表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/467

アンドレア戦域77 帝国近衛兵団9

エリーはひさびさの剣技試合にワクワクする。

 北部戦線、エリー機動大隊現地配備、13日目午後。


 エリー達が、バレット市を出てから9時間ほど経過している。


 エリーは一旦、連邦国軍のアンドレア国境補給基地に戻り、地上から捜索隊に参加する事にした。

最初はレンベルを使用しようと思ったが、深い森に重装機兵で分け入るのは効率が悪いので諦めた。


 連邦国軍アンドレア国境戦域は第2軍管区の10個師団が防衛している。歩兵科師団5個師団 機動機械科混成師団3個師団、特殊戦術機動魔法編成師団1個師団、機動歩兵混成師団1個師団の構成だ。アンドレア国境戦域には数が少ないが、ある程度の精鋭部隊が配置されていた。エリー達に同行する部隊はハル少将から指名を受けた第81師団特殊野戦隊第一小隊が同行する事になった。


「エリー少佐! 今回同行します。特戦隊の隊長をしております。ロングです」

 森林迷彩服を着た士官がエリーに近づき敬礼した。階級章はエリーと同じ少佐だ。

年齢は30代中盤くらいに見える。

「お世話になります!」

 エリーは姿勢を正し敬礼した。

 ロング少佐は緊張した表情でエリーを見て言う。

「各地でのご活躍、伺っております。この度ご一緒出来て光栄に思います」そう言ってロング少佐は頭を下げる。

「今回諜報部のユーリ少佐も同行しますのでよろしくお願いします」

 エリーがそう言うと隣りのユーリがロング少佐を見て敬礼する。

「諜報一課のユーリです。よろしくお願いします」

 ロング少佐はユーリを見て敬礼した。

「ロングです。ユーリ少佐よろしくお願いします」


「それでは山際までは車両で移動して、あとは歩きでの移動となります。部隊員は5個分隊編成で、エリー少佐に私と1個分隊が付き、残りは周辺に展開して移動します。あと10分ほどで出発しますのでよろしくお願いします」

 そう言って、ロング少佐はエリーから離れて行った。


 ユーリがエリーに寄って言う。

「あの特戦隊は第二軍管区内で最強らしいですよ。ハル少将がわざわざ指名したとか言ってましたが」


「へえ、そうなんだ、気を使ってくれたんだね」エリーは素っ気なくユーリに言った。そして少し考えて言う。

「たぶん早く片付けて、アンドレアに戻って来いって意味じゃないかな」

 エリーに特戦隊の女性士官が駆け寄って来る。「特戦隊! 少尉、デミカです! 迷彩軍装をお持ちしました。サイズはお二人に合わせて準備しましたので問題はないと思います」そう言うとエリーとユーリそれぞれに渡す。

「奥の管理棟に女性士官用休憩室がありますので、そこで着替えてください」

 デミカ少尉が2人を見て建物を指差した。


 エリーとユーリは補給基地の管理棟に向かう。

「迷彩は初めてです」エリーが嬉しいそうに言った。

 ユーリはエリーの顔を見て微笑む。

「迷彩はパターンが合っていれば見つかり難くなりますが、合って無いと逆に目立ちますからね」


 エリーはハッとしてユーリを見て言う。

「そうだよね。ユーリさんのカスタム機体も迷彩色だったよね」


 そうして女性士官休憩室に着くとノックして部屋に入った。部屋では奥のベットで2人ほど寝ているようだ。カーテンで仕切られているのでハッキリはわからない。

 エリーとユーリは起こさないように静かにゆっくり着替えを始める。

 奥から1人短髪の女性が出て来て2人を見て機嫌悪そうに言う。

「何してるの! いまやっと寝たと思ったらノックして入って来て、目が覚めたじゃない」


 エリーが下着姿のまま頭を下げる。

「すいません、初めてで勝手がわからなくて、申し訳ありませんでした」

 ユーリも釣られて頭を下げた。

 寝起きの女性が機嫌悪そうな顔で2人を見て言う。

「何処の部隊? 応援?」

 エリーが女性を見て言う。

「はい、捜索任務で今から出るので着替えをしようと」

 女性がエリーを見て声を上げる。

「若いわね。士官候補生? 先輩の睡眠を邪魔するじゃないわよ」


 その言葉を聞いて下着姿のユーリが女性を睨みつける。女性は少し驚いて後ろに下がる。

「あなた達、少しばかり見てくれが良いからって調子に乗ってるんじゃない! 士官候補生の分際で先輩士官に対する態度がなってないわ!」


 エリーは女性を見て思った。(この人、完全にスイッチ入っちゃって困ったな)


