りになるのでは無いのですか?」エランがトッドを見て言うと、トッドが笑って答える。
「結婚していないので、普段は軍食か自分で作ってますよ」
エランが少し驚いた顔をしてトッドを眺めて言う。
「それは意外です。何か問題でもあるのですか?」
トッドが首を傾げてエランを見て言う。
「問題・・・・・・?」
エランがためらった顔をしてトッドを見る。
「時より耳にすることがございまして、男の人にある事です。役に立たないとかですが・・・・・・」エランが少し恥ずかしそうに視線を下げる。
トッドはエランを見て少し笑って言う。
「あゝ、それは問題無いですよ。相手に巡り会わなかっただけですね」
そうしてトッドは手際良くパスタを茹で上げ、皿に盛り付けソースを絡める。
エランのテーブルに置いて、すぐに水とフォークを持って来る。
「どうぞ、召し上がってください」
トッドがエランの顔を見て微笑んで言った。エランはパスタをまじまじと眺めて言う。
「それでは、頂きます」エランはトッドに頭を下げて言った。普段のエランなら言うことの無い言葉だ。エランはフォークを手にとりパスタを巻きつけると口に運ぶ。
「えーーっ! 美味しい」
エランから声が漏れる。エランは、早朝からまともな食事をしていない空腹のため、とても美味しい感じた。そしてパスタをあっという間に平らげた。
「ミナさん、良い食べっぷりですね。作った甲斐がありました」
トッドがエランを見て言うとエランは嬉しいそうに言う。
「とても美味しいかったです。ありがとうございました」
エランはトッドを見て微笑む。
「私はこのような感じの食事は初めてです。出来たものをすぐに食べると、こんなに美味しいにですね」
トッドはテーブルの空になった皿を取り言う。
「そんなに喜んでもらえるとは思いませんでした。では片付けますね」
エランはトッドの後ろ姿を見ながら思った。(連邦国軍士官でなっかたらよかったのに・・・・・・、残念です)
◆◇
時は1時間ほど戻った。ここは連邦国軍第81師団本部収容施設。
エリーは、尋問室内の椅子に座り、机の反対側にはガルシア近衛兵団長が座り顔を背け無言の時間がしばらく続いていた。
エリーが口を開く。
「エラン陛下は、どこに行かれたのですか? 国境沿いに行かれた痕跡は確認出来ていません。もしかして、もう生きていらしゃらないのではないのですか?」
ガルシア近衛兵団長はその言葉にも反応せず無言のままエリーを見て微笑む。
突然、尋問室のドアがノックされる。そしてドアが開いて、士官が入って来てユーリに何かを言っている。
ユーリはすぐに椅子から立ち上がり言う。「エリー少佐! トッド中佐から緊急連絡です! すぐに電話に出て欲しいそうです」
エリーはユーリを見て少し驚いた顔をする。「トッドさんから、よっぽどの急ぎなのかしら、はい、行きます」
エリーはすぐに椅子から立ち上がり言う。「ユーリ少佐! あとをお願いします」そう言うと直ぐに尋問室から出て行く。
エリーは管理室に入ると、当直士官が受話器を渡して来た。
「はい、エリーです。トッドさん急ぎですか? こちらも今、近衛兵団の尋問中で手が一杯なのです」
『エリー様、申し訳ありません。実はイグラで面白いことがありまして、会ってもらいたい方がいるのですが、よろしいでしょうか、それが今回の件を解決することになると思います。それで急ぎイグラにお越し願います』
「トッドさんが言うのなら・・・・・・。はい、イグラの商会施設ですか?」
『そうです。出来る限り急いでください』
「はい! 了解しました!」
エリーは受話器を置くと管理室を慌てて飛び出して尋問室に向かった。
エリーは尋問室に入ると直ぐにユーリに言う。
「カーター機長に、直ちに飛行要請して下さい! イグラに向かいます」
それを聞いてガルシア近衛兵団長の顔色が変わり動揺する。エリーはそれを見て様子を伺うように言う。
「申し訳ありません! ガルシア近衛兵団長、尋問は今日は打ち切りです。お疲れでしょうからゆっくりお休み下さい!」
直ぐにユーリが尋問室の受話器を取り言う。
「尋問終わりました。迎えをお願いします」
直ぐに3人の警備下士官がやって来た。
ガルシア近衛兵団長は顔を強張らせてエリーを見ている。そしてガルシア近衛兵団長は言葉は発せず警備下士官に連れて行かれた。
エリーがユーリを見て言う。
「あたりだね。トッドさんはたぶん何か掴んだんだよ」
そしてユーリは慌てて尋問室を出て行った。
それから20分後、エリー達が搭乗したランカーⅡ5号機は第81師団本部を飛び立ちイグラに向かった。
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