北部戦線56 アンドレア魔導師団9
北部戦線、エリー機動大隊現地配備、12日目午後。
エリー達が、帝国領に侵攻、バレット市郊外に到着してから46時間ほど経過している。
エリー達はバレット市より北上して現在偵察任務中である。
エリーはインカムを押し言う。
「帝国軍に我々はもう把握されています。兵装システムロック解除して攻撃に備えて下さい」
サブシートのハル少将が言う。
「なぜ把握されていると判るのですか?」
エリーは答える。
「はい、感知スキルを発動して周囲5キロほどを探知しています。私の感知スキルをレンベルの魔導増幅回路を通して外部に発動感知しているので魔力消費は少なくて済みます。そして、人間の生体エネルギー感知と敵意、殺意、恐怖等の感情の揺らぎも感知出来ますよ。そして感度を上げれば感情の思考性もある程度認識出来ます」
エリーは更に言う。
「通過した道沿いに敵意と恐怖の感情を感知しました。そして、周辺で暗号通信電波を数回確認しているので間違いなく、報告されています」
ハル少将はエリーに質問する。
「そんなに何もかも秘密を喋って良いのですか? いくら私が作戦部長と言っても国家最重要秘匿レベルの権限はありませんよ」
エリーは答える。
「だってハル少将は、私の覚醒体セレーナを見たのですよ。それ以上の秘密はありませんよ。これを知っているのは中枢院の一部の者とアンジェラさん、そしてハル少将くらいですからね」
ハル少将はそれを聞いて暗い表情になる。「あゝ、エリーさん、私は知りたく無かったです」
「ユーリ少佐は知らないのですか?」
ハル少将がエリーに聞いた。
「はい、知らないと思います。ですが、薄々は気づいているかもしれませんね」
エリーはそう言ってインカムを押し言う。「正面、木材集積場付近に帝国軍らしき集団確認! 歩兵のみと思われますが、警戒してください!」
《こちらレッド二号! 先行確認します》
エリーは直ぐに言う。
「いえ、ここは私が行きます! 二号、三号は側方後方警戒をお願いします」
《レッド二号! レッド三号! 了解!》
エリーは直ぐに兵装システムライフルモードを選択、射撃システムは単射モードにして管理小屋にロックオンした。
エリーは外部スピーカーに切替、声を発する。「連邦国軍です! 只今より、帝国軍施設を破壊します! 建物内にいる兵士のみなさんは退避してください! 1分間待ちます! 以上です! それではカウント始めます! 1、2・・・・・・」
管理小屋にいた帝国軍偵察隊将兵が飛び出して森の方へ逃げて行く。
エリーはそれをモニターを見て確認している。その間もエリーはカウントを続けている。エリーは外部スピーカーで言う。
「それでは、破壊します!」
レンベルがライフルを発砲する。〈ドーーっ〉発砲音がして小屋が一撃でバラバラに吹き飛び、破片はかなりの範囲に飛散した。
エリーは続いてアンテナ設備と思われる鉄塔に発砲して破壊した。
エリーはハル少将に言う。
「あれは、広域中継アンテナ設備ですよ。破壊しておきました」
エリーはハル少将の方に顔を向け言う。
「このまま予定地点まで進出しますか? 帝国軍と戦闘になると思いますが」
ハル少将はエリーに言う。
「目的地点までどのくらいで到達できますか?」
エリーは直ぐに答える。
「はい、全機全力で5分もあれば」
ハル少将は少し考えてから言う。
「エリーさん、予定通りお願いします」
エリーは頷きインカムを押し言う。
「こちらレッドリーダー! 予定通り最終地点まで向かいます!」
《レッド二号! レッド三号! 了解!》
エリーはレンベルをホバーリングさせて周囲を確認する。周囲に帝国軍偵察部隊兵士が10人ほど森に潜んでいるのがわかる。
エリーは(ただの偵察観測拠点か、他に脅威なるようなものは無い)
