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北部戦線60 アンドレア魔導師団13

ミリアは意識を取り戻すが、そこは意外な場所であった。

 北部戦線、エリー機動大隊現地配備、12日目夕方。


 エリー達が、帝国領に侵攻、バレット市郊外に到着してから51時間ほど経過している。


 ここはバレット市内、ブラウン商会医療施設の病室内、20畳ほどスペースにベットとテーブルが置かれている。窓はあるが鉄格子が入っている。


 ミリアは、つい5分ほど前に意識を取り戻しベットの上で考えていた。(ここはどこ? 確かジース大佐と同乗していた重装機兵が攻撃を受けて・・・・・・凄い衝撃の後の記憶が? 断片的に名前を呼ばれていたような記憶もあるのだけれど? はっきりしない)そうして、両手両足に着けられているリング状の拘束具に患者衣ガウン、下着は身につけていない。

 ミリアはしばらく周囲を確認するが掲示物等も一切なく、窓もカーテンが閉められ外の景色も見ることが出来ない。

(ここは帝国? いや、拘束具がつけられていることから連邦国側なのか・・・・・・たぶん)


 そして部屋のドアがノックされ外から声がする。「入りますが! 問題ないでしょうか?」男性の大きい声がする。


 ドアが開いて男性が入って来る。そして後ろから続いて二人が入って来た。

 連邦国軍の軍服、腕には憲兵の腕章が巻かれている。うしろの女性下士官も憲兵の腕章が巻かれている。

 ミリアは少し動揺した。(何で? 私は連邦国にいる?)

 そして、その背後にはダークブルーの軍服に肩にモール、顔に白の眼帯を付けた女性士官が立っている。

(何? 憲兵の後ろの士官は・・・・・・、私は今から何をされるの?)


 憲兵士官が名乗る。

「連邦国軍、第五軍管区憲兵隊、中尉、カイと申します。今回のミリアさんの尋問を担当させて頂きます」


 ミリアは驚いた顔をして言う。

「なぜ? 私の名前を・・・・・・」

 カイ憲兵中尉は答える。

「申し訳ありませんが、携帯していた身分証を確認しました」


 カイ憲兵中尉が言う。

「それと、連邦国規定により、男性が女性捕虜への尋問等を行う場合、同等階級以上の女性士官が同席することになっておりますのでご了承願います。不法行為防止のためです」


 そして後ろの女性憲兵下士官が敬礼して名乗る。「連邦国軍、第五軍管区憲兵隊、軍曹、サラと申します。ミリアさんのお世話をすることになりましたので、よろしくお願いします」


 サラ憲兵軍曹の横にいる白い眼帯を付けた女性士官が敬礼して少し小さい声で名乗る。

「諜報部一課、中尉、モニカ バーンズです。今回の立会人です」


 サラ憲兵軍曹がミリアを見て言う。

「起き上がれますか?」


 ミリアが少しためらったように言う。

「すみませんが、下着をいただきたいのですが」

 サラ憲兵軍曹がミリアを見て言う。

「準備はしております。サイズを確認して下さい」

 カイ憲兵中尉が視線を逸らして言う。

「では私は一旦席を外します」そう言うと部屋を出て行った。


「着替えて下さい」サラ憲兵軍曹が下着を渡した。

「恥ずかしいなら後ろを向きますが」

 サラ憲兵軍曹がミリアの顔を見て言った。それを聞いて反抗するように、ミリアは患者衣を脱ぎ捨て全裸になる。ミリアは一瞬モニカ中尉の口元が緩み笑った様な気がした。そして素早く下着を着用して、少し嫌な顔をして患者衣ガウンを着用した。


 ミリアを見てサラ憲兵軍曹が声を上げる。

「カイ中尉! 準備出来ました!」


 カイ憲兵中尉が再び部屋に入って来た。

「それでは、どうぞお座り下さい」

 カイ憲兵中尉がミリアに椅子に座るように言った。ミリアはそれに従い椅子に座る。そしてテーブルの反対側にカイ憲兵中尉が座る。サラ憲兵軍曹はテーブルより距離を置いて椅子に座った。モニカ中尉はカイ憲兵中尉の隣に座る。


「それでは、改めてお聞きします。帝国軍中央軍参謀部所属、ミリア アリストン中尉で間違いありませんね」

カイ憲兵中尉がファイルを見ながら言った。

 ミリアは直ぐに答える。

「はい、間違いありません」


 カイ憲兵中尉はミリアの顔を見て質問する。「参謀部の情報士官の様ですが、重装機兵に搭乗していたのですか? パイロットでは無い様ですね」


 ミリアはカイ憲兵中尉を見て答える。

「はい、パイロットではありません。搭乗目的についてはお答え出来ません」


 カイ憲兵中尉は頷き言う。

「はい、結構ですよ。それでは通称魔女狩り部隊についてですが、部隊編成はどの様になっていますか?」

 ミリアは視線を逸らして言う。

「お答え出来ません!」


 カイ憲兵中尉は頷き椅子から立ち上がる。「今日は、これくらいにしておきます。お疲れの様なので休養をとって下さい。サラ軍曹、後は任せます」

 そう言うとカイ憲兵中尉は部屋から出て行った。


 ミリアはサラ憲兵軍曹を見て質問する。

「ここはどこなのですか?」


 サラ憲兵軍曹はモニカ中尉に視線を移し目を合わせる、モニカ中尉は頷く、そしてサラ憲兵軍曹はミリアを見て答える。

「ここはバレット市の収容施設です」


 ミリアは少し考えて言う。

「収容されているのは私だけなのですか?」

 サラ憲兵軍曹は直ぐに答える。

「残念ながらお答え出来ません」


「そうですか、わかりました」

 ミリアはそう言ってモニカ中尉を見る。

「以前お会いした事がある様な気がするのですが? 気のせいでしょうか?」


 それを聞いてモニカ中尉は椅子から立ち上がる。

「無いですね、気のせいです」

 そう言って部屋から出て行った。ミリアにはモニカ中尉の口元が微笑んでいるように思えた。ミリアは思っていた。(顔は眼帯で隠しているけど、あの背丈、体型、雰囲気、死んだはずのセリカ少佐なのだけれど? 髪色も違うし、何しろ連邦国軍諜報士官なてあり得ない!)


