北部戦線37 国境侵攻8
北部戦線、エリー機動大隊現地配備、10日目朝。
エリー達は帝国軍重装機兵部隊の急襲戦闘終了後、22時間ほど経過している。
エリー達、特三重装機兵部隊は国境ポイントから帝国領内に侵攻している。
現在、国境線より15キロ入った農村部にエリー達はいた。
村の広場に重装機兵部隊と歩兵中隊が集まって待機している。
ユーリがエリーを見て言う。
「エリー少佐! 外にいる時は、防弾ジャケットとヘルメットは着用して下さい!」
エリーはユーリを見て言う。
「大丈夫だよ、敵の気配も殺意も感じないよ」
ユーリはエリーに呆れた様に言う。
「ここは敵地です! 油断は禁物です! 高台など狙撃ポイントは抑えていますが、完璧ではありません! 帝国軍兵が全く残っていないのも逆に不気味です」
ハル少将が休憩から戻って来て、エリーを見て言う。「全く帝国軍がいませんね。ここまで抵抗がないとは思いませんでした」
アンジェラがエリー達に近寄り敬礼する。「側面展開の機動師団が追いついたので20分後に移動再開とのことです!」
エリーはアンジェラの顔を見て微笑んで言う。「了解しました、準備します」
エリーがユーリを見て言う。
「住民は残っているのですか? 住民は見かけたませんが軍と一緒に移動したのでしょうか?」
ユーリを周囲を見渡し言う。
「周囲の建物民家は調査しました。ほとんど避難した様ですが、一部残ってる住民もいたので学校建物に一旦集めました」
エリーはハル少将を見て言う。
「どうするのですか?」
ハル少将はエリーを見て微笑んで言う。
「殺したりはもちろんしないですよ、でも戦闘区域が安定するまでは、拘束収容しなければなりませんね」
エリーはハル少将をを見て微笑んで言う。
「そうですか、安心しました」
広場の向こうで騒ぎの声が聞こえる。
エリーが視線を向けると7才か8才くらいの一人の少女と下士官が言い争っている。内容は良く聞こえない。エリーはそこへ近寄る。
「どうしたのですか? そんなに怒鳴ったらこの子が怯えますよ」エリーが言うと下士官が敬礼して言う。
「申し訳ありません! ですが、朱色の重装機兵のパイロットに会わせろと言うのです」
エリーは屈んで少女の瞳を見る。
「どうして、会いたいの?」エリーは幼い少女に優しく話し掛けた。
「お父さんが殺されたから、だから、どんな奴にお父さんが殺されたか見て大きくなったら仇をとるんです」幼い少女はエリーの目を見てはっきりと言った。
エリーは幼い少女の両肩に手を置き悲しそうに言う。「朱色の機兵パイロットだって殺したくてお父さんを殺した訳ではない、そう思うの・・・・・・、だから仇をとるなんて言わないで・・・・・・」エリーは涙を浮かべ幼い少女を抱きしめる。幼い少女も目から涙が溢れている。しばらくして幼い少女は言う。
「お姉さんは優しいね、でも敵なんですよね、そんなにやさしくて機兵パイロットなんて出来るのですか」エリーは幼い少女の潤んだ瞳を見つめて言う。
「なんとかやってるよ」
後方からジェーンの声がする。
「エリー! そろそろ出るぞ準備しろ!」
エリーは振り返りジェーンに答える。
「はい、了解しました!」
幼い少女はジェーンを憎しみの目で見つめている。エリーはハットして幼い少女を抱き寄せて言う。
「そんな目で見たはダメです。みんな普段はとても優しい人達です。憎むのならこの戦争を憎んで下さい。そしてこの戦争が早く終わって、みんな幸せに暮らせることを願って下さい。人に憎しみを向けないで下さい。私からのお願いです・‥・・・・」
エリーは瞳を潤ませ幼い少女を見つめてから額を合わせる。
「うん、わかった」幼い少女が呟いた。
エリーは立ち上がり近くにいた女性下士官を呼ぶ。すぐに女性下士官は駆け寄って来た。
エリーは女性下士官を見て言う。
「この子を家族のところへお願いします」
女性下士官は敬礼して言う。
「はっ! 了解しました!」
幼い少女はエリーを見て微笑んで言う。
「お姉さんありがとう、慰めてくれて、でもお姉さん偉いんだね?」
エリーは微笑んで手を振って言う。
「偉くなんかないよ、いつもみんなに文句言われているんだよ」
ジェーンがエリーに近寄り言う。
「エリー、あの子に何を吹き込んだ」
エリーはジェーンを見て微笑んで言う。
「いえ、ただ戦争が早く終わればいいねと」
ジェーンはエリーを見て言う。
「そうか、だがえらく私を睨んでいたが」
「気のせいです、優しい子でしたよ」
そう言ってエリーは愛機レンベルへと向かった。
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