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アンドレア戦域78 帝国近衛兵団10

 北部戦線、エリー機動大隊現地配備、13日目午後。


 エリー達が、バレット市を出てから10時間ほど経過している。


 ここは、ドール号墜落地点から西へ15キロほどアンドレアよりの連邦国領。

 ガルシア近衛兵団長達は無闇に動くのは危険と判断して、山岳地域に入り岩の裂け目の間に身を隠していた。移動に備えて携帯食は人数分で3日分と飲み水も沢で確保出来た。しかし、ガルシア近衛兵団長は相手がそんなに甘い相手では無いと感じていた。(今日一日中は無理だろうな?)

 もう連邦国軍の飛行兵器は周辺を飛ばなくなって静かになった。

「静かになったが・・・・・・、夜まで待つか?」

 ガルシア近衛兵団長の隣に座っている近衛士官が言う。

「山を越えて帝国領に入るのはどうでしょうか? それなら追っ手にも見つからずに済むと思います」

 言い終わって近衛士官がガルシア近衛兵団長を見る。

「あゝ、そう出来れば一番良いが、とてもこの装備メンバーでは生きて辿りつけんだろうな」そう言って近衛士官を見て悲しい顔をした。

 近衛士官は頭を下げて言う。

「申し訳ありません! 考えが足りずこのようなバカな事を申しました」


 そして、外で警戒している近衛士官が少し慌てて裂け目の間に入って来る。

「こちらに接近して来る集団の気配があります。静かにして下さい」そうして全員が息を殺して静まり返る。


◆◇


 エリーは特戦隊隊長ロング少佐と並んで道でない岩場のところを進んでいる。

「この周辺は、私達の庭のような所ですから、迷う心配はありません」

 ロング少佐が余裕の笑みを浮かべエリーを見る。エリーは澄ました顔でロング少佐を見て言う。

「ええ、そうなのですか・・・・・・」エリーは息こそ上がっていないが、魔力を使用して肉体増強して頑張って歩いていた。修練で日頃鍛えているユーリでさえ足元の悪さに対応しきれず若干疲れ気味の様子だ。

 

ロング少佐が手を上げインカムで指示を出す。「こちらリーダーワン! 各員休憩5分! 周辺異常無いか!」

 それを聞いてエリーは直ぐに立ち止まり腰の水筒を取りゴクゴクと水を飲んだ。

「エリー少佐でも苦手な事はあるのですね」ロング少佐がエリーを見て少し笑みを浮かべ言った。

「ええ、こんなこと普段しませんから、体が慣れていないのです」エリーは直ぐに答えた。

 ロング少佐はエリーの顔を見て言う。

「しかし、あのような剣筋、エリー少佐は誰から指導を受けたのですか?」

 エリーはロング少佐に微笑む。

「トッド ウォールさんです。みっちり叩き込まれました」


 ロング少佐が驚いた顔をして言う。

「あの英雄、トッドウォールですか?」


「はい、元国家序列1位とか言ってました」エリーが嬉しそうに言った。


「どうりで、それでは敵うはずも無いわけですね」ロング少佐が少し悲しい顔をする。

 エリーが水筒を腰に戻して言う。

「No.2のゼニスさんの上て、、ロング少佐ですよね」

 ロング少佐は少しためらい言う。

「わかりましたか。ですが私はエリー少佐に挑もうとは絶対思いませんよ。まあ、強さは、私の予想を遥かに超えていましたがね」

 ロング少佐はさらにエリーを見て言う。

「実戦慣れしているゼニス中尉をいとも簡単にねじ伏せたのですから、エリー少佐もかなりの場数を踏んでらっしゃると直ぐに感じました」


 エリーはロング少佐を見て微笑み言う。

「ロング少佐! 帰ったら修練をやりませんか!」

 ロング少佐は直ぐに答えた。

「いえ、任務に支障がありますので、ご遠慮申し上げます」

 エリーは少し悲しい顔をする。

「なぜですか?」

 ロング少佐はためらい言う。

「エリー少佐がまだ本気でなかったからですよ。実力の半分も出していなかったのでしょう」

 エリーは少し笑みを浮かべ言う。

「そうですが、全力など出したらゼニスさん、たぶん死んでしまいますよ」


ロング少佐はエリーから視線を逸らし言う。「そうでしょう・・・・・・、ですから私の気持ちを汲んで下さい」

そう言ってロング少佐は頭を下げる。


「部下の前では無様な姿は晒せないと言う事ですか?」エリーはロング少佐を意地悪い顔で見て言った。

「はい、そう受け取ってもらって結構です」ロング少佐は少し悲しい顔でエリーを見て言った。

「死ぬような訓練や実戦を潜り抜け、私もそれなりに自信はあります。ですが、エリー少佐の領域は私では踏み込める域では無いと、私の本能が言っているのですよ。仮に私が死を持って挑んでも簡単に粉砕されて終わと・・・・・・。そもそも持っているポテンシャルが違いすぎて、そう例えるなら、神と人間みたいな感です」

 そしてロング少佐はしばらく無言になってエリーを見つめる。

「ではいきましょうか!」ロング少佐が言ってインカムを抑えて言う。

「こちらリーダーワン! 各員移動開始する! 異常ないか!」

そしてロング少佐は歩き出した。エリーも直ぐに付いて歩き出す。

「潜んでいるとしたら、ここらあたりが怪しいですね」ロング少佐が声を上げていった。山際から切り立った崖が続いた地域だ。

 各分隊が展開して、崖の裂け目を確認して行く。エリーはランカーⅡでは上手くいかなかった。感知スキルを発動周囲に領域を広げる。(気持ちを落ち着けて、スキルを通して丁寧に周囲を確認していけば、見つかるかな、隠蔽魔法の波動はどうだろう?)

