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北部戦線52 アンドレア魔導師団5


 北部戦線、エリー機動大隊現地配備、11日目夜。

 エリー達が、帝国領に侵攻、バレット市郊外に到着してから29時間ほど経過している。


 今エリー達は士官用車両でバレット市内のレストラン【ヴィオレッテ】に食事をするため移動している。運転席にはサラ憲兵軍曹、助手席にはカイ憲兵中尉が乗っている。後部席には中央にハル少将、両隣の右にエリー、左にユーリが座っている。

 

 ハル少将は襲撃以降、自分からあまり喋らない、エリーとの接し方が明らかに変わった。今日の食事会は気分転換て事で軍服で無く、私服を三人はチョイスした。


 エリーはブルーのロング丈のワンピース、ユーリはノースリーブ トップス にボウタイ パンツスタイル、ハル少将はグレーのワンピースを着込んでそれなりに化粧もしている。


 店の前に車両が着くと、カイ憲兵中尉が後部席のドアを開けてくれた。

「どうぞ! お嬢様方」それを聞いてハル少将が嬉しそうにしている。

「食事が終わるまで、外で待機しております」そうしてカイ憲兵中尉は、車両に乗り込み店の端のスペースに移動した。

 エリー達三人はユーリを先頭に店へと入る。店内には客は連邦国軍将兵と地元民らしき客が20人程度いた。三人は入店して直ぐに多くの視線を感じる。

 

 給仕係の女性が慌てたように三人のそばまで来て、微笑み頭を下げる。「いらっしゃいませ! エリー様ですね。あちらの席です」エリー達三人は奥の六人掛けのテーブルに案内される。

「ご注文は、ご予約通りでよろしいでしょうか?」給仕の女性が言うと、ユーリ頷き微笑む。

「はい、変更は有りません。よろしくお願いします」

 給仕係の女性は頭を下げる。

「はい、しばらくお待ちくださいませ」そう言って厨房の方へ去って行った。


 ハル少将が椅子に座りエリーを見て微笑み言う。「良い感じのお店ですね。まだこちらに来たばかりなのに、もうこのようなお店を見つけられるとは流石ですね」


 エリーは嬉しそうにハル少将を見る。

「はい、今回で三度目になりますが、良いお店ですよ」

「え・・・・・・! 三度目?」ハル少将は少し驚いたように言った。エリーは特に気にする様子も無く言う。

「はい、三度目です」


 エリーは思い出していた。(あゝ、確かビルさんと会ったのもこの店だったんだよね。ビルさん首都の収容所に送られたみたいだけど元気かな?)


 エリー達のテーブルに二人の国軍士官が近寄ってくる。

「すみませんよろしいでしょうか?」国軍のカーキ色の軍服を着た士官がユーリに話し掛けた。ユーリは椅子から立ち上がりその士官を見る。金髪の短髪にプルーの瞳、小顔で目鼻立ちは整っており美青年である。兵科章は砲兵、階級章は中尉だ。

ユーリは微笑み言う。

「何か、御用でしょうか?」

青年士官はユーリに頭を下げてから言う。

「失礼とは思いましたが、あまりに興味を惹かれまして、少しお話しを出来ればよろしいかと思いまして、お声をお掛けしました」

 エリーは話している青年士官の後ろの、もう一人の士官を見て微笑む。(うしろの士官の人、恥ずかしいそうにして顔真っ赤だし、ドギマギして挙動不審? まだ見習い士官章がついてる。先輩に引っ張って来られたのかしら?)


 ユーリはエリーに視線を移して頷き言う。「申し訳ありませんが、食事をしたいので、ご容赦願えますか」

 そこにハル少将が割って入るように言う。「少しくらいなら良いのでは無いですか」 ハル少将は嬉しいそうな顔をしている。エリーはそれを見て言う。

「私も少しくらいなら良いですよ」

 

 ユーリは少し困った顔をして言う。

「お二人が良いのなら、私も同意致しますが、本当によろしいのですか?」

ハル少将は頷き言う。「はい、結構ですよ」

 エリーはハル少将を見ながら微笑み思っていた。(確かにイケメンだけど、いいのかな? 正体がバレたら大変なことになると思いますけど)


 青年士官はユーリに微笑んで言う。

「では我々三人、相席してもよろしいでしょうか?」

 ユーリが少し驚いたように言う。

「三人ですか? お二人では?」


 後ろからもう一人士官がやって来る。

「挨拶が遅れまして申し訳ありません! この二人の上官でデッシュ ウィルソンと申します」

 その士官は名乗り頭を下げる。

階級章は大尉だ。エリーは少し残念そうに言う。「デッシュさんは部下に嫌なことにをやらせて後からやって来るのですか」

 それを聞いてデッシュ大尉はエリーに頭を下げて言う。「申し訳ありませんでした! 確かに卑怯者の様に見えますね」

 エリーはデッシュ大尉を見て微笑み思った。(このデッシュ大尉、良い人だね、年下の私にこんなこと言われても、機嫌悪くするどころかすぐに謝って来た)

