アンドレア戦域74 帝国近衛兵団6
北部戦線、エリー機動大隊現地配備、13日目午後。
エリー達が、バレット市を出てから5時間ほど経過している。
ここは、アンドレア国境から60キロほど離れた連邦国領内。近衛兵団飛行艦隊旗艦ドール号は損傷を受け最終的に森の中に墜落した。帝国領国境からは40キロほど入った連邦国領内の森である。ドール号は操舵手の懸命の操船により比較的ダメージが少なく不時着出来た。またある程度平坦な森に不時着出来たのも幸運だった。乗員の2/3ほどは無事に生き残った。そして動けるものは素早く女帝エランを守りその場から離れた。直ぐに連邦国の捜索隊がやって来るからである。
墜落してから1時間ほど経過している。
森の中の木こり小屋に10人ほどがいた。
「陛下! この者とお召し物を交換して下さい」
ガルシア近衛兵団長が横の女性近衛士官を見て言う。そして小屋から他のものが出て行って女性士官と二人きりになった。
「陛下! それでは!」女性士官は直ぐに軍服を脱ぎシャツとインナーも脱いで下着姿になった。
「陛下! ご自分でお召替えできますか?」女性近衛士官が跪き頭を下げて言った。
エランは嫌そうな顔をして言う。
「ええ、大丈夫よ」
そして軍服のボタンを外す。何か手間取っているので女性士官が手伝い上着を脱がせる。そしてズボンのサスペンダーを外しズボンを脱がせた。シャツを脱がせると女性士官が自分のインナーを着せてきた。
「臭ったりしないでしょうね!」
エランが言うと女性士官が悲しそうな顔をして言う。
「・・・・・・申し訳ありません。洗濯してあれば良いのですが。この状況なのでご容赦下さい」そして頭を深く下げた。
「ええ、理解していますよ。臭っても我慢しますから、早く着せなさい!」
エランは少し遠慮したように言った。それは女性士官が少し涙を浮かべていたからだ。
「貴女、なに泣いているのですか、近衛士官として恥ずかしいと思わないのですか」
女性士官は直ぐに言う。
「陛下をこのような状況にした事を・・・・・・無力な自分をどうかお許しください」
エランは少し微笑み言う。
「許すから、早く服を着せて下さいよ、寒いのですから」
女性士官は直ぐに自分の軍服をエランに着せると身分証をエランに見せて渡した。
エランは少し嫌な顔をしてそれを見る。
「貴女、私に似ているのね。髪色も顔立ちも」そしてエランは女性士官の顔に手を添えてマジマジと見て言う。
「ご苦労様! 頑張ってね。時間をどのくらい稼げるかは貴女に掛かっているわ」
それを聞いて女性士官は頭を深く下げると、直ぐにエランの軍服を着込み整えた。
女性近衛士官が声を上げる。
「陛下のお召替え終わりました!」
そして小屋のドアが開きガルシア達が入って来る。ガルシア近衛兵団長が言う。
「陛下! ここでお別れです。私達は偽装隊と同行致します。陛下は連邦国領内を通って帝都を目指して頂きます。ルートはこの者達に指示しておりますのでご心配無く」そして3名が前に出て深く頭を下げた。
「ムスタングです」
「ビアです」
「ヒルです」
3人は名乗り頭を深く下げた。男性2人女性1人、年齢的にはエランとあまり変わらない。
ガルシア近衛兵団長が言う。「連邦国の近くの街に私の伝手がございます。そこで身分証を手に入れて下さい。そうすれば移動が楽になりますので、それと服は途中で確保して着替えて下さい。指示は3人に伝えております」
そう言ってガルシア近衛兵団長は跪き頭を深く下げた。
「私の慢心からこのような事態になり、陛下には死を持って償うつもりでは御座いますが、もう一仕事してからに致します」
エランはガルシア近衛兵団長を見て言う。「まあ、責任は貴方にあるのは確かだけど、死ぬ必要は無いわ。死ぬべき時はまだ先よね。摂政を倒したあとにしてよね。でないと私1人では荷が重いものね」
ガルシア近衛兵団長はそれを聞いて頷き言う。「はい、陛下! ご命令、確かに承りました!」
エランはガルシア近衛兵団長に近寄り肩に手を乗せて言う。
「帝都で会いましょう! 絶対にね」
ガルシア近衛兵団長は顔を上げて言う。
「ご期待に応えられるよう尽力致します!」そう言ってガルシア近衛兵団長は立ち上がり頭を下げて声を上げる。
「それでは、お先に失礼致します」
ガルシア近衛兵団長に5名ほどが続き小屋を出て行った。
「陛下、我々も参りましょう」
ムスタング近衛士官が言った。エランは頷き歩きドアまで向かう。慌ててビア近衛女性士官が駆け出しドアを開けようとするとエランが言う。
「私が開けます、これからしばらくは、身分がバレないよう同等の扱いでお願いしますね、それと名前はミナでお願いします」
そう言ってエランは小屋のドアを開けて外に出た。
「ムスタングさん、ビアさん、ヒルさん、これからよろしくお願いしますね」そう言ってエランは頭を下げた。
3人はびっくりした表情をして跪き深く頭を下げる。
「陛下! 名前を覚えて下さったのですね・・・・・・、勿体無いお言葉胸に沁みます」ムスタング近衛士官は感動して涙を流している。ビア近衛女性士官はその場で触れ伏せ咽び泣いている。ヒル近衛士官は顔を隠して表情を見せない。
エランは3人を見て思う。(私は、どのように思われているのか? 敬われているのか? それとも恐れられている! まあ、お供はこの3人しかいないから適当に感動させておこう)
エランは言う。
「さあ、行きましょう! 時間がありませんよ」
「はっ! 陛下!」3人が立ち上がり敬礼する。
エランが嫌な顔をして言う。
「あなた達、私は、陛下じゃなくてミナですよ。間違えないでください」
ビア近衛女性士官が微笑み言う。
「はい、ミナ様!」
エランがビア近衛女性士官を見て言う。
「ミナで良いよ。だって同い年くらいで様付けはないでしょ!」
ビア近衛女性士官が少し怯えたように言う。「はい、ミナ・・・・・・」
エランがビア近衛女性士官の肩を叩き言う。「それで大丈夫、ビアよろしくね」
ビア近衛女性士官は顔伏せ感動の表情を浮かべる。
そしてエラン達は小屋から離れて森の中に消えて行った。
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