 エリーは細心の注意を払いながら丁寧にスキルを通して感じていく。すると、乱れを感じる。そこに魔力を集中して行く。

「ロング少佐! 向こうの崖の裂け目に人の気配を感じます」エリーはそう言って指差した。ロング少佐が直ぐに周りの隊員に手で合図する。

 各分隊が切れ目の周辺に気づかれないよう静かに囲むように配置に着いた。

 エリーはロング少佐と岩の影で身を隠し様子を伺う。すぐにユーリも側に寄って来た。エリーがロング少佐を見て言う。

「どうしますか! 皇帝がいた場合、銃で実力行使は出来ないですよね」

 ロング少佐が頷き言う。

「まずは、投降の説得ですかね」


 エリーが微笑み言う。

「では説得は私が行きます」

 ロング少佐が驚いて慌てたように言う。

「それは出来ません! 万が一のことがあればタダでは済みません! 私が行きます」エリーはロング少佐の手を握り微笑み言う。「私達の数を見て、相手に皇帝がいた場合、無茶はしません。それにスキル発動で普通の銃弾くらいは何とかなりますので大丈夫です」


 そしてエリーはひとり岩陰から出ると、崖の裂け目へと近づいて行く。

(セレーナの危険予知スキルは発動していない、とりあえず大丈夫みたいです)

 エリーはゆっくりと近づいて行く。エリーは感知スキルで裂け目の中にいる人数は6人と特定した。もはやこの距離では隠蔽魔法は無力化出来る。そして、裂け目の中にいるのは、帝国近衛兵団のものである事はほぼ間違いない。だが皇帝がいるかはわからない。


 裂け目の出口にいた近衛士官が慌てて奥にいるガルシア近衛兵団長に駆け寄り声を上げる。「陛下が! 戻ってこられました!」

 ガルシア近衛兵団長が直ぐに言う。

「何をバカなことを言っている」

 ガルシア近衛兵団長は近衛士官の顔を見て言う。

「陛下は西へ行かれた。今頃はイグラに着く頃だ」

 近衛士官は動揺した顔で声を上げる。

「ですが! 陛下なのです・・・・・・」

 ガルシア近衛兵団長は近衛士官を押し退けて入口付近まで出て、歩いてくる人物を見て一気に動揺した。

「なぜ・・・・・・、戻って来られた!」

 周りの岩場の物陰には相当数の連邦国軍兵士が隠れていることが気配でわかる。

 ガルシア近衛兵団長は呟く。

「あの中に裏切り者がいやのか? いや、そんなはずはない!」

 そいしてる間にその皇帝に似た人物は裂け目の20mほど手前で立ち止まり声を上げる。

「帝国近衛兵団の方々とお見受けします!   どうか、抵抗せず投降される事をお願い致します!」

 そう言ってエリー両手を上げて更にゆっくり距離を詰める。


 ガルシア近衛兵団長は混乱していた。

(どうして・・・・・・陛下、なぜ戻って、投降しろと言われている!?)


 エリーは裂け目の手前10mで立ち止まり声を上げる。

「どうか、抵抗せす投降して下さい! 抵抗しなければ危害を加える事はありません! どうかお願いします!」

 ガルシア近衛兵団長は、エリーの姿が完全に認識出来る距離にいた。

 ガルシア近衛兵団長はエリーを見て顔を顰めて声を上げる。

「なぜですか! 陛下、何があったのですか!」


 エリーは首を傾げて微笑み言う。

「お願いします! 大人しく投降して下さい」

 ガルシア近衛兵団長はその場で崩れ落ち涙を流しながら言う。

「陛下・・・・・・投降しろと言われるのですね」 ガルシア近衛兵団長は振り返り全員に言う。

「陛下のご意志だ、全員抵抗せず投降する」そしてガルシア近衛兵団長は立ち上がりエリーに声を上げた。

「はい、仰せのままに致します!」


 そして、裂け目に隠れていた6人全員が表に出て来て手を上げて並んだ。

 エリーは深く頭を下げて言う。

「ご協力に感謝致します!」

 そして6人に近づいて行く。そして皇帝の軍服を着たミナ中尉を見て驚いた表情をする。後方からは特戦隊の隊員達が銃を構えて近づいて来る。

 エリーは呟く。「お姉様では無いようですが? これは・・・・・・」

 そしてエリーは立ち尽くす。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

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