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北部戦線46 バレット進駐1

 北部戦線、エリー機動大隊現地配備、11日目早朝、

 エリー達が、帝国領に侵攻バレット市郊外に到着してから15時間ほど経過している。

 エリー達は今、バレット市内ブラウン商会の関連施設内にいる。


 エリーは朝のシャワーを浴びていた。

(今日はバレット市内に入場してから、どんな予定だったか? ユーリさんなんか言ってたけど、市長に会うとか言ってましてしたね)エリーはバスタオルを巻いてシャワールームから出ると、部屋のドアがノックさる。「ユーリです! 起きておられますか!」エリーはドアの施錠を外す。

「どうぞ! 中へ!」エリーはドアを開けと、ユーリはすぐに部屋の中へ入ってきた。

「早く、着替えをお願いします」

 エリーは身体に巻いていたバスタオルを外し、髪を拭きながらユーリを見て言う。

「まだ時間に余裕ありますよね」

 ユーリはエリーの体を見て少しためらった表情をする。「はい、ですが食事を摂っておかないと、部隊に合流すると時間が取れませんので」

 

「あゝ、そうですね。急いで着替えます」

 エリーはそう言うと、下着を着けてインナースーツを着用した。

「軍服は第一種で良いですか?」

 エリーはユーリを見て言った。

「はい、良いと思います」

ユーリは諜報軍服でなく、エリーと同じ一般軍服を着ている。昨日の戦闘で切り裂かれたためだ。

「でも昨日は、ユーリさん押されてたよね。ユーリさんでも見切れないとは思わなかったよ」

 ユーリがエリーを見て少し嫌な顔をする。「手加減していたのです! 本気ではセリカさんを殺してしまいますよ」


 エリーはユーリの顔を見て微笑む。

「でもね、セリカさんが魔力全解放していたら、ユーリさん多分、ただじゃ済まなかったよ」

 ユーリが顔を強張らせて言う。

「セリカさん、全力で無かったと」

「そうだよ、まだ余力はあった。でも怪我のせいで、魔法が充分に練れなくなってた。7割くらいだったと思うよ、最後の一撃は」エリーは軍服の上着を着用してファスナーを上げ襟を整える。


「では力量は私以上なのですか?」

 ユーリが寂しそうにエリーを見て言った。

「総合力ならユーリさんの方が上だけど、剣技だけならセリカさんが上だと思いますよ」

 それを聞いてユーリは落胆の表情をする。それを見てエリーはユーリの肩に手を乗せて言う。

「総合力はユーリさんだから、気にしなくて良いですよ! 差が有ってもほんの少しです」エリーはユーリの左腕に腕を組み微笑む。「でもね、ちょっとの差ぐらいなら問題ありません! 魔導増幅回路とか使えば、どうにでも出来るんですよ!」

「早く食事に行きましょう」エリーはユーリと腕組みして食堂へと向かう。


 エリー達が食堂に入ると、すでにカイ憲兵中尉、サラ憲兵軍曹は食事をしていた。

エリー達に気付き二人は立ち上がって頭を下げる。「おはようございます!」

 エリーは二人に微笑んで頭を下げて言う。「おはようございます! 昨日はお疲れ様でした。今日もよろしくお願いします」


 食堂入口から男性の声がする。

「エリー様! おはようございます!」

 エリーが振り返ると、トッドが立っていた。「遅くなりました! 段取り調整に時間が掛かり申し訳ありませんでした」トッドはエリーの前に来て頭を下げる。


 エリーが嬉しいそうにトッドの顔を見て言う。「問題は有りませんよ! トッドさんはお疲れでは無いのですか?」

 トッドはエリー達を見て言う。「エリー様ほどは働いておりませんので、大丈夫です」


 エリーとユーリがテーブルの椅子に座るとトッドは反対側に座った。

「セリカさんの件ですが、ブラウン商会受け入れは決まっていますが、どのようにするかは決まっていません」

 エリーがトッドを見て言う。

「私としては、側で魔法剣士として働いて欲しいのですが」

 トッドは少し考えて言う。

「エリー様はセリカさんを信用出来ると判断されたのですね。それなら私がしばらく預かり教育を致します。それでよろしいでしょうか」


 エリーは微笑み頷く。

「はい、トッドさんお願いします」


「早く食べないと時間がなくなりますよ、皆さん一緒で良いですよね」エリーは顔を傾けて微笑みトッドとユーリを見る。

 

 エリーは慌てたように調理担当者にトーストと卵焼きをオーダーした。そしてエリーは鍋からスープを掬い3皿分粧う。ユーリが慌てて横に来て皿をトレーに乗せ運んだ。「エリー様、申し訳ありません」

