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第363話 迫る軍勢27

エリーはゴロスネスへ侵入する

 2国間和平交渉会議23日目朝。(大陸統一歴1001年11月5日7時頃)


 ここはエルフの集落から100キロほど離れた西部統制都市ゴロスネス。市街地は周囲10キロほど中心街は城壁で囲まれている。


 エリー達は転移魔法で移動、中心街の隠し施設内の薄暗い部屋の中にいた。20畳ほどの窓の無い部屋、黒騎士隊の秘密施設だ。


 エリーはセレーナの容姿で無く、今は素の紫色の髪をツインテール、綺麗な朱色の瞳を輝かせている。


「では、私とボリスさん、メルティアさんは魔炎弾無力化、ランディ、カルヤ隊は統制府施設をお願いしますね」


 部屋の中にはエリー、メルティア、ボリス、ランディ、カルヤ、カルヤ率いる獣人戦士隊10名がいた。全員が灰色の魔導ローブを着用している。ランディがカルヤの背中を左手でガツンと叩く。

「熱くならず、冷静にやれよ!」


 カルヤは少よろけてランディの顔を見上げる。

「……はい、承知しています」


「あゝ、しっかり頼んだ。俺はサポートに回るからな」ランディはカルヤを見下ろし言った。


 そしてエリーは全員の前に立ち一同を眺める。

「それでは、時計の時間を再度確認してください! 全員の顔が無事に見れます様に!」


「はっ! セレーナ様!」

 その場の全員が揃えて声を上げた。エリーは丁寧に一礼する。


「では、行って参ります!」

 カルヤが声を上げると、一斉にランディと獣人戦士隊が部屋から慌ただしく出て行った。


「……今は、エリー様とお呼びした方がよろしいでしょうか?」


 メルティアが真剣な顔でエリーに尋ねる。

「……、そうだね。エリーでいいよ。エリーの方が落ち着くからね」


 エリーが微笑み答えるとメルティアとボリスが頷いた。

「はい、承知致しました。今のお姿の時はエリー様とお呼び致します」


 そう言ってボリスがフードを深く被り言う。

「では地下通路へご案内致します」


 エリーとメルティアもローブのフードを頭に被せた。ボリスが部屋から出ると薄暗い通路をしばらく歩いた。そして突き当たりで、ボリスが詠唱する。直ぐに階段通路が目の前現れた。

 通路を壁で隠蔽していたようだ。エリーがボリスを見て微笑み言う。

「ここは地下通路が張り巡らされていますね。あらゆる施設に通じているようですね」


「はい、その通りです。よくお分かりですね。もしかして、もうゴロスネスの都市配置を把握されているのですか」

 ボリスが少し驚いた様に言った。


「ええ、でないと作戦行動がスムーズに行かないでしょう」

 エリーは当たり前の様に答えた。するとメルティアは自分の事の様に言う。


「当然です。私の主様なのですから」


「……では、魔炎弾の保管場所へ急ぎましょう!」

 ボリスは直ぐに地下階段へ入って行く。通路は灯りは無く真っ暗である。だが先頭のボリス、エリー、メルティアの3人は明かりが無くとも魔力で通路の形状障害物等、暗視スキルで視認出来るから問題は無い。そのまま普通の歩行速度で階段を降りて地下通路を進む。


「エリー様、……魔炎弾を無力化をどうされるおつもりですか?」


 前を歩くボリスが後ろを歩くエリーに尋ねる。

「魔炎弾を制御装置の魔法術式を書き換えます」

 エリーは直ぐに答えた。


「……!? 書き換え? ですか? どうやって……」


 ボリスが立ち止まり後ろを振り返る。

「あゝ、うん、この世界の魔法術式は理解しています。単純なものから複雑な組み合わせられた術式もでもね。まあ、暗号化技術が弱いので、そもそも解析されることが前提に無いので、魔法術式自体が脆弱なのです。魔法の高位の知識が有れば簡単なことです」


 エリーは答えるとボリスは戸惑った様子でまた歩きだした。


「……魔法の解析ですか? それは特別なスキルだと思うのですが。私には魔力量、魔力の流れは認識出来ますが……。つまりエリー様は魔法を解析して無力化出来るスキルを持っていると」


