北部戦線67 アンドレア魔導師団20
北部戦線、エリー機動大隊現地配備、13日目。
エリー達が、バレット市北部域戦闘終了後、11時間ほど経過している。
ここは帝国領上空、飛行船の窓から、まだ暗い下方の街の景色を眺めているのはアンドレア魔導師団長、ブライアン少将である。
「定刻通り到着します。蜂起予定の変更はありません」ブライアン師団長の横にいる女性魔導士官が言った。
「リサ少尉、ご苦労様。お父様は準備万端かね?」
女性魔導士官は嬉しそうに微笑む。
「はい、抜かり無く、これで積年の鬱憤が発散出来ると喜んでおります」
「第一段階は問題無いだろうが、問題はそのあとだ」ブライアン師団長は、視線をリサ少尉に移して細い目を更に細めた。
リサ少尉は少し後ろに下がりブライアン師団長から距離をとる。
「私は、詳細を存じておりませんのでお答え出来ませんが」
ブライアン師団長はリサ少尉を見て微笑む。
「そうか、まあこの件がひと段落したら、二人切りで食事でもどうかね」
リサ少尉はブライアン師団長から視線を逸らして言う。
「ご遠慮しておきます。父からブライアン師団長は女癖が悪いから注意しろと言われておりますので」
ブライアン師団長は少し笑って言う。
「アイツは酷い言いようだな! 可愛い娘に手を出す訳も無いだろう」
リサ少尉はそれを見て嫌な顔をする。
「お気づきですか、ブライアン師団長が私を見る目が変わった事に」
ブライアン師団長は、リサ少尉を細い目で見て言う。「どう言う事かな、私にはわからんが」
リサ少尉はブライアン師団長が近づいて来たのでまた一歩下がる。
「気づかないのですか、昔から知っておりますが、ここ最近子供を見る目から女性を見る目に変わったのですよ。なんか、いやらしい目つきに変わったんです」
ブライアン師団長はそれを聞いて直ぐに口を開けて笑った。
「そうか、リサは私を意識しているのだな! うれしい限りだ」
リサ少尉は直ぐに機嫌が悪そうな顔をして言う。
「魔導師団長としては尊敬しておりますが、絶対に恋愛対象にはなりませんよ」
ブライアン師団長は飛行船の座席に座る。
「アスルもうれしいだろう! 娘がこんなに立派に成長して、こんな事を言うようになったのだから」
ブライアン師団長はリサ少尉を見て言う。
「今回の作戦で絶対に死ぬなよ。アスルに顔向け出来んからな、それにリサには大事な役目が残っている」
リサ少尉は姿勢を正し敬礼する。
「もちろんです。大魔導師様をお迎えするまでは、私の勤めですから役目は果たしますのでご安心下さい」
◆◇
ここはバレット市郊外、特別第三機動連隊野営地。
エリー達はジェーンの紅色のラムザⅣ重装機兵を回収して野営地に戻っていた。
ジェーンは意識を失っていたため、バレット市内のブラウン商会医療施設で治療している。
エリーはブラウン商会整備ブロックでデリック技官と話していた。
「通常では考えられない事態です。システムセーフティは三段階設けてありそれが全て無効などあり得ません」
エリーはデリック技官を見て少し嫌な顔をする。
「誰か意図的に仕掛けたとか無いよね?」
デリック技官は瞳を大きく開き言う。
「・・・・・・、お嬢様を・・・・・・ですか?」
「連邦国内にも敵が潜んでいるのかもね。私の存在が邪魔でしょうがない者がね」
エリーは微笑んで顔を傾ける。そしてデリック技官の手を握る。
「ジェーンさんの機体の調査は軍では無く、ブラウン工廠で出来るように手配してくださいね。たぶん握り潰されますから」
デリック技官は頷き言う。
「はい、総代表から圧力を掛けてもらえばどうとでもなると思います。では、手配致します」
そう言ってデリック技官はエリーから離れ連隊本部へと向かった。
エリーは目の前のユーリカスタム機体を見上げて思った。(搭乗機体がこれでなかたら、たぶんジェーンさんは助けられなかった。ほんとレンベルには及ばないけど凄い機体だよ)
エリーがユーリカスタムを見上げ微笑んでいると声がする。
「エリーさん! 昨日は大変でしたね」
ハル少将が微笑みながらエリーにゆっくり近づいて来る。
エリーは直ぐに姿勢を正し敬礼する。
「はい、大変な一日でした。もうクタクタです」
ハル少将はエリーの耳元で囁く。
「何か不穏な感じがしますが、 エリーさんは大丈夫なのですか?」
エリーにまじかでハル少将の顔を見て微笑む。「問題はありません。ただ警戒はしておきます」
エリーはハル少将に頭を下げて歩きだす。
「エリーさん何処に?」
ハル少将が言った。
エリーは振り返り微笑む。
「はい、お風呂に入ってから寝ようかと思います」そしてエリーが歩き出すとハル少将が隣に並んで来た。
「私も、ご一緒します」
二人は並んで生活ブロックへと向かった。
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