 エリーはユーリを見て微笑む。

「気にしないでください。ここはお屋敷じゃ無いんですよ、それにユーリさんは側仕えのメイドさんじゃ無いでしょ」


 エリー達はテーブルで食事を始めると、トッドがエリーに言う。

「セリカさんですが、バレット市内では顔が知れているので動くのは困難と思われますので偽装を行います。先ほど本人にも確認して準備しております」


「そうですよね、パレットには帝国の諜報機関とか潜伏してたりしますよね! 死んだはずのセリカさんがいたらびっくりですよね」エリーは頷きながらトーストを口に運ぶ。


 しばらくして、エリー達のテーブルに国軍諜報機関の軍服を着た顔に眼帯を付けた女性士官がやって来る。階級章は中尉だ。

「エリー様、おはようございます! 諜報部中尉モニカ バーンズと申します」

 エリーは聞き覚えのある声に反応して微笑み言う。「セリカさんですよね!」

「いえ、モニカです!」そう言いて国軍身分証を見せる。

〈グラン連邦国軍 参謀本部 第一諜報部 第一諜報課 中尉 モニカ バーンズ 25才〉

 エリーは両目を隠している白い眼帯を見て言う。「了解しました! モニカさん!」

 トッドがエリーを見て言う。

「モニカ中尉は顔に負傷して眼帯をしている事になっておりますので、よろしくお願いします」


「はい、理解しました! モニカさん朝食をご一緒に食べましょう!」

 エリーはモニカと名乗るセリカを見て微笑む。


 食事が終わりトッドがエリーに言う。

「念のため言っておきますが、ここにいる間は、セリカではなく、モニカでお願いします!」

 

 エリーはトッドを見て少し嫌な顔をする。「大丈夫です。セリカさんとか言ったりしませんから」


 そしてエリー達は準備を整え、パレット市郊外、特三起動連隊野営地へと出発した。3台の士官用車両は30分ほどで野営地に着いた。


 車両待機場に車両が入るとハル少将がエリー達を待っていた。

「エリーさん、用件が無事に終わって良かったですね」車両を降りるとハル少将が直ぐに話し掛けてきった。

「はい、ハル少将には感謝しております」

 エリーは姿勢を正し敬礼する。ハル少将はそれを見て微笑み言う。

「市内への行進は、3個連隊を予定しています。市庁舎前までの10キロほどを一時間掛けて行いますので、よろしくお願いしますね」

 ハル少将はエリーの両手を握り締める。「先頭は、もちろんエリーさんの部隊ですよ、お願いしますね」


 エリーは少し嫌な顔してハル少将の手を優しく振り解いて言う。「はい準備致しますので」

 エリーは重装機兵待機場へ向かおうとすると、ハル少将がモニカ中尉に声を掛ける。

「貴女、私の前を素通りするつもり! 諜報部だから関係無いとか思ってるんじゃ無いでしょうね!」


 エリーが慌ててモニカ中尉の横に行って言う。「申し訳ありません! 今朝到着したばかりでまだ寝ぼけているみたいです」

エリーがフォローを入れるが、ハル少将はモニカ中尉を睨んでいる。

モニカ中尉はハル少将に敬礼した後に頭を深く下げる。「申し訳ありません! 諜報部中尉 モニカ バーンズです! 失礼致しました!」

 ハル少将はモニカ中尉を見て言う。

「その眼帯は何? 無礼です! 取って顔を見せなさい!」

 ユーリが慌てて言う。

「ハル少将! 申し訳ありません! モニカ中尉は負傷して眼帯をつけているのです! どうか、ご容赦ください!」

 ハル少将はユーリを見て言う。

「構いません! 見せなさい!」

 

 それを聞いてモニカ中尉はゆっくり眼帯を外す。眼帯の下は左目の下にケロイド状の大きな爛れがあった。それを見てハル少将は目を背ける。

「モニカ中尉・・・・・・、ゴメンナサイ。申し訳ない事をしたわ。心から謝罪します」

 ハル少将はモニカ中尉に対して深く頭を下げて言う。「貴女は、国のためにそんな事になったのね。申し訳ありません」


 モニカ中尉は眼帯をつけて言う。

「ハル少将閣下! お気になさないでください! 無礼をはたらいたのは私ですので」

 エリーはその様子を見て思った。

(トッドさんやはり抜かりは無いですね! 特殊メークですか、私も一瞬ビックリしましたよ)


 そしてエリー達は、気落ちしたハル少将を残して重装機兵待機場へと向かった。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


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