 すると部屋のドアが開いてデミカ少尉が入って来た。

「何を騒いでいるのですか?」下着姿の2人を見てデミカ少尉が戸惑った顔をする。

 デミカ少尉は目の前に立っている短髪の女性を見て言う。

「ゼニス中尉! ここで何を?」

 女性はデミカ少尉を見て機嫌悪そうに言う。

「睡眠を邪魔されたから、注意していただけだよ」


 デミカ少尉は女性を見て驚いた顔をする。「エリー少佐に何を・・・・・・」

 短髪の女性ゼニス中尉は、少し不思議そうな顔をする。

 デミカ少尉が呆れた顔をしてゼニス中尉を見て言う。

「お二人は捜索隊の責任者です。エリー少佐を知らないのですか?」


ゼニス中尉は少し動揺した表情をして言う。「エリー少佐は年は若いが、とんでもない武人と聞いている・・・・・・、このようなお嬢様軍人ではないはずだ」

 デミカ少尉が慌ててゼニス中尉に駆け寄り言う。

「本当にエリー少佐です! ゼニス中尉しっかりして下さい! タダでは済みませんよ」それを聞いてゼニス中尉の瞳の生気が無くなりうなだれる。

 そしてゼニス中尉は呟く。

「あゝ、お会い出来る事を楽しみにしていたがこのようなお嬢様とは残念だ。噂は本当のようだ・・・・・・」


 エリーがそれを聞きゼニス中尉を見て質問する。

「その噂とはどんな噂ですか?」


 ゼニス中尉はさっきまでの横柄な態度では無くなったが、機嫌悪そうに言う。

「知らないのですか! 各戦果は他のものが挙げて、さもエリー少佐ひとりの戦果のようにしていると、国のプロパガンダのために象徴を作り出していると言う話しですよ」

 そしてゼニス中尉は言う。

「ハッキリ言って、エリー少佐は私には戦闘格闘術で勝てるとは思えません。自慢ではありませんが、私はここでNo.2実力です」

 ユーリがゼニス中尉を睨み言う。

「身の程知らずも大概にしないと命を失くすぞ!」ユーリには珍しくドスの効いた声で言った。


 エリーが嬉しいそうに言う。

「じゃあ! ゼニスさん試しましょうよ。どちらが強いか」

 ユーリがエリーを見て言う。

「エリー少佐がやる必要は有りません! ここは私が」

 エリーはユーリを見て微笑んで言う。

「ユーリさんじゃダメだよ。私を指名したんだから、私、ワクワクしてるんだ。こんなのひさびさだよ。ゼニスさん期待しています」

 エリーの口元は緩み笑っている。ユーリはエリーを見て思った。(あゝ、エリー様この顔はまずい顔ですよ。士官学校で見たことがありますが・・・・・・)


