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アンドレア戦域69 帝国近衛兵団1

 北部戦線、エリー機動大隊現地配備、13日目早朝。


 エリー達が、バレット市北部域戦闘終了後、14時間ほど経過している。


 ここは、特別第三機動連隊野営地。エリーは士官用テント内、簡易ベットに横になっていた。エリーは既に目は覚めており、ぼーーっとしていた。そこに気配が近寄ってくる。

「レベッカさん、何かあったのですか?」

 エリーが気配のほうを向いて言った。

 

 レベッカはベットの横で跪き頭を深く下げて言う。

「エリー様、アンドレアでクーデターが発生しました。そして、国家存亡の危機に直面しております」

 エリーはベットからゆっくり上半身を起こしてレベッカを見て言う。

「クーデターですか? 私は情報が無いので詳しく説明して下さい」


 レベッカはエリーの顔を見て悲しい顔をする。

「エリー様のお力添えがあればアンドレアは救われます。ですが時間があまり無いのです」


 隣のベットで寝ていたユーリが起き上がり少し眠そうな顔でエリーを見て言う。

「不穏な情報はある程度把握しておりましたが、早かったですね」


 レベッカは少しためらい言う。

「エリー様、会ってもらいたい者がいるのですが、どうか! お願い致します」そう言って頭を下げる。

 ユーリは軍服に着替えながら言う。

「それは、アンドレアの人間ですか?」


 レベッカはユーリの顔を見て頷く。エリーは少し考えてからレベッカに言う。

「その方とお会いしてどうしろと?」


「はい、計画は完璧なハズでした。ですが予想外の事態が発生したようなのです。それで詳しいお話をその者から聞いてくださればと」レベッカはそう言って頭を下げる。

 そしてエリーは直ぐ下着姿になり、インナースーツを着込み、軍服を着用した。


「レベッカさん、案内をお願いします」

 レベッカは立ち上がり、エリーに頭下げる。

「ユーリさんも同行しますが、宜しいですよね」エリーが尋ねる。

「はい、もちろんです」

 レベッカは黒のジャケットにスラックススタイルでいかにもデキる女性という雰囲気で素早くテントの出口に向かう。


 レベッカに付いて行くと野営地内のブラウン商会プレハブ詰所に案内された。

レベッカがドア開けて言う。

「どうぞ、エリー様、中にお入り下さい」


詰所の中に一人に男性が跪き頭を下げる。

「エリー様、パトリック イベラーと申します。元レベッカ大佐配下ですが、今はフレッド大佐の下で諜報を担当しております」


 パトリックは顔を上げエリーを見て言う。

「フレッド大佐から、エリー様への嘆願が御座います」パトリックは頭を下げて言う。

「何卒! 我がアンドレアをお救い下さい! エリー様のお力無くば、間違い無く帝国の蹂躙を受け壊滅するでしょう」

 パトリックは言い終わり顔を上げエリーを強張った顔で見つめる。

 エリーはパトリックに近寄り言う。

「アンドレアで何が起こるのですか? 魔導師団が総力で掛かってもどうにもならない事態が発生していると」


「はい、帝国近衛兵団が出て来たのです」

 パトリックがエリーを見上げて言った。


「帝国近衛兵団?」エリーは首を傾げる。


「実は、帝国には魔導部隊が存在するのです。唯一無二の帝国最強部隊、皇帝直属の近衛兵団、皇帝の命令のみで動く最強戦力です。打撃力は通常帝国師団30個分に匹敵すると言われています。その近衛兵団が帝都を出撃したのです。そして目的地はアンドレアなのです・・・・・・」

 パトリックはそう言って視線を下げた。

エリーは跪きパトリックの顔を見る。

「帝国近衛兵団のアンドレアへの到着はどのくらいですか?」


「出撃から五時間ほどかと思われます」

 パトリックが力無く言った。

「そんなに早く!」エリーは直ぐに立ち上がりユーリを見て声を上げる。

「ユーリさん! ハル少将を直ぐここに連れて来てもらえますか、急いでお願いします!」

 ユーリは頷き、慌てて詰所から駆け出した。

 エリーはレベッカを見て言う。

「私は連邦国軍のイチ大隊長に過ぎません。ですがお役に立つのなら出来る限りのことはするつもりです」そう言ってレベッカの手を優しく掴んだ。レベッカはその場で跪き、頭を下げる。