「あゝ、口が過ぎました。デッシュさんは恥ずかしかっただけですよね!」エリーはデッシュ大尉に言った。

 

 デッシュ大尉はエリーに微笑みながら言う。「この場合、イケメンのマット中尉に行ってもらった方が、可能性が上がると思ったので・・・・・・、失礼いたしました」


 そしてあとの二人が名乗る。金髪イケメン中尉が先に名乗る。「失礼いたしました。マット オニールと申します」そう言って頭を下げる。エリーはマット中尉を見て思った。(この人、身のこなし表情が小慣れている。モテるんだろうなぁ、旧貴族系の出身なのかな?)

 もう一人の見習い士官章をつけた挙動不審だった少尉が名乗る。「ハンク マーティンと申します! よろしくお願いします!」そう言って頭を下げる。

 エリーはハンク少尉を見て微笑む。

(この子、年上なのになんかもう、かわいい・・・・・・、どうしたなんでそんなにギコチナイ?)

 エリーはハンク少尉に優しく言う。

「どうしたのですか? 緊張しなくても大丈夫ですよ」


 ユーリがエリーを見て言う。

「席はどのように致しますか?」

エリーは少し嬉しいそうに言う。

「私は、ハンクさんの隣が良いですが、ダメですか?」それを聞いてハンク少尉が顔を赤らめて言う。「向かい合わせで結構です!」

エリーが残念そうに言う。「あゝ、では向かい合わせの席でお願いします」


そして、エリーはハンク少尉と向かい合わせに移動して言う。「申し訳ありません、 名乗っておりませんでした。私はエリーと申します」エリーは頭を下げる。

ユーリも名乗る。「ユーリと申します」ユーリは名乗って席に着いた。

ハル少将は少しためらいながら言う。

「ハルと申します。よろしくお願いします」

マット中尉がテーブルを見渡って言う。

「フルネームは教えてくださらないのですね」

エリーが直ぐに反応して言う。

「ええ・・・・・・、申し込みありませんが」


「それはそうだろ、マット中尉! いま会ったばかりで信用もないのだしょうがないと思わんか! こうして相席出来るだけでも喜ぶべきではないのか」デッシュ大尉が言った。

 マット中尉が頭を下げて言う。

「そうですよね! 失礼致しました」


 エリーはマット中尉を見って少し意地悪顔をして言う。「マットさんて女性の方からモテますよね? いま彼女いますよね! もしかして結婚してるとか?」


 マット中尉がエリーの顔を見て微笑む。

「エリーさんグイグイ来ますね! 残念ながら彼女もいませんし、結婚もしておりません」

  

 エリーはわざと驚いたように言う。

「えーーっ! そうなんですか? 意外ですね」

 デッシュ大尉がユーリを見て言う。

「あの、地元の方ではありませんよね。この時間に女性だけで食事をするとかないですよね。それに連邦国軍人を見ても嫌悪感もない。連邦国の方ですよね」

 マット中尉ユーリを見てが言う。

「軍属関係者ですか? それとも報道関係ですか?」


 ユーリは少し考えてマット中尉の顔を見て微笑む。「諜報関係です」

マット中尉は一瞬真顔になってユーリの顔を見て言う。「冗談がお好きですね! 私はそのノリは好きですが」


 ユーリは少し機嫌悪そうに言う。

「エリーさん、少し席を外します」そう言って立ち上がり洗面所へ向かった。


 マット中尉はエリーを見て言う。

「私は何か機嫌損ねることを言いましたか?」

 エリーは直ぐ答える。「別に気にする必要はないですよ。このような場に慣れていないだけです」


 エリーはハンク少尉の顔を見て思った。

(ハンク少尉、ずっと下向いたままですね。ここに居たくないのでしょうか?)

エリーはハンク少尉に話し掛ける。

「ハンクさん元気無いですね。大丈夫ですか?」

 ハンク少尉はハッとしてエリーの顔を見て無理に笑顔を作って言う。

「エリーさん、ありがとうございます。気にされなくても大丈夫です」


 ハル少将がデッシュ大尉を見て言う。

「食事はお済みですか?」

 

 デッシュ大尉はハル少将を見て少し嬉しそうに言う。「はい、私達もまだ食べていません、それにしても皆さんお綺麗でびっくりしております」


 ハル少将は嬉しいそうにデッシュ大尉を見て言う。「デッシュさん、そんなに気を使わなくて良いですよ」

 デッシュ大尉はハル少将を見て少し照れた顔になる。「いいえ、本当のことですよ。店の入口で見掛けた瞬間に私は、こんな綺麗な人達が三人揃うなんてと、目を疑ったくらいです」