 エリーは直ぐに迷彩上着とズボンを着用して言う。「それではゼニスさん準備してくださいね。種類は何でも結構です。そちらに合わせます」


 ゼニス中尉は真剣な顔で言う。

「怪我をしますよ! 私は手加減しませよ! やめておいた方が良いと思いますが」


 エリーが微笑み言う。

「やめる訳ないじゃないですか、こんな楽しいこと。気分が滅入っていたので丁度良いです」


 ゼニス中尉が呆れたようにエリーを見て言う。「エリー少佐はどうやら相手の力量が計れないようですね」

 ユーリがその言葉に割って入る。

「力量を計れないのはお前の方だ! やめておけ死ぬぞ」


 ゼニス中尉はベットのほうへ行って、軍服に着替える。


 エリーは直ぐにゼニス中尉を見て言う。

「試合は広場で良いですね」

 そう言ってエリーは部屋から出て行く。慌ててユーリも後を追った。

 残ったゼニス中尉にデミカ少尉が言う。

「大丈夫なのですか、もう後には引けませんよ」

 ゼニス中尉はデミカ少尉を見て言う。

「真実を確かめるだけだ。エリー少佐に怪我をさせたりはしない」そう言って部屋から出て行く。


 エリーが補給基地の広場に立っていると、ゼニス中尉が出て来た。そしてロング少佐が慌ててエリー少佐に駆け寄り言う。

「申し訳ありません! 今直ぐやめさせますので、ご勘弁ください」

 エリーはロング少佐を見て言う。

「いいえ、結構です。ゼニス中尉も引けないでしょうからこのまま、お願いします」


 エリーがゼニス中尉に声を上げる。

「私は木剣で結構ですので、ゼニスさんはお好きなものを選択して下さい」


 ゼニス中尉はエリーを見て言う。

「私は銃剣を選択します。エリー少佐! 防具を着用して下さい。怪我をしますよ」


 エリーが口元は緩み笑っている。

「大丈夫です。早くやりましょう! 時間が無いので始めませんか」

 周りには特戦隊の第一小隊員と基地将兵が200人ほど集まっている。


 エリーがゼニス中尉に言う。

「ルールは剣技試合規定で良いですか!」


 ゼニス中尉は頷き答える。

「はい、それでお願いします」

 エリーがロング少佐に駆け寄り言う。

「試合の審判をお願いします」

 ロング少佐は少し困った顔をして言う。

「本当はやめて欲しいのですが、しょうがないですね、お引き受けします」


 エリーとゼニス中尉が5mほどの距離を取り対峙する。エリーは相変わらず微笑んでいる。そしてエリーはスキル神眼を発動してゼニス中尉を視感する。

(身体能力が高いのはわかる。魔力はほとんど流して無い感じなんだけど、どうなのかな? まあ、No.2の実力者だからほぼ全力で行かないとこっちも防具無いから喰らうわけにはいかないからね)

 そしてエリーは魔力量を上げ、身体強化を図る。ゼニス中尉はエリーを見て驚いた顔をしている。


 ロング少佐が両手を上げて言う。

「両者準備良いか!」

 エリーとゼニス中尉が頷き答える。

「はい! いつでも良いです!」

ロング少佐が両手を下げて言う。

「それでは、始め!」

 そしてゼニス中尉が一気に猛烈な速さでエリーに間合いを詰めて腹部目掛けて突きを入れて来る。エリーは中段から外へ木剣を振り抜き、ゼニスの銃剣を外へ弾く。

ゼニスは直ぐに体を逸らして、エリーの右側に移動し体制を反転させて銃剣をエリーの脇腹目掛けて振り抜いて来た。

 エリーは上体を逸らし左足を引いて木剣をゼニスの銃剣先に当て外に逸す。

周辺で見物している将兵からどよめきが起こる。

 エリーは一旦距離を取ってゼニスを視感して魔力量を上げる。(ゼニスさん予想よりは早いですが、まだ全力ではないのでしょうか?)

 

 エリーは下段後方右斜めに構える。そしてエリーの両目が赤色に変化する。

ゼニスがまた驚いた顔でエリーを見る。

 エリーが右足を蹴り出し、猛烈な速度でゼニスの正面に入ると下段から斬撃を脇腹目掛けて放った。ゼニスは銃剣を左斜めにに突き出し木剣に当て逸らした。そしてエリーは直ぐに上体を捻ると木剣を一気に引いて腹部目掛けて猛烈な突きを入れる。

 エリーはゼニスの顔が呆然として反応していない事に気づいた瞬間、ゼニスは後ろにものすごい勢いで倒れ込んだ。そして、ゼニスの悶絶した声が周辺に響いた。


 ロング少佐がそれを見て直ぐに声を上げる。「勝者! エリー少佐!」

周囲で歓声とどよめきが起こる。エリーがゼニス中尉に駆け寄ると痛みを堪えながら呻いている。

 エリーは視感してゼニス中尉を見ると内臓がダメージを受け内部で出血がある。

エリーがゼニス中尉を見て言う。

「あなたワザとふりましたよね。何故ですか?」ゼニス中尉が呻きながら言う。

「本当の強者とはどんなものか見てみた方のですよ・・・・・・、エリー少佐は本物でした。私も愚かです。まともにこんなダメージを貰うなんて思いませんでした」


 エリーはゼニスの腹部に手を当て魔力量を上げる。エリーの体が薄い紫色の光に包まれるとその光はゼニスの体も包み込む。

 そしてしばらくしてゼニスは腹部の痛みが取れていく。

「エリー少佐、これは何なのですか? 痛みが無くなりました。一体?」

 エリーはゼニスを視感して怪我が治癒した事を確認すると微笑み言う。

「傷を治しただけです。これで大丈夫です」


 ゼニスは目を見開いて言葉が出ない。

「それでは、もう出なければならないので失礼しますね」

 そう言うとエリーは立ち上がり、ロング少佐に駆け寄り言う。

 ロング少佐はエリーを見て驚いた顔をして言う。

「お噂通りの強さですね。内のNo.2があんなに簡単に倒されるとは思いませんでした」

「いいえ、簡単ではなかったですよ。それでは行きましょう!」


 そしてすぐにエリー達は車両に乗り込み捜索に出発して行った。




最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 

これからも、どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