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北部戦線 8 後始末3

 ここは、北方戦線、連邦国軍第一特別機動連隊野営地第三ブロック。エリー機兵大隊ベースキャンプ設営5日目午後。


 エリー大隊は、帝国特殊部隊の襲撃を受けてから15時間ほど経過していた。


 エリーは、移設大隊本部テント内でセーヌ大尉と話し合いをしていた。

エリーは編成メンバーを見ながら、考え込んでいる。

「技術整備科、情報通信科、第二、第三、第五中隊は、とりあえず何とかなりますが、大隊運営全般の副長は誰を置きますかね?」


 セーヌ大尉がエリーを見て、ちょっと嫌な顔した。「第二中隊長との兼務は、1ヶ月間も無理ですよ! 副長は人員、兵装管理、補給管理、諸々全般を取り仕切る要なんですから!」

 エリーが、ふっと鼻を鳴らして、セーヌ大尉を見つめて言う。「代行をミラー中尉にお願いするしかないですね? あとは、機兵パイロットの補充を早急に3名、連隊長にお願いします。これで当座は凌げると思いますが・・・・・・ セーヌさんいかがでしょう?」

 

  セーヌ大尉が椅子からゆっくり立ち上がり、エリーの顔を見て少し微笑んだ。

「しょうがないでしょうね、それから、午後着任予定の機兵パイロット2名、どの隊に振るおつもりですか?」


 エリーがキョトンとした顔をしてセーヌ大尉を見ている。「そう言えば・・・・・・!エマさんから聞いていたけど」


「まあ、色々あたので、しょうがないですね」セーヌ大尉が、あゝやっぱりて顔をしている。そして、報告をする。


「それと、ミーナ連隊長から連絡がありました。前面の守備展開を分厚くする様に、第12師団に要請したそうです」


 テント内の伝令下士官が、エリーの方に向かって報告する。「エリー少佐、よろしいでしょうか!」

 エリーが下士官を見て手を挙げる。

「はい、お願いします」


 伝令下士官が連絡事項を伝える。

「ミラー中尉からです! 新任の機兵パイロットが到着したそうです! 今すぐに本部まで来させますか? との事です」


 エリーは、下士官を見て微笑む。

「今すぐで、構わないと伝えて下さい」

それを聞いて、伝令下士官は、受話器を持ち替え返事を伝える。「エリー少佐から、本部に案内しても構わないとの事です!」


 伝令下士官が再度エリーに報告する。

「ミラー中尉からです!パイロット2名、5分ほどで案内出来るそうです! 以上です」


「了解しました!」エリーが微笑み、椅子から立ち上がり両手を挙げる。


「アンジェラ様が到着した様です!」


 セーヌ大尉が若干変な顔してエリーを眺めている。「どうしたんですか? エリー少佐?」


 エリーが満面の笑みで、セーヌ大尉の両手を掴む。「アンジェラ様が! 来られました・・・・・・! これでなんとかなりそです!」


 セーヌ大尉は呆れた様な顔をしている。「意味がわかりません?」


 そして、しばらくして、テントの入口が開き、三人が入って来る。

「ミラー中尉入ります! 着任パイロット連れて参りました!」ミラー中尉がエリーに敬礼する。

 

 エリーが立ち上がり敬礼する。「ご苦労様です!」ミラー中尉の後ろの二人も敬礼する。


「アンジェラ クロード中尉! 只今、着任致しました!」そして、再度エリー、セーヌ大尉に敬礼した。


「エリック ヤルター少尉! 只今、着任致しました! エリー機動大隊配属、誇りに思い感動しております!」エリック少尉もエリー、セーヌ大尉に対して敬礼した。


 エリーは二人を微笑みながら見つめている。「お久しぶりですね、アンジェラ様、演習以来なので、1年くらいですか?」


「はい!エリー少佐、ご無沙汰しておりました! ご活躍聞き及んでおります! エリー機動大隊配属に感謝しております!」

 

 アンジェラが再度敬礼してエリーを見つめて微笑んだ。エリーはアンジェラからミラー中尉に視線を移して、軽く頭を下げる。

「ミラー中尉、ご苦労様でした。二人は、私が預かりますので、職務に戻って下さい」


 ミラー中尉が一歩下がりエリーに敬礼する。

「はい!それでは、失礼致します!」

そう言うと、ミラー中尉はテントから出て行った。


 セーヌ大尉が、エリーとアンジェラを見ながら不怪訝そうな顔をしている。

エリーがセーヌ大尉の方を見る。

「アンジェラ様は、幼年学科、士官学校時代の親友なのですよ」


 セーヌ大尉は少し寂しそうな顔をする。

「そうですよね、お二人ともお嬢様ですものね、お知り合いでもおかしくないですよね」


 エリーは少し戸惑った顔をしてセーヌ大尉を見る。(セーヌさん! どうした? なんか言葉トゲがある、いつもこんな感じじゃないのに、疲れてイラついているの?)


「セーヌさん、どうかしました?」

 エリーの問いかけに、セーヌ大尉は機嫌悪そうに答えた。「今は、取り敢えず先にやるべき事があるのでは?」


 その態度を見ていたアンジェラが反応する。「セーヌ大尉、その態度は上官に対して如何なものかと思いますが!」


 セーヌ大尉が直ぐにアンジェラを冷たい視線で見つめる。「貴女は! 状況もわからないのに、口出しするのはどうかと思いますよ! アンジェラ中尉!」セーヌはアンジェラに強い口調で言い放った。


 エリーが困った顔をしてセーヌ大尉の肩に手をのせる。

「ゴメンナサイ・・・・・・いまやるべき事をやるから、そんなに苛立たないで? セーヌさんは、昨日の夜から気が休まる暇なかったものね、ゴメン気遣い出来なくて・・・・・・ 私浮かれちゃったみたいだね」


「そうですよ・・・・・・、エリー少佐、私を一人にしないで下さい・・・・・・」セーヌ大尉が瞳を潤ませている。


 エリーは、セーヌの肩を抱き寄せる。「アランさんを亡くして悲しいのに、いっぱい仕事押し付けちゃってゴメン・・・・・・、そうだ、私が取り敢えず見るからさ、セーヌさん休んでよね、昨日から寝て無いんだよね、シャワーでも浴びてスッキリして少しでも休んでよ!」

 

 エリーはセーヌ大尉を更に抱き締めて、背中を軽くポンポン叩く。「ちょっと、休んで下さい。イライラしていると良い事はありません」


 セーヌ大尉がエリーを見て申し訳なさそうな顔をする。「そうですね・・・・・・私、確かに気が立ってますね、ちょっと気分転換して来ます」


 エリーの身体を優しく離して、セーヌは微笑みながら敬礼する。

「これより、セーヌ大尉、暫く休憩に入ります、後は宜しくお願いします!」

そう言うと、セーヌ大尉は、テントから出て行った。


 エリーは、セーヌ大尉が出て行くと、アンジェラを見て、申し訳なそうに言う。

「アンジェラ様、セーヌ大尉は何時もはあんな感じゃないんですよ」


「こちらこそ、余計な事を申し上げて申し訳ありませんでした! そして一言申し上げますが! エリー少佐は、私の上官でありますので様付けはご容赦願います!」

 アンジェラがエリーを見て少し笑みを浮かべながら言う。


 エリーが苦笑いしながら言った。

「あゝ・・・・・・ん! そうですね、そうでよね、アンジェラ中尉・・・・・・さん」

 



 

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