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第365話 迫る軍勢29

エリーは牢獄施設へと攻撃を仕掛ける。

 2国間和平交渉会議23日目朝。(大陸統一歴1001年11月5日8時頃)


 ここはエルフの集落から100キロほど離れた西部統制都市ゴロスネス。


 エリー達はゴロスネス市中央区画の統制本部近くの監獄施設正門前で警備兵達と戦闘をしている。

 警備兵の長、巨漢の男はショートソードを振り上げるとエリーに突進して来る。それに合わせてサイドに展開している警備兵達も呼応してエリーに距離を詰めた。


 エリーはそれを待っていたかのように、体を回転させて電撃斬撃を周囲に連続で放った。周囲に激しい光が連続して走る。光の帯が周囲の警備兵達に当たり警備兵達を後ろに飛ばして行く。巨漢の男は直ぐに防御の障壁を展開して電撃を防ぐが、電撃斬撃一撃で障壁は打ち砕かれる。エリーの電撃斬撃によって警備兵達は討ち倒され、立っているのは巨漢の男だけとなった。地面に倒れてうめく警備兵達、顔を顰めてそれを見つめる巨漢の男。


「……なんと、手も足も出ないのか……」

 巨漢の男は魔力を全力で絞り出しショートソードに集中させた。


「降伏しないのですか?」

 エリーは巨漢の男に冷たく言い放つ。


「是非もない!」

 巨漢の男は声を振り絞る。叶わない事はとっくに理解している、だが、降伏はプライドが許さなかった、ただそれだけだった。


「では、あなたの希望にお応えします」

 エリーは軍刀を振り上げると電撃斬撃を放っと巨漢の男はそれを魔力を最大付与したショートソードで受け中和拡散させようとする。

 巨漢の男はエリーの電撃斬撃をショートソードで見事に受け止めたと思った。だがそれは一撃だけなら、エリーが続けて2撃目を放つ巨漢の男はもはや満身創痍状態。エリーの異常な魔力量に圧倒される。


「……これがバームエルキネスの力なのか……」

 巨漢の男は両膝を地面につきショートソードが手から離れる。


「死なない程度に調整しています。安心して倒れなさい!」

 エリーが巨漢の男の前に立って視線を合わせた。エリーの朱色の瞳が輝き巨漢の男を見つめている。そして巨漢の男は前に勢いよく倒れ込んだ。口から泡を吹き体は痙攣している。


 後ろに控えていたメルティアが声を上げる。

「エリー様、慈悲深いですね。誰も死んでいません!」


「ええ、でも、私の治癒スキルで癒やさなければ3ヶ月は激痛に耐えなければなりませんけどね。それはもう耐え難い痛みだと思いますが」


 それを聞いたボリスが顔を強張らせる。

「エリー様、それはキツイですね。お優しいのかどうか? 疑問ですが」


 エリーは直ぐに正門前を見て残りの警備兵が出て来るのを確認する。出て来た5名の警備兵達は仲間達の惨状に直ぐに各々に恐怖の表情を浮かべる。


 エリーは直ぐに容赦無く軍刀を振るい電撃斬撃を数回放った。体制の整ってない警備兵達は簡単に周囲に飛ばされて地面に倒れて呻き声を上げる。


「エリー様、警告しないのですね」

 ボリスが少し戸惑い尋ねた。


「ええ、相手から敵意と恐怖は見えました。結果は同じです」


 エリーは答えると微笑み正門の方へ歩き出す。続いてメルティア、ボリスが正門を潜って監獄施設内へと進んだ。


「建物内に残り5名ほど反応があります。潜んで待ち伏せしているようです」

 エリーは感知スキルで認識すると、伝心でイメージをメルティアとボリスに送った。


「はい、承知しました。残りはお任せを」

 ボリスがエリーの前に慌てて出る。施設入口は頑丈な金属扉だが、ボリスは詠唱すると火球を形成して扉へ飛ばすと難なく破壊する。

 施設は地上2階地下3層構造となっており、地下3層が監獄スペースとなっている。

 ボリスはエリアごとの仕切り扉を次々と魔法で破壊して奥へ進んで行く。


「ボリスさん、豪快ですね。施錠を破壊するだけで良いのでは?」

 エリーが笑いながら言った。


「いえ、何かトラップがあったら困ります。ドアごと吹っ飛ばせば確認する手間が省けます」

 ボリスは真顔で答えた。


「……あゝ、確かに」

 エリーは頷きメルティアの顔を見つめる。エリーの感知スキルなら大体の仕掛けやトラップを見分けられるのだが、エリーはボリスの判断に任せてついて行く。


 施設1階には警備兵の気配は無い。安心して突き進む。そして突き当たりの地下監獄への入り口へ到達、ボリスが厚い金属扉を火球で破壊しようとするとエリーが肩を引っ張り声を上げる。

「ボリスさん……ちょっと待ってください!」


 エリーはドアに両手で触れるて魔力を通す。するとドアがゆっくり開いた。


「……階段下に2名います。殺気だっていますね」

 メルティアが直ぐに階段を駆け降りる。メルティアは活躍の場を確保しようと焦っていたのだ。


「あの方は、本当に大賢者と呼ばれたメルティア様なのですか? 私には別人ではないかと」


 階段を一緒に降りながらボリスがエリーに尋ねた。


「……ええ、間違い無く、元大賢者様です。まあ、長い投獄生活で少し変わったのかもしれませんが」

 

 エリーはそう答えて地下のフロアに入った。石畳の床には2名の警備兵が倒れている。とりあえず死んではいないがダメージはかなりあるようだった。自慢げな顔をしたメルティアが立っている。エリーはメルティアを見て呆れた顔をするとメルティアは少しガッカリした顔になる。


 「……では、最下層の牢獄へ急ぎましょう!」

 エリーは牢獄の扉を左右に見ながら石畳の通路を速足で移動する。ここの牢獄はすべて独房仕様で重要犯罪人ほど警備の厳重な下層へと収容されるようだった。ちなみにメルティアは最下層の最奥に収容されていた。そしてエリー達は難なく3階層の入り口に到着した。


「気配3名! 注意してください!」


 エリーは声を上げると腰のホルダーから電撃棒を取り出し安全装置を外す。

(ここは狭いから、刀より電撃棒ですね)


 エリー達3人が3階層フロアに入った通路幅、通路高さは上層より狭い意図的に大人数が侵入出来ないようにしているようだ。直ぐに目の前にショートソードと槍を持った警備兵が3名現れた。エリーは神眼で3名を視感する。槍を構えている一人がS級魔法剣士、後ろの2名がA級魔法剣士のようだ。やはり手練れが残っていたようだった。

 エリーは退きメルティアを見て言う。

 「メルティアさん! 最後の者たちです。お任せします」


 エリーは正面の槍使いは出来るようだが、メルティアの実力なら問題無いと判断した。そしてメルティアの背中を軽く叩く。


 「はい、承知!」


 メルティアの顔つきが真顔に変わる。そして足を開き拳を握り格闘術の構えを取って槍使いの兵士を見据えた。


 


 最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


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