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389話 女神像

ハイエルフ、エミ•クリキス誕生。

 2国間和平交渉会議24日目午前(大陸統一歴1001年11月6日13時頃)


 ここは異世界、エルフ集落離れの一軒家。

 エリー達はゴロスネスより戻り、主要メンバーが今後の作戦会議で集合していた。エリー、メルティア、ボリス、シエル、ランディ、カルヤ、ニコル、ビルドの面々。メルティアはギリドバの件を引きずり元気がない。


「では、明日よりゴロスネス攻略作戦を開始します。砦より明日の準備は整っているとの報告は受けています。持ち場分担は打合せ通りです。後方の諸侯増援部隊は、第1第2航空隊で攻撃する予定です。これにより増援部隊のゴロスネス到着を遅らせます。あとは誘導弾によるゴロスネス周辺攻撃により戦力削減を行い。頃合いを見て市街地への突入します。中央統制本部占領を第1目標、各守備隊詰所の無力化制圧、第2目標として郊外兵力は分断無力化を第3目標としています。想定作戦時間は10時間を予定していますが、時間的にもっと早く完了するものと思っています。何か質問はありますか?」

 エリーはメンバーを見渡しメンバーと視線を合わせる。


「質問が無ければ、個別打合せを行いますので、作戦部隊に別れてください。では質問もないようなので解散とします」

 エリーはそう言って椅子から立ち上がると、全員が一斉に椅子から立ち上がり一礼して部屋から出て行く。部屋に残ったのはエリー、メルティア、ボリス、ニコルの4人。ニコルが棚から紅茶セットを取り出して紅茶カップの準備をする。そしてボリスがエリーを見て微笑ながら言う。


「エリー様、例の荷物が届いたとのことですが、設置は計画通りに行いますか?」


 エリーは少し嫌な顔をしてボリスを見つめて言う。

「……はい、女神像ですね。でえ、実物は見たのですか?」


 ボリスは直ぐに嬉しいそうにエリーを見て答える。

「いえ、見ていません。ハリー様から問題なく美しい仕上がりだと伺っていますが、砦施設に確認に行って来ます。とりあえずゴロスネス設置予定の一体のみですが、順次製造するとの事です」


 メルティアが相変わらず元気のない顔でエリーを見つめて言う。

「セレーナ様の女神像ですね。セレーナ教の本部をゴロスネスに置く予定でしたね。大聖堂も建設するとの事ですが150mの高さになる荘厳な聖堂と伺っております。楽しみです」


「……楽しみ? 何がですか? 私には理解出来ません。この世界には大規模宗教がないので、セレーナ教を立ち上げ定着させる計画ですが、私的にはローゼ教で良かったのです。ですが、ハリーさんに却下されました。今後の影響力を考えて絶対セレーナ教だとゴリ押しされました。そのための演出も準備されていますから……、セレーナ的にはどちらでも良いみたいです。まあ、しょうがないですね。国家運営の人心掌握の手段としては効率的な方法ですからね」


 エリーが嫌そうに言うと、ボリスが真面目な顔をして言った。

「カルバル大陸の民には心のよりどころは必要です。エリー様もそのあたりは理解されておられると思いますが、あまり乗り気ではないようですね? 今後1000年の安定政権を得るためには必要な事です」


 エリーはニコルが準備した紅茶カップを手に取って言う。

「セレーナ教の布教はボリスさんが責任者のようですが、大丈夫なのですか? これから忙しくなるのに兼務など無理なのでは」


「はい、当然サポート要員は準備しております。リナと元黒騎士隊の副長を使うつもりです。あとは各地区担当神官を務める者の選定を順次行います。大神官としてメルティアさんを任命するのですが……、異存は無いですね」

 ボリスはエリーに答えて元気のないメルティアを見つめる。メルティアは頷きボリスを答える。


「……はい、期待に応えるよう尽力致します」


「……、メルティアさん、気持ちを切り替えてください! これからまだまだやらなければならない事があります」

 エリーはそう言って紅茶を一口飲んだ。


「……はい、セレーナ様、エリー様に申し訳なくて……、本当に申し訳ありませんでした」

 メルティアはエリーに頭を深く下げた。


「……メルティアさん、問題があったのはギリドバさんであって、メルティアさんではないのです。ねえ、だから」

 そう言ってエリーはメルティアの瞳を見つめて両手を優しく包み込むと、魔力をメルティアの体へ少量通した。


「……ありがとうございます。気持ちが良くなりました」

 メルティアがエリーの顔を見つめて微笑む。そして後ろからボリスがエリーに言った。

「エリー様、女神像設置後、魔導回路の起動が必要になります。ただの女神像では無いので、ハリーさんが詳細は後程お知らせするとおしゃっていました」


 エリーが紅茶を一口飲んで答える。

「……あゝ、確かに、ええ、了解です。なんか心を穏やかにする魔力波動を放出するとか言っていましたね。まあ、そんな事より、先ずは、ゴロスネスを支配下にしないとですよ」


 ボリスは直ぐに微笑みエリーに応える。

「はい、承知しております。それに魔族の外見では何かと不都合が生じます。そして、ボリスでは警戒もされるでしょう。私はこれよりエミ•クリキスと名乗ります」

 そう言ってボリスは偽装変異スキルを発動、黒髪が金髪に変わり、赤い瞳が青色に変わった、そして耳が尖り伸びてハイエルフのものとなった。

 少し驚くエリー、そしてメルティアから離れてボリスに近寄り右手を伸ばして尖った耳を触ってみる。

「……!?」

 嫌がるボリス、エリーはボリスを耳を撫でる。

「体細胞を再構築して、見た目を変えたにですね。もう、変異スキルを扱えるようになったのですね。これなら見破られることもないでしょう」


 エリーは笑いながら、ボリスの耳から顔を両手で撫でて揶揄うように言う。

「ボリスさん、メルティアさんより可愛いですね。どこから見ても美しいハイエルフです」

 何処となく恥ずかしそうにボリスがエリーを見つめていると、メルティアが不機嫌そうにボリスに言った。


「……ボリスさん! ちょっとエリー様と戯れているのですか。今は私の時間のはずです」

 エリーは首を傾げてふざけたようにメルティアに言う。


「エミさんですよ。ボリスさんではありません。間違わないようにね」


「……!? エリー様まで……」

 メルティアが拗ねたようにエリーを見つめて言った。

「冗談はさておき、いよいよ本格的戦闘に入ります。メルティアさん! ボリス……いえ、エミさん! 気を引き締めて掛かりましょうね」


 エリーはそう言ってハイエルフの姿のボリスを抱え引き寄せる。

「エミ・クリキスさんを皆に紹介しておかないといけませんね」


 頷くボリス、そしてボリスから離れてエリーがメルティア、ニコルと視線を合わせる。

「それでは、砦へ戻ります。こちらはシエルさんに任せて大丈夫でしょう」


 慌ててニコルが紅茶カップを片付け、準備すると4人は揃って部屋を出て行った。

 


 

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