「エリー様、勿体無いお言葉ありがとうございます。ですが間に合うのでしょうか」

 エリーは頷き微笑んで言う。

「大丈夫です。まだ間に合います。出来るだけ早くここを出れば十分に間に合います」


 そして五分ほどしてユーリがハル少将を連れて帰って来た。ハル少将は完全に寝起きの状態で虚な顔をしている。

「エリーさん、なんでしょうか? 敵襲でもあるのですか?」

 エリーはハル少将に近づき呟く。そしてハル少将は直ぐに答える。

「え・・・・・・、それはどうでしょう。私の権限では・・・・・・しかし、手は打ってみます! 連邦国にとって利はあると思います」

 ハル少将はすぐさまレベッカに声を掛ける。

「レベッカさん、私と一緒に来て下さい」そしてレベッカの手を掴むと詰所から慌てて出て行った。


 エリーはユーリに寄って言う。

「ここにいる! ブラウン商会関係者全員、起こして下さい! ランカーを二機飛ばします。30分以内にスタンバイして下さい!」そして微笑みユーリの肩を軽く叩いた。


「私は、お父様に連絡します。段取りをしなければならないことがあるので」

エリーも慌てて詰所から出て行く。

 ユーリはハッとしてパトリックを見て言う。「あなたはどうしますか?」


「はい、準備が整うまで私はここで待機しております」

 パトリックは頭を下げる。

「そう、では私は行きますね」ユーリはそう言うと詰所から出て行った。


 あれからエリーは整備班のテントの中に入りボビーのベットの横に立つとボビーを揺り起こす。「ボビーさん! 起きて下さい」

 ボビーは少し驚いた顔をして言う。

「嬢ちゃん・・・・・・、夜這いか?」

 エリーは機嫌の悪い顔をして言う。

「100年経っても夜這いは無いです! 冗談は良いので、レンベルのスタンバイをお願いします!」

「緊急事態! 出撃か! 戦闘体制警報は出ていないが!?」


 エリーはボビーの手を引っ張り上体を起こす。

「とにかく早く、お願いします! 20分以内で、できる限り早く!」

 エリーはそう言って慌ててテントから出て行った。ボビーは直ぐに作業着に着替えるとエリーの後を追うように重装機兵待機場へと向かった。


 特三本部テント内ではハル少将が電話で怒鳴っている。

「参謀総長に早く繋げと言っているのがわからんのか! 貴官では話にならん! さっさと総長と繋げ!」

 ハル少将の横ではレベッカが心配そうに見ている。ハル少将は直ぐにレベッカのほうを見て微笑み言う。

「心配しなくても大丈夫です。任せて下さい」


 ブラウン商会整備エリアでは、二機の遠距離支援回転翼機ランカーⅡが保護シートを外され、マナエナジーの補給中である。

すでに回転翼、固定翼も展開され予備回転中で各機器チェックも同時に行われている。


 デリック技官がユーリを見て言う。

「ユーリさんの機体はスタンバイ完了しています。あとはランカーに接続搭載するだけです」

 ユーリは微笑みデリック技官を見て頭を下げる。「急にこんな事になって申し訳ありません。あとどのくらいで飛べますか?」


 デリック技官はランカーⅡを見て言う。

「なんとか予定通り行けると思います」


 そうしてブラウン商会整備エリアに朱色の重装機兵レンベルがやって来た。

 そしてレンベルは足を折り畳み跪く。直ぐにコクピットシールドが開きエリーが顔出す。「準備は順調ですか! ハル少将も同行するそうです」エリーがコクピット上から声を上げった。



◆◇



 ここは帝国領バーグア市、帝国軍第三軍司令本部、司令官室。


 マーク中将が執務机に座り電文書を見て顔を顰める。

「アンドレアはおしまいだな」

 マーク中将は悲しそうにソファーに座って居るブラス参謀長に言った。


「まさかこんな事になるとは、どうりで戦力移動が無いと思ったのです」

 ブラス参謀長が視線を下げる。


 ブラス参謀長の反対側に座って居るミリアが少し驚いた顔をして言う。

「皇帝陛下、自ら出撃されたのですか!」


「そうだ! ブライアン殿とてタダでは済まぬ、終わりだ」マーク中将は悲しそうな顔をしてミリアを見る。


 マーク中将は立ち上がり窓の外を見て言う。

「アンドレアも蹂躙されて終わりなのか・・・・・・酷い事になったものだ」


 ミリアがソファーから立ち上がりマーク中将のほうを見て言う。

「エラン陛下とはそれほどの力をお持ちなのですか」


 ブラス参謀長がミリアを見上げ声を上げる。「帝国において唯一無二の最強魔導部隊、女帝エラン陛下直属の近衛兵団。その打撃力は半端なく小国など相手にならない」


 ミリアは少し悲しそうな顔をして言う。

「アンドレアは見せしめにされるのでしょうか?」


「陛下が出た以上、中途半端では終わらん。徹底的にやるだろう」

 マーク中将が背を向けたまま言った。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


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