 サラ憲兵軍曹はミリアを見て言う。

「トイレは奥の扉を開けたところです。シャワーは別の場所に有りますので使用時に案内します。食事は時間に運んで来ますので宜しくお願いします」

 サラ憲兵軍曹は更に言う。

「手足に付けられている拘束具は、ここから一定距離を離れると手足が固定され動けなくなります。それと私が持っているスイッチを押すと同様に動けなくなります」


 ミリアはサラ憲兵軍曹を見て言う。

「私はなぜ、助けられたのですか」

 サラ憲兵軍曹はミリアの瞳を見て微笑んで言う。

「それは貴女が、女神様のご加護を受けたからでしょう」

 ミリアは首を傾げる。そうしてサラ憲兵軍曹は部屋から出て行った。



◆◇



 ここは帝国領バーグア市、帝国軍第三軍司令本部近くのアンドレア魔導師団仮宿舎内。


 ブライアン師団長が部屋の外を眺めながら言う。

「どうでした?」

 フレッド大佐が顔を強張らせて言う。

「帝国が魔女をかなり恐れているのは、理解出来ました」

 フレッド大佐は椅子に座りブライアン師団長のほうを見て言う。

「今回の戦闘では、魔女は前回のような膨大な魔力は発動しませんでしたが、帝国軍の精鋭部隊を軽くあしらっていました。まあ、並の魔道士では無いのは、間違いありません」


 ブライアン師団長は直ぐに言う。

「貴方は、帝国重工業地帯ヤルトの消失を知っていますか? あれも同一の魔導反応による魔法発動です。私は現地に潜り込み実際に確認しました。だから帝国は恐れているのですよ【グランの魔女】とか呼んで」

 ブライアン師団長はフレッド大佐の顔を見て微笑んで言う。

「魔女・・・・・・いえ、大魔導師様はアンドレア魔導王国復活を成せるお方であると言う事です! アンドレア魔導予言書の通りです! 我々はこの時のために存在するのです。大魔導師様をアンドレアにお迎えしなければなりませんが、まだ、時期早々ですね」


 フレッド大佐が顔を顰める。

「ですが! 大魔導師様は現在、連邦国に取り込まれています!」


「大魔導師様は偉大なお方です! 気づかれる事でしょう! 己が何を成すべきか!」


 ブライアン師団長はフレッド大佐の顔を見て言う。「貴方は妹を殺されましたが、大魔導師様に恨みはありますか?」


 フレッド大佐は視線を下げる。

「ブライアン師団長の指示に従いますので、私の気持ちなど、どうでも良いと思います」

 ブライアン師団長は言う。

「恨みはあるのですね! しかし、安心して下さい! レベッカさんは生きていますよ! 間違いなく、魔導反応は変異しましたが、レベッカさんはこの世に存在しています」

 フレッド大佐は驚いた顔をして声を発する。

「それは、どう言う事なのでしょうか!」


 ブライアン師団長はフレッド大佐の手を握り締め嬉しそうに言う。

「レベッカさんはたぶん、大魔導師様と従者の契約を結ばれたのです。ですので我々との縁は切れ、大魔導師様のために動いているようです」


 フレッド大佐は目を大きく開けて言う。

「レベッカは生きていると・・・・・・、そして大魔導師様の配下となったとおっしゃるのですか?」


 ブライアン師団長はフレッドの肩を軽く叩き言う。

「凄い事ですよ! これは、兄として誇りなさい! いずれ大魔導師様に関われば必ず、再会出来ますよ」

 

 フレッド大佐は戸惑いながら質問する。

「予定通り行うのですか?」


 ブライアン師団長は直ぐに答える。

「もちろんです。すでに国内五個師団の凋落は完了しています。問題は無いです。国境沿いには、我が魔導師団精鋭を潜ませていますので帝国軍への備えも万全です。そして隣国で更なる魔導部隊も編成、訓練も充分です。戦力的にも問題ありません」


 フレッド大佐が不安そうな顔をする。

「上手く行っても、連邦国が受け入れてくれるでしょうか?」

 ブライアン師団長は笑みを浮かべる。

「手は打っていますよ、心配は無用です」


 フレッド大佐が思い出した様に言う。

「あゝ、参謀部情報士官のミリア中尉ですが、戦死されたようです」

 ブライアン師団長が視線を下げる。

「今日の朝、会ったばかりなのに・・・・・・綺麗なお嬢さんでしたね、残念ですね。では今日の夕食会は中止ですね」


 フレッド大佐が言う。

「マーク閣下も今日の騒ぎで夕食会どころでは無いでしょう」


 そう言ってフレッド大佐はブライアン師団長に敬礼して部屋から出て行った。




最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

これからも、どうぞよろしくお願いします。

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