北部戦線53 アンドレア魔導師団6
北部戦線、エリー機動大隊現地配備、12日目午前中。
エリー達が、帝国領に侵攻、バレット市郊外に到着してから40時間ほど経過している。
ここは帝国領バーグア市、帝国軍第三軍司令本部、司令官室。
マーク中将はソファーに座ってテーブルの反対側に座る銀髪で鋭い目つきの40代後半くらいの男性に話し掛ける。
「ブライアン殿も大変ですな、魔女討伐任務とは・・・・・・、いくら大陸イチの魔道士といえど厳しいと思いますが」
黒いロングコートを羽織り肩には金色囲いの刺繍に金の星が一つ入っている。アンドレア魔導師団長ブライアン アデル少将である。
ブライアン師団長はマーク中将を細い目で見て言う。
「マーク閣下は、我々の現状を理解していると思いますが、本当に残念です。この作戦! 成功しようが失敗しようが・・・・・・、アンドレアにとって利が無いのですよ」
マーク中将はブライアン師団長の隣りにいる上級士官を見て言う。
「貴官の妹さんが犠牲になったとか、かなりの魔道士と聞いていたが・・・・・・、お悔やみ申し上げる」
隣りの上級士官はマーク中将に頭を下げる。
「お言葉ありがとうございます。ですが、レベッカは、敵を侮ったのです! レベッカは確かに優秀な魔道士でしたが、慢心の末に、用心もせず、大切な部下を犠牲に自分も死んだ愚かな妹です」
ブライアン師団長が上級士官の肩を叩き言う。「フレッド君! レベッカをそんな風に言ってやるな! 君の可愛い妹なのだろう」この男性士官はアンドレア魔導師団、第一遊撃隊隊長、フレッド グレバドス大佐である。そしてレベッカの実兄である。
マーク中将は立ち上がり執務机に置いてあるファイルを取る。
「これがバレット周辺詳細図です。どうぞ」マーク中将はファイルをテーブルの上に置いた。
「ご協力感謝します!」
そう言って、ブライアン師団長はファイルを手に取った。
マーク中将はブライアン師団長を見て言う。「作戦は決行するのですね。ですが、覚悟した方が良い。魔女はまだ全ての力を見せていない・・・・・・、あなた達は死地に向かおうとしているのです」
ブライアン師団長は立ち上がりマーク中将を見て言う。
「先のレベッカ隊の状況は魔導観測隊から報告を受けております。バレット周辺域で膨大な魔力を感知しており、それが魔女のものと思われます。膨大な魔力消失と共にレベッカ隊の魔導反応も無くなりました。ですので魔女は、私などではたぶん手に終えません」言い終わりブライアン師団長は視線を下げる。
「ですので、まともにやり合うつもりはありません」
マーク中将は首を傾げて言う。
「ではどのようにするおつもりなのか?」
「詳細はご勘弁下さい。我々はアンドレアのために動かなければなりません。帝国のためでは無く、アンドレア人民のために」
ブライアン師団長は細い目でマーク中将を見て言った。
マーク中将はソファーに座り言う。
「明日、出る予定ですね。護衛を手配しておりますので部隊士官を呼びます。よろしいか?」そう言って立ち上がり内線電話をとり言う。「ミリア中尉を読んでくれ」
しばらくして司令官室のドアがノックされる。「入れ!」マーク中将が答える。
ドアが開き女性士官が入って来る。
女性士官は直ぐに姿勢を正し敬礼する。
「中央軍参謀部特別独立部隊、情報中尉、ミリア アリストンです! この度護衛任務を任されました!」
ブライアン師団長がミリアを見て言う。
「アンドレア魔導師団長のブライアンです。よろしくお願いしますね。しかし、帝国では女性士官はあまり見かけませんが、おられるのですね! このようにお綺麗な方も、如何ですか、今夜お食事でも」
ミリアは一瞬嫌な顔をして顔を下げる。
「せっかくのお誘いですが、準備がありますのでお断り致します」
フレッド大佐がミリアを見て言う。
「申し訳ありません。師団長は綺麗な女性を見ると、いつもこのような失礼をするのです。」そしてフレッド大佐はソファーから立ち上がりミリアに頭を下げる。
ミリアはそれを見て少し微笑んで言う。
「そのように謝られては、私が機嫌を損ねているように見えます。勘弁してください」
フレッド大佐が直ぐに言う。
「あゝ、これは余計な事をしました」
フレッド大佐の紫色の瞳がミリアを見つめる。
ミリアがブライアン師団長を見て言う。
「明日07:00に我々の部隊がバレット手前20キロ付近までお送り致します! 尚、偶発的戦闘が発生した場合、その限りではありませんのでご了承下さい!」
フレッド大佐がマーク中将を見て言う。
「確か最精鋭の重装機兵部隊と聞いておりますが、そのような部隊を我々の護衛に出してくださるのですか?」
マーク中将は微笑んで言う。
「もちろん作戦ポイントまでは、無事に着いてもらはねば困りますからね」
ブライアン師団長がマーク中将に頭を下げる。「ご配慮に感謝します。話は変わりますが、今夜、会食でもどうでしょうか?」
マーク中将は視線をミリアに移して言う。「ミリア中尉、ブライアン師団長がご馳走してくれるそうだ。一緒に来てくれるか」
ミリアは一瞬考えてから言う。
「マーク中将とご一緒なら参加致します」
マーク中将がブライアン師団長を見て言う。「ミリア中尉も良いだろう」
「はい、もちろん歓迎しますよ」ブライアン師団長は立ち上がり頭を下げる。
「それでは一旦宿舎に戻ります。朝早くから失礼致しました」
フレッド大佐も頭を下げて言う。
「後ほど、会食についてご連絡致しますので、それでは失礼致します」
ブライアン師団長とフレッド大佐は揃って司令官室を出て行った。
マーク中将はミリアを見て言う。
「ブライアン師団長とサシで会食など出来るか! 奴は策士だ何を考えているかわからん。面倒な事に巻き込まれるのはごめんだからな」
ミリア中尉がマーク中将に言う。
「ブライアン師団長は、最初に私に嫌われるようにワザと発言したのですね?」
マーク中将は頷き言う。
「ブライアン師団長は、ミリア中尉の事も当然把握している。ミリア中尉は参謀部の人間だから、ブライアン師団長は来て欲しくなかっただろうが、私には都合が良い。下手に身内だけだと中央軍に勘ぐられても嫌だからな」
そう言ってマーク中将はミリア中尉に微笑んだ。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!
もしも少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。
これからも、どうぞよろしくお願いします。