レンベルはホバー走行をしてゆっくりと木材集積場を周回してから街道に入り加速する。ユーリ、アンジェラの機体も追随して加速した。エリー達は再び目標地点を目指して北上する。
◆◇
ここは帝国領バーグア市、帝国軍第三軍司令本部、中央軍参謀部特別独立部隊駐屯地。
現在、魔女出現により駐屯地内では慌ただしく出撃準備中である。スタンレー型重装機兵が12機並び、起動体制にあった。
部隊長ジース ジョーダン大佐が声を荒げる。「各小隊で準備出来たら、順次出撃しろ! 時間がない! 急げ!」
ミリア中尉がジース大佐に駆け寄り言う。「私も同乗をお願いします」
ミリアはパイロットスーツとヘルメットバイザーを装着している。
ジース大佐はミリアを見て機嫌の悪い顔をして言う。
「ミリア中尉! 悪いが命の保障は出来ない。だから搭乗は断る!」
ミリアはジース大佐の手を無理に引っ張り言う。
「ビル中尉の見た、魔女を私もこの目で見たいのです! 実際どれほどのものなのか確認しないと上にも報告できません!」
ジース大佐はミリアの嘆願するような瞳を見て言う。
「わかった! 一番右側の機体だ! 危険であることが理解出来ているのなら構わん」
ミリアはジース大佐に敬礼する。
「ご理解ありがとうございます!」
ミリアはいそう言って駆け出して右端のスタンレー重装機兵の前まで行く。
一旦、機体を見上げて搭乗タラップを駆け上がった。
しばらくしてジース大佐がコクピットに入ってくる。
「ミリア中尉、重装機兵の搭乗経験はあるのか?」
「はい、士官候補生時代に2ヶ月ほどあります」
「それなら、OKだ! 漏らしたり吐いたりしないな」
そう言うと、ジース大佐はスタンレーの起動操作を始める。
「ミリア中尉! ベルトをロックしろ、シールドを閉めるからシール付近には手を出すなよ!」
そしてコクピット内部ランプが点滅し警告音が鳴り響き、コクピットシールドが上からスライドしてゆっくり閉まっていく。
「ミリア中尉! 後ろの白ボックスカバーを開いてを配線を引き出せ、それをヘルメットのコネクターと接続しろ」
ミリアは指示通りボックスを開き配線を引き出しヘルメットコネクターと接続した。「はい、接続出来ました」
「ミリア中尉! 出るぞ! 接敵予定5分てとこだ!」
スタンレーが駐屯地から歩行移動して、直ぐにホバー走行を開始する。
《ジース大佐! 第三軍マーク中将から無線です!》
「了解! こちらジースです! どうぞ」
《マークだ! 無理はしなくて良い! 多分、偵察と思われる、深追いわせぬようにな! 以上だ!》
「はっ! 了解致しました!」ジース大佐はそう答え無線を切った。
ジース大佐は無線をローカルに切替て言う。
「ミリア中尉! 我々は存在を示すために、真っ先に出撃しなければならない・・・・・・、辛い立場だな」
「前回の戦闘で、この機体でも魔女には到底及ばないことがわかった。それでも周りは期待する。この部隊は帝国軍のエース級を招集した部隊、そして・・・・・・私はその部隊隊長、本当に胃が痛くなるよ」
「ジース大佐、お立場は理解しております。あと一ヶ月もすれば、更なるスタンレーカスタムタイプの配備も決まっております。それまでの辛抱です」
《こちら先行! 第7小隊! 魔女と接触まで1分! 指示通り迂回して戦闘回避します!》スタンレー隊長機コクピット内スピーカーから無線音声が流れる。
ジース大佐が各隊に指示を出す。
「私が着くまで戦闘は避けて、距離は絶対に詰めるな」
そしてコクピット内で接近警報鳴り響く。ジース大佐は顔を顰めて声を上げる。
「ミリア中尉! 下を噛むなよ! 回避運動に入る」そして隊長機は全力で回避行動に移った。
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