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北部戦線59 アンドレア魔導師団12

エリー達は偵察任務よりバレット市に戻り補給休息をとる。

 北部戦線、エリー機動大隊現地配備、12日目午後。


 エリー達が、帝国領に侵攻、バレット市郊外に到着してから49時間ほど経過している。


 エリー達の偵察任務から戦闘が勃発、それが呼水となり、まさに大規模戦闘が発生しようとしていた。


 レンベルのサブシートに座るハル少将がインカムから忙しく指示を出している。

エリー達はバレット市街地に入りブラウン商会の医療施設を目指していた。

「エリーさんは、この後どうするのですか?」ハル少将がエリーに言った。

 エリーは迷わず直ぐ答える。

「一旦戻り、補給してすぐに出ます!」

 

「そうですか、私もこのままご一緒します」

 エリーが少し驚いたように言う。

「作戦指揮は大丈夫なのですか?」

 ハル少将は答える。

「部隊指揮は軍管区司令官が行うものです。ですから、バドス中将が現在行っていますので問題はありません」


 そして、バレット市ブラウン商会施設前に到着、10人ほどが建物前で待機していた。レンベルが脚を折り畳み跪く。保持していた両手から帝国軍パイロットを敷かれたシートの上にゆっくり降ろした。

 そしてエリーはコクピットシールドを開放する。コクピット内に警報が鳴り響きシールドが上にゆっくり開いていく。エリーはベルトを外し身を乗り出す。

「その二人よろしくお願いします」

エリーはレンベルの下にいる、ブラウン商会の医療担当官に声を掛けた。

「はい、エリー様お任せ下さい!」

 レンベルの足元にいる医療担当官が手を挙げて答えた。


 帝国軍パイロットはそれぞれ担架に乗せられて建物内に運び込まれて行った。エリーはそれを確認して、コクピットシールドを閉める。再び警報が鳴り響きシールドが下にゆっくり閉まっていく。

「それでは、野営地に戻ります!」

 レンベルは立ち上がりホバーリングを開始、すぐさまホバー走行する。


 特三機動連隊野営地に到着すると、重装機兵待機場には、エリー大隊以外の重装機兵は全て出撃していた。

 レンベルが所定位置で停止するとセーヌ大尉が駆け寄って来る。

 エリーがコクピットシールドを開放すると直ぐにセーヌ大尉が声を上げる。

「エリー少佐! 我々は現在待機命令が出ています」

 エリーはベルトを外して言う。

「ハル少将! 先に出ますので」

そう言ってコクピットからフレームを伝って地面に飛び降りた。

 エリーはセーヌに近づき言う。

「状況をお願いします!」

 セーヌはエリーに敬礼してから報告する。

「現在、バレット北部において局地的戦闘が発生しています。我々は抜かれそうな部分に増援として入れとの指示を受けており、軍管区司令部の指示に従えとの事です」

 エリーはセーヌを見て言う。

「本来であれば、私達は参謀本部直属部隊なので自己判断で動けるのですが、まあ良いです。軍管区司令部としては勝手に動きまわるなと言うことでしょう」

 

 ボビーがエリーに近づいて来る。エリーはボビーを見て微笑んで言う。

「ただいま帰りました! 早速で悪いのですが、簡易診断が終わったら。直ぐに出れるようお願いします」

 ボビーは手を挙げて言う。

「あゝ、わかった! 見た感じダメージは無いようだな。出来るだけ急ぐがエラーが出たらダメだからな」

 エリーはボビーの軽く手を叩き言う。

「わかっていますよ! それじゃ軽くなんか食べて来ますのでよろしくお願いします」

 ボビーは直ぐに搭乗タラップをレンベルに設置する。そしてハル少将がコクピット上部からタラップを駆け降りて来る。

「エリーさん! どこへ行くのですか!」

 ハル少将が慌てたように声を上げた。

 エリーは立ち止まりハル少将を見て微笑んで言う。

「はい、少し食事をしようと思いまして」

「では私も一緒にお願いしますよ・・・・・・、置いていかないで下さい」

 ハル少将が寂しそうに言った。

 それを見てエリーが少し嫌そうな顔をして言う。

「本部に行かなくても良いのですか?」


「ええ、大丈夫です。バドスさんがいますからOKです」

 

 エリーはそれを聞いて言う。

「はい、時間も無いのでチャチャと食べますがよろしいでしょうか?」

 

 ハル少将は微笑んで言う。

「はい、大丈夫ですよ」

「では食堂へ急ぎましょう!」エリーが言うとハル少将とエリーは並んで早足で食堂へと向かった。



◆◇



 ここはバレット市より15キロ離れた北西部、侵入して来た帝国軍重装機兵隊約15機と、ジェーン連隊長率いる第一中隊が交戦中であった。

 

《新手は来ない模様! 相手が引き始めました!》

 第一中隊長から無線が入る。

ジェーンはモニターの広域マップ配置を見ながら中隊メンバーに指示を出す。

「帝国軍が全域で後退を始めている! 深追いはするな! 数ですり潰されるぞ!」


《はっ! 了解しました!》

《これより! 現状ポイントにて待機します!》

 ジェーンは部隊無線に切替、インカムを押し言う。

「こちら特三リーダー一号! 現在全域で帝国軍が撤退を始めた! 各員! 現状地点にて待機せよ! 追撃は許可しない! 以上!」

 ジェーンはそう言って兵装システムをグラネードランチャーに変更して撤退中の帝国軍へと全弾発射した。


「久々の大規模戦闘だったが、引きが早かった? 様子見だったのか?」ジェーンはコクピットでひとり呟いた。



◆◇


 

 ここは帝国領バーグア市、帝国軍第三軍司令本部、作戦司令室。

 

 マーク中将は中央テーブルを叩き声を上げる。「君達は何のために、ここにいるのか! 戦場の状況を把握して、適切に部隊に指示を出して動かす! それが君達、司令部士官、参謀士官の任務のはずだ! 今回勢いに任せて進軍しようとする部隊も見受けられた。それらをしっかり抑えてコントロールしないと大損害を出す恐れだってある。肝に銘じて置くように、以上だ」


 作戦司令室に慌てたようにひとりの将官が入って来る。

「遅くなりまして申し訳ありません!」

 第三軍副司令ボーデン少将である。


「ご苦労さま! 落ち着いたようだな」

 マーク中将がボーデン少将を見て敬礼して言った。


 ボーデン少将は微笑んで言う。

「相変わらず、厳しいですね。ここにいる将兵はマーク閣下が言わずとも充分に反省していますよ」


 マーク中将はボーデン少将を見て嫌な顔をする。「戦線の状況はどうだ!」

 ボーデン少将はマーク中将を見て言う。

「はい、ほぼ戦闘は終わり、防衛ラインまで撤退は完了しました。連邦国軍の追撃も無いようです」


 マーク中将はふっと息を吐き言う。

「一時はどうなるかと思ったよ、今の戦力では仮に勝っても戦線が維持出来んからな」


 ボーデン少将がマーク中将に微笑んで言う。「あと二週間の辛抱ですよ」


 マーク中将は頷き言う。

「そうだな! それまでは我慢だな」

 そう言ってマーク中将は作戦司令室から出て行った。




最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

 これからも、どうぞよろしくお願いします。

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