 ハル少将は嬉しいそうにエリーを見て言う。「今日このお店にして良かったですね」

「はい、そうですね」エリーは直ぐ答える。(ハル少将、調子が戻って来た感じで良かった)


 エリーは視線をハンク少尉に移してしばらく様子を見る。(ハンク少尉、どうしたやっぱり元気ないな)

 エリーはハンク少尉に質問してみる。

「ハンクさん、部隊に配属されてどのくらいですか?」


ハンク少尉はエリーから目を逸らして答える。「はい、2ヶ月ほどです。まだまだ慣れ無くて・・・・・・」

「そうですよね、2ヶ月では大変ですよね」エリーは立ち上がりハンク少尉の隣りに近寄る。ハンク少尉はエリーから逃げるように椅子をずらした。

 エリーは下を向いているハンク少尉の顔を覗き込み呟く。

「あの、私、嫌われてますか?」

 ハンク少尉は椅子から立ち上がり、エリーを見る。

「いいえ、そんなこと思う訳、無いですよ。エリーさんはなんで、そんなに私を気にするのですか」


 エリーはハンク少尉の手を優しく包み込み言う。「ハンクさん、気になるからしょうがないじゃないですか! ダメですか」


 ハンク少尉は言う。「エリーさん、すみません。私は女性に慣れていないので、どう喋れば良いかわからないのです!」

「良いのですよ、無理はしなくても、でも食事だけは終わらせて帰りましょう」


 そして、ユーリがテーブルに帰って来ると同時くらいに料理がテーブルに運ばれて来る。

「本日のシェフのおまかせ肉料理となっております」エリー達側に料理皿が並べられる。

 少し待つと、デッシュ大尉達の料理も運ばれてくる。

 マット中尉が言う。

「それでは私が代表して、今日一日の女神ローゼ様のご加護に感謝致します。それではみなさま頂きましょう!」


「いただきます!」一同が食事を始めた。

 ハル少将とデッシュ大尉が楽しそう話し込んでいる。ユーリとマット中尉はマット中尉が話し掛けてユーリが邪険な態度で接している。

 エリーはハンク少尉と向かい合い無言で食事をしている。エリーはハンク少尉見て思っていた。(士官学校の時、アンジェラさんと同級でハンク マーティンさんていたんだけど、同姓同名でもう一人いたんだね。雰囲気全然違うしそれに成績優秀だったから、少尉はないよな?)


 そして食事が終わり、少し談笑して解散することになった。

 マット中尉がしつこくユーリの連絡先を聞いている。(マット中尉・・・・・・、あゝ、やっぱりだなぁ、ユーリさん嫌いなタイプだ)

 ユーリは店の隅の方にハンク少尉を引っ張って行く。「ハンクさんでしょう? 気づいてますよね」ハンク少尉は一瞬戸惑った顔をしてエリーを見る。今までのおどおどしていた感じから雰囲気が変わる。

ハンク少尉はエリーに呟く。

「エリーブラウンさんだよね、店の入口で直ぐ気づいたよ。だって軍服じゃなかったから、エリーさんに気を利かせたんだよ」


「大丈夫! デッシュ大尉もマット中尉も気付いていないから」ハンクがエリーを見て言った。


 エリーはハンク少尉を見て微笑む。

「なぜ? 少尉なのですか? 成績優秀者でしたよね」


 ハンク少尉は少し寂しそうな顔をする。

「あゝ、それはアンジェラから聞いてくれますか、僕からは言いたくないんで」


「すみませんでした。言いたくないこと聞いて」エリーはハンク少尉の手を握った。


 ハンク少尉はエリーに呟く。「久しぶりにエリーさんに会えて良かったよ、相変わらず、かわいいね」


「えーーっ! そんなこと・・・・・・さらっとおっしゃるですね」エリーは少し照れた。


 ハンク少尉は出口のほうを見て言う。

「でも、ハル少将もご機嫌ですね。デッシュ大尉、腰に手を回している相手が作戦部長だと知ったら、多分気絶しますよ」

ハンク少尉から笑い声が漏れる。


 ハンク少尉はユーリのほうを見て言う。

「ユーリさん、かなりのやり手ですよね。雰囲気が違います」


 ハンク少尉はエリーと一緒に店の入口から出ると言う。「今日は楽しかったです。ありがとうございました! この事はあの二人には秘密にしておきますので、ご安心ください」


 エリーは手を出してハンク少尉と握手する。「それでは、またお会いしましょう」


 デッシュ大尉達三人は歩いて去って行った。


 それを見計らって、士官用車両がエリー達の前にやって来る。カイ憲兵中尉が後部席のドアを開ける。エリー達三人が乗り込むと特三機動連隊を目指して走り出した。




最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!

これからも、どうぞよろしくお願いします。

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