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第348話 迫る軍勢12

カルヤはランディの配下となった。

 2国間和平交渉会議21日目夜。(大陸統一歴1001年11月3日22時頃)


 ここは異世界、ローゼの隠し砦から7キロほど離れた森林地帯のエルフ集落、離れの一軒家。


 先ほどエリーの治癒スキルと女神の紋章を刻まれた獣人女性カルヤはエリーに膝枕をされて尻尾を大きく振っていた。

 それを不満をそうに見つめるランディ。


「……セレーナ様、そのような事をお許しになるのですか?」


「……!? えっ! 何か?」

 エリーが膝に乗せたカルヤの頭をを撫でながら穏やかな表情でランディを見る。


「……そのカルヤは敵だったのですよ! そんなにじゃれ合うなど……いかがなものかと」

 ランディは明らかに不満そうな顔を隠そうともせず声を上げる。獣人女性カルヤはエリーの膝に頬擦りをして嬉しそうな顔をしている。チーターの様な耳が垂れ下がり尻尾はゆっくり交互に動く。ランディの言葉など全く気にしていない。


「……そう、めくじら立てなくても、もう、カルヤに脅威はありませんよ。それにカルヤの体柔らかくて、それに暖かいし気持ち良いです」

 エリーがカルヤの体を撫で撫でする。ランディは諦めた顔をしてエリーを見つめた。


「セレーナ様……カルヤに籠絡されたにですね……」


「ははっ、そうですね。確かに、この気持ち良さは予想以上でした」

 エリーはにこやかにランディに答える。


「ランディ、あなたもどうですか? カルヤを堪能してみますか?」


「……!? それはどう言った?」

 ランディが少し嫌な顔をする。エリーはランディの左手を引っ張るとカルヤの頭にあてがった。

「ねえ! どうですか?」

 エリーはランディを見て嬉しいそうに尋ねた。

「……まあ、確かに」

 ランディはカルヤの獣耳に触れて言った。


「ランディ、カルヤをあなたの下に着けます。大事に育ててくださいね」


「……ですが、私はカルヤに恐怖を植え付け、トラウマがあるのでは?」

 ランディがエリーに尋ねると、エリーは首を横に振る。

「大丈夫、精神体治癒で傷は癒えています。そして女神の紋章を刻んでいるので問題ありません。本来従者に序列は有りませんが、あなたの配下として教育してください。ポテンシャルは十分にあります。今までのしがらみを解いてあげたので開放的になった感はありますが。多分かつてない最強獣人戦士になると思います」


 ランディはエリーに新たな任務を与えられた事に嬉しく思う反面、カルヤの顔を見て不安を覚えた。カルヤの顔が緩み切っていたからだ。

 カルヤは多分セレーナの強力な魔力に当てられて、魔力酔いを起こしているのだと思った。


 エリーはカルヤをゆっくり抱き起こすとランディの顔を見る。

「もうすでに、カルヤの部下であるアルルと2人の獣人戦士を隷属の契約を結び放ちました。明日には合流するものと思います」


「はい、私に管理せよと」

 ランディは直ぐに答えた。


「はい、その通りです。察しが良くなって頼もしくなりましたね」

 エリーはランディを見て嬉しいそうに言った。


「はい、では諜報活動とあとは……衝突を避ける方向で調整でよろしいですね」

 ランディが答えるとエリーはカルヤの尻尾を掴み優しく右手を尻尾に沿わせた。カルヤがびっくんとなり悶えたよにエリーにもたれ掛かった。

「セレーナ……様、そこはダメです……」

 カルヤが恍惚とした表情でエリーの胸元にもたれ掛かり甘い声を漏らす。それを見てランディは渋い顔をした。


「カルヤ! お前はセレーナ様の従者ではあるが、俺の配下だ! 今後、俺の指示に従うように」

 ランディは少し怒ったようにカルヤを見て言った。カルヤはランディの言葉を無視したようにエリーの顔を上目遣いで見つめているだけだ。カルヤの満足した顔はランディを全く気にしていなかった。


「ランディ、それではラリアと配下の件よろしくお願いしますね。私はこれで本日の予定は終了です。ランディは下がって結構です。私は寝ますので」


 ランディは一瞬戸惑って尋ねる。

「……はい、ハイエルフメルティア様の離れに戻られるのでは?」


「あゝ、それね。シエルに任せています。私はカルヤとモフモフしますから」


「……!?」

 ランディは一瞬聞き間違いかとさらにエリーに尋ねる。

「セレーナ様……今なんと?」


「だからカルヤと今晩は一緒にモフモフして気持ちよく寝ると言ったのです」

 エリーはローブを脱ぎ上着のボタンを外し始める。そして手を止めるとランディに言う。


「ランディ! 私の裸を見たいのですか?」


「いえ、そのような……では失礼致します」

 ランディは気落ちしたように言うと一礼する。そして部屋から出ていた。

 エリーはランディがドアを閉めるとドアの施錠とを行い結界障壁を発動させた。そしてエリーは上着のシャツとズボンを脱ぎ下着姿になった。

「カルヤ、あなたに魔法術式スキルを授けます。今のあなたは身体能力に付随したスキルしか使えない。それではランディみたいな敵には対応出来ません。上級防御、中距離電撃攻撃、斬撃波動攻撃、超身体強化のスキルを与えます。受け取ってください。ですが、拒絶反応で融和するまで短時間ですが、痛みを伴います。私がフォローしますが我慢してくださいね」


 そしてエリーはベットに横になりカルヤを抱き寄せる。カルヤはエリーの瞳を見つめて言う。カルヤの顔は先ほどまでの顔とは違い真剣な顔つきだ。


「セレーナ様、必要なことならいくらでも我慢します。耐えてみせます」


「……そう、なら始めますね」


 エリーは濃い紫色の光に包まれる。そしてカルヤをさらに抱き寄せる。光がカルヤの体を包み込んだ。エリーは魔法術式授与スキルを発動して魔力をカルヤの体内に通し始める。そしてしばらくしてカルヤが苦悶の表情を浮かべ意識を失った。エリーは丁寧にカルヤの中の魔導回路に魔力を通して回路の術式を書き込み丁寧に調整していく。その度にカルヤは悲鳴を上げ気絶を繰り返す。家屋の周りはエリーの防御結界で覆われて周囲に音が漏れる事は無い。

 エリーはここまで普通は短期間で無理は強いない。通常は10日以上のところを5時間ほどで終わらせるつもりだ。この獣人女性カルヤが耐えれると見込んでいたから。今のところは順調に進んでいた。エリーは魔法術式スキルを回路に書き込み細胞が適応しようと変化する。その度に激しい痛みと熱を発する。エリーは1行程がが終わるたびに痛みを緩和するため魔力を通した。カルヤは悲鳴を上げながら気絶しながら良く痛みに耐えた。それは繰り返す、エリーも感心しながら続く。ベットの上はカルヤの汗や体液で汚れていた。エリーも流石に後半を超えると疲労が見えたがセレーナの助けを得ながら朝方、施術を無事終えた。


 カルヤは度重なる激痛に耐え体を魔力に適応させた。エリーは神眼で視感して問題無いことを確認して大きく息吐く。

 そしてベットから立ち上がりカーテンを少し開けた。もうあたりは薄っすら明るくなって来ている。エリーは慌ててカーテンを閉めベットに倒れ込み目を閉じた。


「カルヤ……頑張った」

 そう言ってエリーはカルヤの頭を抱きしめた。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます! 今後の展開は異世界ドリスデンとアルカン大陸世界の交わり、戦線は拡大して行きます。

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