 ボリスはエリーの横に並んなで歩きながら尋ねた。

「まあ、単純に言えばそうですね。例えば、相手が魔法術式を発動した場合、その魔法が解析出来ていれば介入改変することも可能です。そして発動そのものも出来なくする事も出来ます」


 ボリスは昂る気持ちを抑えながらエリーに尋ねる。


「……それは凄いと思いますが。それは全ての術者に対応出来るのですか?」


「いいえ、高度な暗号化された術式と強力な魔力障壁などでは無理ですね。暗号は時間を掛ければ解析出来ますが、魔力障壁はそれを上回る魔力量を必要とします」


 エリーはボリスの高揚した顔を見ながら答える。ボリスは迷路の様な地下通路を間違える事なく進んで行く。10分ほど歩いたところでボリスが立ち止まり詠唱をする。


「この上は都市兵団駐屯本部です。使われていない倉庫内に出ます。気配は無いので誰もいないはずですが」

 ボリスが壁が消え現れた通路階段へ上がり始めた。エリー、メルティアも続いて階段を上がる。階段を10mほど上がると上部に扉が有りボリスはノブを回してスライドさせた。扉が開くと僅かに階段内が明るくなった。


「誰もいません」

 ボリスはそう言って倉庫内へぴょんと飛び上がった。


「エリー様、大丈夫です。どうぞ」

 エリーとメルティアが階段の足場から50cmほどの段差を乗り越える。


「では、保管庫へ急ぎましょう! カルヤが行動を開始します」

 エリーはボリス、メルティアを見て嬉しいそうに言った。


「はい、隠蔽スキルを使いましょう!」

 ボリスが言うと2人は頷く。エリーはすぐに魔力量を上げると周囲に魔力結界を展開する。そして遠視眼を10個生成する。


「エリー様は魔法発動は詠唱は必要ないのですね。瞬間的に生成出来るのも凄いです」

 ボリスが感動したように言った。


「ボリスさんも修得するば、直ぐに出来ますよ。詠唱は魔法発動のキッカケです。要はイメージです。全てはイメージでコントロールするだけでです」


 エリーは笑顔でボリスに言うとメルティアと視線を合わせる。

「まずは魔炎弾の処理、その後、監獄施設ですね」


「はい、メルティアさんの希望通りに」

 エリーは笑顔でメルティアの手を軽く握った。メルティアは笑みを浮かべて頭を下げる。


「……ありがとうございます。エリー様に感謝致します」

 監獄施設にはメルティアの仲間達が数人まだ捉えられたいた。その者達を今回の作戦は救出する事も含まれていた。無人の倉庫からエリー達は出ると一目散に魔炎弾保管庫へ急いだ。

 駐屯地内の警備体制は外からの侵入には厳重な体制をとっているが、一旦内部に入ってしまえばそれほどでも無かった。すんなりと魔炎弾保管庫の前に到着する。エリーは隠蔽スキルを発動したまま、保管庫のドアに接近すると前に立っている警備兵2名を簡単に打ち倒した。

 悲鳴すら上げられず警備兵2名は地面に倒れ込む。

「では中に」

 ボリスが前に出るとドアに付与されている魔法障壁を破壊する。

「魔法警報はすでに遮断しているので、ご安心を」

 ボリスがエリーを見て微笑み言った。


「中に気配が3人ほど有ります。私にお任せを」

 ボリスがドアをゆっくり開放する。そして素早く部屋の中へ飛び込んだ。

 エリーとメルティアはドアの前で待っているとボリスが入り口へ戻って来た。


「エリー様、片付きました」


「殺したのですか?」

 エリーがボリスの顔を見て直ぐに尋ねる。


「いえ、大丈夫です。生かしております。エリー様が情報を必要と思いまして」


「理解しているので、安心しました」

 エリーは頷くとメルティアと共に保管庫内に入る。広さは50畳ほどの空間に大きめの水瓶の様なものが金属の台の上に2個置かれている。


 ボリスが指差す。

「あれが魔炎弾です」


「……了解です。では始めます」

 エリーはそう言いて倒れている魔法士の男性からスキルを発動して表層記憶を引き出す。

 



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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